【コム兄のジビエ便り】獣害駆除の現場に同行してきたぞ

コム兄と猟師

皆さんこんにちは。

新米猟師コム兄です。

今月15日に狩猟が解禁され、今シーズンがスタートしました。

コム兄はといえば罠こそ自作したもの、まだ設置には至っていません。

獲る気あるんかい!

と言われそうですが、ぼちぼち行こうと思います。

さて、今回紹介しますのは狩猟シーズン解禁前に有害駆除として依頼された鹿の駆除に同行させていただいた際の紹介記事です。

コム兄の備忘録としての役割も兼ねております。

当然ながらグロテスクな画像や表現も含まれますので了承いただける方のみ読み進めるようにしてくださいね。

初めての命との対峙。

どんな状況が待ち受けているのでしょうか。

早速行ってみましょう。

ちぇけら。

狩猟期間と有害駆除

シカやイノシシなどの野生鳥獣を捕獲する場合に、狩猟有害駆除があります。

誰が興味あんねんというほどに完全に無駄な知識になってしまいますが、

一応念のため簡単に説明させていただきますね。

狩猟は基本的に趣味の範囲であり、捕獲を認められた期間が定められているのに対して、

有害鳥獣駆除は国や都道府県、市町村などの自治体からの依頼なので

報酬がもらえたり、狩猟のように期間というかシーズンというものがなく許可さえもらえれば一年中狩ることが出来ます。

コム兄の所属している支部では5年間狩猟者として活動していなければ有害駆除の許可は下りないようでございますが

これも所属する県や支部によっては違いがあるかもしれません。

今回紹介しますのはシーズン外でしたので有害駆除のケースでございます。

初心者講習とはまた違って実践での経験は初体験でしたので

いよいよやなっていう期待と大丈夫かなという不安が入り混じった感情で向かったコム兄なのでした。

仕込み中に支部長からの電話

忘れもしない11月13日の昼前くらい。

仕事をしていたコム兄の電話が鳴りました。

「市から連絡があって車にひかれて暴れてるシカがいるから駆除してくれって事で今から行くんやけど

一緒に行こうか?」

と支部長さん。

何よりも実戦での経験が大事な世界。

願ってもない申し出に、同行させていただきたい旨をお伝えし、

小雨の降る中、車で山道を走らせたのでした。

命との対峙

指定されたポイントに向かうも、街中と違って目印が少ないので詳しい場所が分かりません。

きっとベテランの猟師さんになると山の景色ももう少し違う見え方をするんでしょうが

そもそも土地勘があるような場所じゃないし

なんたってシティーボーイのコム兄にとってはどれも同じ木に見える。

そんなこんなで右往左往しておりますと支部長さんが猟友会の帽子とベストを着用して登場。

なんだかめちゃくちゃ心強い雰囲気。

いよいよだなぁって感じが高まってまいります。

「車にひかれて脚を怪我してて可愛そうやから鉄砲で一発で仕留めたるからな。

初めてで怖いやろうから離れたところで見とき」

との事でした。

めっちゃ優しい。

自治体からの要請という事でしたが、銃を使っての駆除となると警察への届け出も必要なんだそうです。

山の中とはいえ銃声が聞こえたら何事だ!ってなりますもんね。

そういった手続きなんかについてもしっかり学んでいかなければなりませんね。

今回は山の中ではなく国道沿いで人目について目立ってしまうので車の中から発砲するとの事でした。

なんか見る事聞く事初めてのことだらけで、アホみたいな相槌しかできていなかったように思います。

驚いたのがあそこにいると言われても全くどこにいるのか分からなかった事。

完全に自然と同化してるんですよね。(当然っちゃ当然)

ちなみに発砲の瞬間を動画で撮影しておりましたのでもしよければご覧ください。

遠目からズームで寄ったのでかなり荒い映像になりますがご了承くださいね。

間近で銃声を聞いたのも初めてでしたしすごい衝撃でした。

「終わったからおいで」

そういわれて現場に向かってみると、

ケガをしながらも必死に逃げようと、生き延びようとあがいた痕跡と

ぐったりとしたシカがそこにはいました。

これから猟師を目指すんだから目をそらしちゃいけないと思ってみていると、

まだ動いているんですよね。

頭を打ちぬいてもしばらく走って逃げることもあるそうですし、

イノシシだと100メートル以上走り回ることもあるらしく猟犬がいないと仕留めても見つけられないこともあるんだそう。

やべぇな。

獣害駆除申請の仕方と解体

その後軽トラに仕留めた鹿を積み込んで支部長さんのお宅へお邪魔しました。

駆除した後の補助金を申請するための手順を教えていただきました。

こういうものを持っていたら便利やでとか、一人でやろうと思ったら頭を使わなあかん

というようなことを何度も聞かせていただきました。

ベテラン猟師からの活きた助言は本当に金言。

無駄が無いし、効率的。

という事で手続きの必要な作業を終えて実際に解体作業を見せていただけることに。

倉庫というか小屋の梁を利用して吊り下げる道具をセット。

こんなんどう考えても家ではできないし、職場でも厳しいし、そもそも道具を買う設備投資だけで破産してしまいそうですよね。

「おっちゃん使わしてくれー言うてくれたらなんぼでも場所貸したるからな」

というコム兄の心を見透かしたかのような何とも優しいお言葉。

「もしくは山であるんやったら、木の枝を利用して獲物をくくったひもを車で引っ張ったら簡単やで。」

なんていうアドバイスも。

本当にためになります。

こちらが実際に吊るされた様子。

両方の前足が損傷していることが見て取れますね。

目を見るとさすがに悲しい気持ちになってしまうのであまり直視できませんでした。

という事で早速解体が始まります。

まずは内臓を傷つけないようにお腹を割って内臓を取り出していきます。

そのため腸の位置や膀胱の位置などしっかりと把握する必要があります。

そして内臓が取り出された状態がこちら。

笹の棒を使ってお腹を開いて視野角を確保することによって作業効率が格段にアップ。

ちょっとしたことですがこういったことも教科書では学べないので貴重な情報です。

先ほどまで生きていましたので体温が残っていてほのかに湯気が立ち上っておりました。

さっきまで生きていた命を扱っているんだな。

大事にしなきゃいけないな。

と改めて思いました。

次に皮を剥いで部位ごとに解体していきます。

皮を剥ぐところは今回は体験することが出来ませんでしたが、案外するすると剥けていきました。

イノシシの場合は皮と身の間の脂が貴重で美味しいのでもう少し丁寧にしないといけないし、

脂が多いから切れ味も鈍って難しいとの事でした。

半身の解体は支部長さんに見本を見せていただいて、残りの半分は実際にコム兄が捌かせていただきました。

左手に軍手をはめて右手にはナイフを持っての作業でしたが、

軍手越しにも体温が伝わってきます。

生温かい肉を解体するのが初めてだったので衝撃でした。

無事に終わると今日の肉は全部持って帰って良いよとの事。

ありがたく頂戴し、もったいないので残った骨もすべて持ち帰って出汁をとることにしました。

今回のシカは1歳のメスという事でかなり小柄な個体でした。

忘れられない経験をありがとう。

獣害と命のバランス

獣害で困っている農家さんがいるのも事実ですが、

シカやイノシシだけが悪いわけではないと支部長さんは語ります。

「昔はクジラが御馳走で美味い美味いといって食べていたけど、外国から入ってきたハンバーガーやステーキの味を知ってしまったらなんちゅうことないやんか。

餌がなくなって山から下りてきて人間が育てたものを食べたり、ゴミをあさったり。

そんな風にして簡単に美味いものを食べることが出来たら山に戻るのを忘れてしまうやつがいても当然やわな。」

と。

これからやらなければいけないことは多そうですが、できることからボチボチ進めていこうと思いますので応援よろしくお願いします。

最後に

止め刺しとめさし(仕留める事)から解体までの一部始終を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

最後まで読み進めてくださった方がどれほどいらっしゃるか分かりませんが

改めて猟師という世界の奥深さを感じることが出来ました。

こちらは職場に持ち帰った肉たちの写真。

翌日背ロースと呼ばれる柔らかくて最高級の希少部位とモモ肉を持ち帰って家でローストしてみました。

初めのうちは可哀そうとか嫌悪感を抱いていた子供達も一口食べた後には競うように食べていました。

冷凍もしていないし穫れたて、しかも自分で捌いたシカの味は言葉にできない美味しさと感慨深さに満ちていました。

シーズンが始まりましたのでまずは一頭捕まえられるように。

たとえこの先年限が経って多く捕まえられるようになったとしても

この日のこの感覚を忘れることなく、頑張っていきたいと思います。

応援してくれよなっっ!!

ではまた!!!!!

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