【新米猟師奮闘記】獣道を見つけ出せ‼編

コム兄と猟師

4児の父兼、料理人兼、ソムリエ兼、議事録系ブロガー兼、猟師という事で

自分が何者なのか迷子になりつつあるコム兄ですが

せっかく資格を取って狩猟税なるものを納めているからには猟師の道もそれなりに頑張らなきゃなと思っているわけであります。

という事で今回は一人前の猟師になるためにコム兄が奮闘する【新米猟師奮闘記】第一弾という事で紹介していこうと思います。

※一部グロテスクな内容を含む記事となっておりますので、以後読み進める場合は自己責任でお願いいたします。

どんな学びがあったのでしょうか。

早速行ってみましょう。

ちぇけら。

獲物を狩るには

狩猟に関する法令では猟法の種類に応じて大きく分けて3種類(正確には4種類)の狩猟免許があります。

主に野鳥を捕まえる際に有効な網猟、

イノシシやシカなど獣を捕まえる罠猟、

最もメジャーというか猟師といえばって感じの散弾銃やライフルなどを使う銃猟。

(使う弾薬に応じて第一種、第二種重量免許に分けられます)

その中でコム兄が登録しているは罠猟でございます。

資格を取って、税金納めて、罠を作って、仕掛けたら誰でも捕まえられるっていう程単純な話ではありません。

ドッキリなんかで芸能人が落とし穴に落ちるような企画がありますが、

いかにポイントまで導くか、いかに悟られずに踏ませるか、というのが大事になってきます。

テレビの企画でドッキリなら多少気が付いても”落ちてあげる”なんていうことはあるかもしれませんが、

野生の動物はそんなに空気を読んでくれるわけではありませんし

何なら罠にかかったら待っているのは爆笑ではなく死なわけです。

動物も生きるために必死ですから、仕掛ける側も生半可な覚悟では獲ることが出来ません。

いかに悟られずに仕掛けるかがとっても重要なわけですが

それ以上に重要なのがどこに仕掛けるのかでしょう。

獣の目撃例がある山に入ったからといってどこでも適当なところに仕掛けたら捕まえられるというわけでもありません。

ですから罠猟をするうえで、特に仕掛けるまでに必要になってくるスキルが

  • 山の歩き方(山の切り方というらしい)、
  • 獣道の見分け方、
  • セットするポイントの選定、
  • 猟具をセットした後のカモフラージュの仕方、

などなど。

罠にかかった獲物を無事に仕留めるためにも様々なスキルや道具が必要になってきますし、

臨機応変に対応する状況判断も必須です。

それについては追々紹介させていただければいいかなと思います。

え、ちょっと待って。

どんくさいコム兄にそんなことできるの?

と不安になってきた読者皆さん。

安心してください。

一番不安なのはコム兄自身ですから(おい)

という事でYoutubeで狩猟系の動画を見漁っていたわけですが、

これは実際に教えてもらわないと話にならないなという事で

今回も支部長さんに連絡をしまして猟師としての第一歩を踏み出すべく

獣道の見分け方を教えていただく事にしたわけでございます。

Find the animal path

謎に英語の見出しにしましたが特に意味はありません。

カッコつけちゃいました。

すいません。

この日は12月の中頃だったように記憶しています。

戦争のようにバタバタと小学生組を送りだし、末っ子を保育園に送り届けて指定された場所に到着したのは9時前。

そうそうこんな感じで猟友会仕様のコム兄バージョンです。

猟師の朝は早いんですよね。

コム兄が合流した際、支部長さんは自分が仕掛けた罠のポイントをいくつか見回った後の様でした。

まず簡単な挨拶を済ませると服装のチェックが行われました。

別にファッションチェックのような類の意味合いではありません。

急な斜面を歩くので滑りにくく歩きやすい長靴汚れてもよい長袖長ズボン

これは寒いからという理由以外に、

実際に獲物と格闘した際にマダニにやられないように肌の露出を防ぐためでもあります。

「服装は(頭の先からつま先まで舐めるように見られて)・・・よし。」

と合格点を頂きましたので支部長さんの軽トラの荷台に乗せていただいて現場に向かいました。

現場というのも支部長さんが事前に仕掛けた罠のポイントの確認を兼ねております。

とにかく何にも分からないコム兄は支部長の後を付いていきます。

漂う仙人感。

杖がなんともいい味を出しています。

こんなところ入っていくの?という所からいきなり山に入っていって険しい道(道とは言えないけど)を進みます。

前日の雨の影響で葉っぱがぬれていたりぬかるんでいたりで滑りやすい斜面をひたすら無言で進みます。

そうかと思えば

「今歩いてるのが獣道やで」

とボソっとシレっと呟く支部長。

ついていくのに必死で全く気が付きませんでしたが、知らないうちに獣道に入っていたようです。

後ろを振り返ってみると、確かに何んとなく筋が付いているようにも見えます。

”これの見つけ方を教えて欲しかったんだけどなぁ”

と思いつつ、ひたすら付いていきます。

一つ目のポイントに着いたようで、よく見るとシカが罠にかかっているのが見えました。

「角が生えてきたばっかりのボンやな。ちっさいわ」

とつぶやいたかと思ったら、次のポイントに向けて歩き出しています。

放置して素通りすんのかい!

と思いましたが、

捕獲のための道具を持ってきていないからとりあえずこの山に仕掛けた罠を全部見て回って

確認してから改めて仕留める

との事でした。

確かに杖代わりの棒以外丸腰だもんね。

そりゃそうだ。

とあっさり納得してコム兄も続きます。

ポイントを巡る道中、

「ここが餌を食べた後に反芻する場所で、休憩するところや」

とか、

「あいつら川はよう渡らへん」

とか

「大きい車道があるところは警戒して近寄らへん」

とか

「細い道やったら渡りよるから山から山へ移動もしたりする」

などなど教えていただきました。

「そういう状況とか獣の気持ちになって考えて、どう動くのか、どこに向かおうとしているのかを考えなあかん」

と。

難易度高すぎるし、何回か下見に回らないといけないって事にも気が付きます。

でも、えらいもんで付いて歩きながら周りを見ながら歩いているとなんとなく獣道が見えるようになってきていて

自分でもビックリなコム兄なのでした。

やっぱりYoutubeばっかり見てないで実際に肌で感じることは大切ですね。

お昼休憩

気が付けば時間は11時30分。

この日コム兄は獣道と山の見極め方を教えていただくつもりで支部長に同行したので

当初の予定としてはここまでで終わりなんですけど、

「時間に余裕があるようだったらさっき罠にかかっていたシカを仕留めに行くところにも行くか?」

と聞かれて2つ返事。

コム兄からしたら断る理由を探す方が難しいくらいの心境なわけです。

さらに

「その後違うポイントの罠も確認に行って、ついでに罠も仕掛けようと思っているから

見たいんやったら付いて来たらええし。」

と、実際の罠を仕掛けるポイントの見極め方や設置の仕方も勉強できるチャンスが巡ってきました。

想定していたよりも多くの経験を積めそうで嬉しくなってるコム兄。

でも、そんなつもりじゃなかったから昼ご飯を準備していなかったんですよね。

一食くらい抜いても問題ないかなぁ

なんて考えていたんですが

「そんなんでいざというときに力が出なかったり、もし集中力切れて斜面から落ちたらどないすんねん。

あかんで。」

と一蹴。

確かにね。

すいません甘かったです。

ごめんなさい。

やっぱり帰ります。

と思ったのも束の間、パンやバナナやお茶を分けて下さり、

「どんなことがあるか分からへんから、山に入るときは食べ物と水分は必ず持って行かなあかんで」

と教えていただきました。

本当にありがとうございます。

いざ捕獲ポイントへ

先ほど触れておりませんでしたが、お昼休憩の少し前に支部の会計を担当されている方と合流しておりました。

支部長や支部の役員といった重鎮とご一緒出来るなんてコム兄は恵まれております。

まさにこのエリアの生き字引。

色んなお話を聞かせていただいたわけであります。

なんでも、このお二人は5年くらい前からバディを組んで狩りをしているとの事。

確かに大きな獲物と対峙した際には一人ではなかなかしんどいものがあります。

ましてや支部長は体力的にはまだまだ現役といった感じでも視力の衰えは否めません。

という事で、午前中に確認した鹿を仕留めるポイントへはコム兄含めて3人で向かいました。

必要な道具をリュックに詰め込んで出発です。

よどみなく最短距離で目的地にたどり着く一行。

午前中に確認しに行った際には15分くらいかかって到着した気がしましたが、

今歩いてきた道だと時間にして5分とかかっていないでしょう。

思ったより早い到着に驚き。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが

初入山のコム兄からしたら

そもそもなんで目印もなしに目的地にたどり着けるのかが不思議で仕方ありませんでした。

同じような木が沢山立ってて、

葉っぱが沢山落ちてて、

同じような斜面があって。

こったらの迷うに決まってるべ。

つって。

「罠かけた場所が分からなくなったりしないんでか?」

と聞いてみると鼻で笑われましたが、

「自分で仕掛けるようになったら忘れへんわ」

との事でした。

そういうもんなんですね。

そりゃぁここだと思って仕掛けてるし、

山の形状が頭の中に入ってるんでしょうね。

方向音痴で歌声も音痴なコム兄は単純に凄いなぁと思いました。

この時にやっとコム兄は気が付きます。

支部長がはじめ罠のポイントに直行せずに遠回りしたのは

より多くの獣道をたどらせてやろうという親心だったことを。

ありがとうございます。

少ない言葉数ながらもより多くのものを吸収させてやりたいという思いを受け取らせていただきました。(勘違いだったりしてw)

対峙

ポイントに着くと目を血走らせてこちらをにらみつける鹿がいました。

写真の画質こそ悪いですけど、なんというか迫力が凄い。

辺りは罠から逃れようとして暴れまわって土がえぐれ返っていたり

鹿に突進されて気がなぎ倒されていたり。

しかも斜面に仕掛けられているので足元も安定しなくてとっても危険。

「罠のかかりが甘くて外れる危険性もある」

という事で離れて見ていろという指示に従う事にしました。

初めて支部長に同行した際には車に引かれた鹿を駆除する目的で銃を使っていましたが今回は使わないようでした。

ちなみにその時の様子はこちらから

銃を使わずに仕留めるのを間近で見るのは初めての経験。

「衝撃過ぎて夢に出てくるかもわからんな」

と冗談半分に言いながらも引き締まった表情で近づいていく会計さん。

角の大きさもそこまで大きくなかったからかもしれませんがその辺に落ちていた木の棒で頭部を一撃。

少し弱ったとは言え、罠のかかりが甘いので油断はできません。

支部長が自作の槍で心臓を一突きしようとするも中々刺さりません。(動画もありますが差し控えさせていただきますね)

歴戦の支部長でも苦戦している姿を見て、やっぱり一筋縄にはいかないんだなぁという事を実感いたしました。

ますますコム兄一人でできるんだろうかという不安が大きくなっていきます。

罠にかかってほしいんだけど

かかったらかかったらどうしよう的な。

バディどころか友達もいないし。

さて、先程の鹿は最終的に縄で頭を引っ張って固定し

頸動脈をナイフで切って出血させて格闘の幕が降ろされました。

その間のシカの断末魔の叫びといいますか、なんとも悲しげな鳴き声は今でも耳に残っています。

猟師としてやっていく以上この事から避けては通れないし、

いろんな意味で衝撃でしたが本当にありがたい経験をさせていただきました。

解体

会計さんと支部長は有害駆除の許可も得ているので

仕留めた後にはすぐさま助成金の申請に必要な写真を撮影し、

それが済むとその場で解体が始まります。

獲れた個体にもスプレーでその日の日付を記していました。

本来は家や施設に持ち帰って捌くのが良いのかもしれませんが

こんな大きな個体を抱えて山を下山するのはハッキリ言って無理でしょう。

そこでその場で捌いて自分が必要な部分のみ持って帰ります。

会長も会計さんも有害鳥獣の捕獲を目的にしているので

お肉が欲しいわけではありません。

なのでその場で捌かれたこちらの鹿さんの背ロースとモモ肉をコム兄が頂いて帰ることになりました。

思わぬ収穫に小躍りする一方で

渡された肉から伝わる熱に

今の今まで生きていたんだもんな

という事も感じました。

せっかく頂いた命ですのでより美味しく食べてもらうように頑張ろうと思いました。

次のポイントへ

解体が終わると一度軽トラに乗って違う山のポイントに向かいました。

先ほど入った山に比べると大きくて深い山のようでした。

支部長の経験から言うと大きな山には大きな獲物がいるんだそう。

さらに今から向かう山ではシカではなくイノシシを狙って仕掛けたとの事でした。

勉強になる事ばかりで覚えるのに必死ですわ。

ホンマに。

っていうかどういう事やねん。(情報に追いつけてないw)

今回は険しい山の奥まで入っていくので

獲物がいるのを確認してから道具を取りに戻るのでは時間がかかりすぎてしまうし

体力の消耗も激しいので入山のタイミングで道具を背負って向かいました。

今回は新たな罠も仕掛ける予定なので自ずと荷物も増えます。

コム兄も支部長の道具がたっぷり収納されたリュックを背負って出発でございます。

険しい山道を登っていくと

足跡があったり、掘り返した跡があったり、水たまりで遊んだ形跡があったり。

確かにイノシシが良そうな雰囲気がプンプンです。

先ほどには気が付けなかった獣道もなんとなく見えるようになってきてたりして自分でもビックリ。

あらかじめ仕掛けられていたポイントの付近にはイノシシが好物だという糠が撒いてありましたが食べた形跡は無いようでした。

コム兄には食べられているように見えましたが、

「これはただ前日の雨でヘタっただけや」

と。

見分けがつかねぇ。

会計さんが良さそうなポイントを見つけたらしく罠を設置するというので

お願いして見学させていただく事にしました。

技を盗まれたくないから本来であれば見られたくないところなんだと思います。

本当にありがたい。

支部長さんは会計さんが罠を仕掛けている間に

さらに山の上に向かって尾瀬伝いに歩いて山を見ながら次のポイントへ向かいました。

ポイントを確定させて穴を掘り始めた会計さんの電話が鳴りました。

どうやら電話の相手は支部長さん。

「罠の設置は中止や。上でデカいのがかかっとるからすぐに向かうで」

罠を設置するところを見られなかったのは残念ですが、デカいのがかかっていると言われたらこうしてはいられません。

なんたって支部長の大事な道具を入れたリュックをコム兄が持っているわけですから。

道なき斜面を駆け上り支部長さんのもとへと急行したのでした。

三又の角

山をかき分けて先に進むと赤いジャンパーを着た支部長の姿が見えてきました。

その支部長の背中越しに獲物がいるようでした。

ワイヤーが固定された木を中心にコンパスか何かで跡を付けたかのように土が掘り返され

半径の内側にある木は突撃されたのか嚙みちぎられたのか木の皮もめくれ上がっています。

支部長とにらみ合うそのシカの目は完全に血走っていて興奮状態が伝わってきます。

「このシカはデカいのぅ!こんなん久しぶりや」

興奮しているのは鹿だけではないようでした。

コム兄はあまりの迫力にカメラを構えている事すら危険を感じて、

ただただ離れているところから見ている事しかできませんでした。

ワイヤーが伸びきって可動域が広くなっているため容易に近づく事すらできない状態でした。

「自分一人で回ってる時に間違ってこんなでっかいのかかったらどうする?よう仕留めるか?

どないしたらいいかよう考えとかなあかんで。どんなふうに対処するのか、どんな道具が必要なのか。

よく見ときや。」

頼もしいったらありゃしない。

確かにコム兄一人で山に入って、こんなデカいのに遭遇したらどうしたらいいんでしょうか。(知らんがな)

ましてや突進力のある巨大なイノシシだった場合どないしたらいいんでしょうか(知らんがな)

おもむろにリュックからのこぎりを取り出し、手近な木を伐採し始める支部長。

気でもおかしくなったんでしょうか。(そんなわけない)

どうやら葉っぱの生い茂った木を使って動きを制限させて

あわよくばワイヤーを絡ませて固定してやろうという作戦の様でした。

その場その場で瞬時に状況判断して少しでも安全に仕留める。

これは多くの修羅場を潜り抜けてきた経験が無ければとっさにこんな判断はできないと思います。

いやぁ、深い。

シカの行動範囲が制限されたことでコム兄も近づくことが出来るようになり、

捕獲のお手伝いに回ることが出来ました。

こちらが仕留められた鹿さん。

The 鹿!!

っていうくらいに立派な角なのがおわかりいただけると思います。

捕獲後には申請用の写真を撮って、簡易的に捌いて、

コム兄は後脚の肉、毛皮の一部を頂きました。

(ちなみに皮は後日自分で鞣してレザーに加工しようとしましたが手間がえげつなくて諦めました。)

切り分けたことで持ち帰りやすくなったとはいえ10キロくらいになったでしょうか。

初めのうちは余裕余裕!と思いながら歩いていましたが、斜面を下りながらだし地味にきつくなってくるのよね。

乳酸もたまってくるし、安堵からか疲れがどっと出た感じがしました。

支部長は記念に首を持ち帰ってトロフィーにして飾ると言っていました。

(土に埋めておくと骨と角だけきれいに残るんだそう)

ヤバいよね。

首をもって歩く異様な姿も初めは衝撃でしたが、下山し終わるころにはなんとなく見慣れちゃって。

無事にコム兄もやばい人の仲間入りを果たしたのでした。

歴戦の支部長でも記念に持ち帰りたくなるほど大きな鹿を仕留める瞬間を見られて

本当に貴重な瞬間に立ち会うことが出来ました。

最後に

いかがでしたでしょうか。

獣道の見極めを教えていただくつもりでカジュアルに出かけたのに、終わってみれば2頭の捕獲にも立ち会う事ができました。

思いも寄らない貴重な体験をさせてもらって経験値爆上がりしましたので

今後は近場の山に入ってみて、山に慣れて、獣道を探して、罠を仕掛けて。

というふうに、一歩一歩成長していければいいなと思っております。

獣害で困っている方の一助になれるように、捕まえたジビエで喜んでもらえるように、精進してまいりますので、新米猟師コム兄を今後もよろしくお願いいたします!

ガッツリ応援してくれよな!

ではまたっっ!!!

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