【新米猟師奮闘記3】遂にその時が…編

コム兄と猟師

皆さんこんにちは。

早いもので年が明けてから一月が終わってしまおうとしています。

初夢どんなの見ました?

とか

今年の目標決めました?

などなど。

新年っぽい話題でお話する事もなく、ただただ時間だけが過ぎ去ってしまっています。

仕切って気持ちも新たにスタートしないといけないなぁ…

と思いつつも、いまいち去年の流れから切り替えられていないような感じがしています。

いけませんね。

どうも今年もパッとしないコム兄です。

さて、前回の記事では

せっかく罠に掛かった鹿が見回りに行けていない間に亡くなってしまっていた

という記事を紹介しました。

↓↓読んでいない方は是非こちらから↓↓

今回は二つ仕掛けていたうちのもう一つの罠の方について紹介していこうと思います。

コム兄は前回の教訓を生かして獲物を捕獲することが出来たのでしょうか。

早速行ってみましょう。

ちぇけら。

罠を外しに

前回の記事で紹介したように、久しぶりに見回りに行ったらせっかく罠にかかった鹿が亡くなっていたのであります。

本来であれば発見した時に脚に掛かった罠を解いて埋葬してやるべきだったのですが

まさか掛かっているいるとも思っていなかったので

仕事終わりに手袋もせずにサクッと確認に行ってしまったのです。

色々と衝撃的過ぎて頭が処理しきれずに動けなくなってしまったのと、

なにより素手で触る勇気がなかったんです。

どうしたらいいか分からず立ち尽くしているしている間に暗くなってきちゃったので

「暗くなってきちゃったし」

というのを言い訳にして、申し訳なさに後ろ髪をひかれながらも

脚に括られたワイヤーを外すのを翌日する事にして一旦帰宅したのでした。

翌日予定通り罠を外しに行くとなんだか前日までとは雰囲気というか何かに違和感を感じるわけです。

何かを掘ったであろう跡、

どこからともなく漂ってくる獣の匂い、

平均的に積もっていた落ち葉が塊になっている所やなくなって土肌がむき出しになっているとろ。

旋回するように飛ぶ鳥など。

なんだかゾワゾワします。

調べてみるとタヌキやイノシシや鳥などが死んだ鹿を食べることがあるとの事。

スカベンジャーなんて呼ばれるみたいですが、

可愛らしく言うと森の掃除屋さんといったところでしょうか。

なんだか怖いですけど命が単に無駄にならなくて良かったとも思ったり。

何とも言えない違和感は鹿を狙いに来ている獣たちによるものだったのかもしれませんね。

調べたことで獣が集まってきていることが分かってしまったが故に

スッキリするどころか恐怖心が増してしまったので

さっさとワイヤーを外してやり、葉っぱを簡単にかけて拝んでおきました。

土をかけて埋葬したほうが良かったのでしょうが、

また掘り返されることを思うとこのくらいの方がいいのかもなと思ったんです。

発見・準備・気持ちの整理

罠を外しに行った日はなんだかどっと疲れた気がしたので

もう一つ設置してあった罠の確認は翌日にする事にしました。

距離的にはかなり近いところに仕掛けていたので見に行こうと思えば行けたんですけどね。

なんかしんどくなってしまってね。

もう一方のポイントは獣道ではあるんだけど

数日前までは全然かかる雰囲気が無くて

ポイント変えたほうがいいかなー

なんて思っていたようなところ。

でも鹿の死によって何となく獣の流れというか動きというかが変わったのか、

獣道の痕跡も濃くなっているように感じました。

遠くから見た時には気が付きませんでしたが、

近寄ってみてみると小さな鹿が掛かっていました。

うわ、マジかよ。

なんて思いながら仕掛けた本人が一番びっくりしている始末。

白目の感じがめっちゃ怖い。

それによく見ると罠のかかりが甘く、爪の先しかかかっていない。

モタモタしているとワイヤーが外れて逃げられる可能性があるといった状態。

心臓バクバクですよホンマに。

まさか掛かるとは思っていなかったので

支部長直伝の木の杖しかもっていなくて(ほぼ丸腰)

いったん帰って準備を整えて、それからまたポイントへ向かう事にしました。

準備しに行くというよりは一旦離れて頭を整理したかったのかもしれません。

誰か(職場の人)に話して落ち着きたかったのかもしれません。

いずれにしても通常の精神状態でなかったのは言うまでもありません。

準備は準備でも道具がどうこうと言うよりは

心の準備といった方が正しい気がします。

だって準備と言っても、まだ道具を満足に整えられていないコム兄が持参したのは

ナイフ一本と仕留めた後のシカを車に乗せるための

以上2点。

本来であれば安全な捕獲を行うために

脚や頭を固定するための道具やロープ、

離れたところから心臓を突き刺す槍、

より安全に仕留めるための電気槍

などなどなどを用意して臨むんだと思いますが

費用がかさんでなかなか設備投資が追いつきません。

というか

「1年目はなかなか獲れへん」

と聞いていたので

道具揃えるのもボチボチでい一かなぁと思っていたのが本音であります。

ルーキーイヤーである今年は山に慣れることに主眼をおいて、

もし万が一デカいのがかかったら

支部長に応援に来てもらおう作戦

を発動させようという何とも他力本願の甘えた考えの野郎なわけでございます。

困った奴だぜ。(お前だよ)

幸いなことに今回かかった鹿は小型だったこともあり

支部長の助けなしで自分一人で仕留めるのを実践してみることにしました。

小さいとはいえ逃げようと暴れる鹿は迫力があります。

「鹿に蹴られたら一発で骨折れるで」

と以前支部長から聞いておりましたので慎重に取り掛かります。

Youtubeなんかを見ていると生け捕りにしている動画をよく見ますが

今のコム兄にそんなスキルはありません。(残念過ぎる)

コム兄の作戦はとってもシンプル。

その辺に落ちている木の棒で頭部を一撃して気絶させて、

そのすきにナイフで仕留めるというもの。

超原始的

いざとなると本当怖い。

対峙する獣が怖いというのももちろんあるんだけど、

一線を越えるというか、自分が自分でなくなってしまうんじゃないかという恐怖感

なかなか適切に言語化出来ていない感じが悔しい。

自分の感情なのにね。

遂にその時が・・・

今のコム兄の装備では何はともあれ失神させないことには何も始まりません。

山の中ですからそこら中に木の枝は落ちているんですが

腐ってスカスカの木の棒も少なくありません。

何回も叩いてたらかわいそうですし

一撃で失神させるためにも棒選びは慎重に行いました。

素振りも兼ねて地面をたたきつけて棒の強度を確かめたりして。

そして、間合いを徐々に詰めて一振り。

こんなに生き物を強く叩いた事がこれまでにあったでしょうか。

いや、あったとしたら問題なんですけど。

ゆっくりと倒れる鹿。

失神して痙攣しているのか、

それとも痛みに震えているのか。

完全に動きが止まったわけではないので良くわからない。

「耳がピンと立ってたら意識がまだあるから気を抜いたらアカン」

と支部長に言われたことを思い出しました。

怒り狂った鹿に反撃を食らってはいけませんので念のためもう一撃。

頭部を膝で、前脚をコム兄の足で押さえて

震える手で頸動脈をナイフで切りました。

呼吸が粗くなる鹿と流れでてくる赤い血液。

改めて命を奪ったんだなと実感。

支部長は心臓部にナイフを入れていましたがなんだか怖くて出来ませんでした。

本当に何とも言えない感覚。

心臓がバクバクするんだけど脳みそは妙に冷静というか。

少し落ち着いたからか汗でビショビショになってることに気が付きました。

よっぽど緊張していたんだな自分。

と自分を客観的に見られるくらいに冷静。

なんでだろ。

通過儀礼を終えたと言いますか、

これでやっとコム兄も猟師のスタートラインに立てたのかなと思いました。

ジビエに限らず普段食べている食材は

命を奪う

という1番嫌な所を、知らない誰かが担ってくれてたんだなという事に気が付きました。

ほんと凄いと思うの。

和牛だろうが

輸入された筋張ったお肉だろうが

フレッシュな状態だろうが

冷凍だろうが

僕たちの所に届くまでの間に誰かがこの行為をしてくれている。

食材だけでなく、そういった方へのリスペクトも忘れてはいけないなと再確認したコム兄なのでした。

今回小さい鹿が掛かってくれたのは、

他力本願なコム兄に猟師としての経験をさせてやろうという

山からの恵みだったのかもしれません。

本当に、本当にありがとう。

解体

相変わらず興奮はまだおさまりませんが、

せっかく頂いた命ですので無駄にしないように処理しなければいけません。

持参したもう一つのアイテムであるに入れて山を下りて車に積み込みました。

かろうじて一人で運び出せるくらいのサイズで本当に助かりました。

泥を落として、内臓を出して、皮を剥いて、ブロックごとに分けます。

めちゃくちゃ簡単に言いましたが、慣れないコム兄は2時間半はかかってしまいます。

内蔵を抜いて皮を剥いてしまえば

新米猟師から本業の料理人であるコム兄にバトンタッチ。(は?)

ここからはいかにいい状態で保存するか、

いかに美味しくできるかという世界線。

ここまでくると”食材”なのでグロくはないと思いますので写真も添えておきます。

余分な脂や筋膜の類は処分しましたが、

骨や筋は出汁に。

心臓、肝臓、肺など食べられそうな内蔵も丁寧に処理して家族で食べました。

剥いだ皮はざっと洗って冷凍保存。

これを後日鞣し工場に持っていって皮から革にしてもらいます。

そこから先はレザークラフトをしている兄にバトンタッチ。

人間を困らせる害獣から

人間に喜びを与えられる料理革製品に。

コム兄に出来ることはけして多くはないけれど、

少しでもいい循環に貢献できたら嬉しいなと心から思います。

まだ1頭仕留めただけの事ですが

得られる事や考えさせられる事はとても多かったなと思います。

次回以降も頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!!!

最後に

いかがでしたでしょうか。

生々しい表現も多く、気分が沈んでしまった方もいらっしゃるのではないかと思います。

ごめんなさい。

文章として残すのかめちゃくちゃ悩みましたが

この日のことは絶対に忘れたくないと思い

拙いながらも紡いでみました。

皆様におかれましても

なにか特別なことはする必要はないんだけど、

いただきます!

をするときと

ご馳走様でした!

をする時に、少しでいいから命に思いを馳せてもらえたら素敵だなって思います。

さて、次回は皮なめし工場の見学に行った際の記事を紹介していこうと思います!

興味ある人も無い人も見てくれると嬉しいです!

皆さんの応援まってます!!!

ではまたっっっ

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