先日5月12日にソムリエ協会奈良支部の例会セミナーがありました。
この例会セミナーは年に4回程開催されているもので
ソムリエ協会の会員以外の方でも(会員以外の方は有料です)受講することができます
セミナーの内容は先述した通りA~Dの4種類のテーマに分かれていて、A~Cは全支部共通のテーマで、D支部別のテーマとなっております。
先日大阪でもDの支部別テーマの例会が開催されておりましたが
そちらは
「大阪GI誕生史 これまでの歩みとこれからの取り組み~ソムリエたちにできること」
というテーマでした。
非常にタイムリーでその支部に関連しているものがテーマに選ばれていることが分かります
さて、今回の奈良支部のテーマは
「奈良県初のワイナリーができるまでとこれからの展望」
でした。
そうなんです。
全国の皆さんお待たせいたしました。
奈良にワイナリーが誕生いたします。
嬉しいですね
今回はそんな例会に参加させていただいたコム兄が
どんな内容だったのかを自身の備忘録として記しておきたいと思います
田崎会長、木谷一登氏登壇
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今回の例会には日本ソムリエ協会の田崎眞也会長と木谷ワイン代表の木谷一登氏が登壇されていました。
どうでもいい話かもしれませんが
田崎会長めっちゃいい声でした
大体例会のセミナーは二時間程度の内容で、前半がテーマに沿っての講義で
後半はテーマに即したワインを試飲するというのが定番の流れかなと思っています。
(例外もあるのかな?)
今回も例にもれず講義からスタートします
講義スタート
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木谷さん自身の経歴やどのようなきっかけでワイン造りに興味を持ち、
どのような経緯で現在に至るのかという概要、
またブドウ栽培を始めた頃の話やどんな品種を植えているのか
栽培に対する考え方だったり、仕立て方の事だったり、醸造に対する考えだったり。
コム兄自身木谷さんの畑でお手伝いさせていただく機会が何度かあり、
このあたりのことは実をいうと聞かせていただいたことはありましたので、
ふむふむ、そうだそうだ
というような感じで聞かせてもらっていました。
田崎会長
「木谷さんは京都大学時代に糖尿病の研究をされていたそうですが、
そんな研究をされていた方が
糖尿病の方が糖度が高くて飲めないワインを
造ろうとしている事に驚いていましたし
銀行マンからワイン造りに興味を持ち始めてから
実行に移すまでがめちゃくちゃ短いということ、
あらゆることへの決断力がすばらしいですね」
と驚いていました。
また
「世界中でワインを造っている方に目を向けてみると
お父さんやおじいさんの代からブドウ造りやワイン造りをしていて、
子供のころからそういう環境にあることが多く
自身の想いや理念に付くのは自分の代になって
現場を任されて暫くたってからという方が多いように思います
その点木谷さんは数十年携わっている人のような感じを受けます
また、短い期間でワインづくりをするうえでの
想いがまとまっている事にも関心させられました」
とのことでした
すごいですね
テイスティング
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いよいよ待ちに待ったテイスティングタイムです
1カタシモワイナリー たこシャン2020
完熟した色っぽい香り、フラネオール由来の苺のような、綿あめ、蜂蜜、
気温の高い地域のシャルドネのような香り
とても複雑で完熟したデラから造られていることがわかる
ガス圧はやや低め
たこシャンということだがソースがかかったたこ焼きにはきついかも
マヨネーズと鰹節だけかかっているものならあうだろう
(そんな食べ方をするか知らないがw)
2木谷ワインデラウェアスパークリング2020
青いグリーンな香り(青デラ収穫)、ガス圧5
酸が印象的。(和風の)シトラス、リンゴのような香り
イカリングフライ、たこの唐揚げにレモンを絞るような感覚で。
ワインのボリュームが細い分油脂分のある食べ物と合わせるのが良いかも
3カタシモワイナリー大阪デラウェア2021
青デラと60完熟デラ40をブレンド
甲州にもみられる柑橘のような香りと梨のような香り
(グリ系ブドウにみられる特徴)
酸が柔らかい溶け込んだ優しい印象
余韻にの柑橘系フレーバーのとミネラル感を感じる塩味
ほのかに感じる苦みがコクや複雑さをを与えている印象
4木谷ワイン デラウェア2021 生産量180L
種なしのものをあっさり搾汁
搾汁後に発酵前に殺菌を目的にほんの少量SO2添加
色調はやや濃い目の黄金色ややトパーズを含む
無濾過からくる濁り
SO2を使用しないため酸化熟成による影響からシロップ漬けにした黄色のフルーツ(かりん)蜂蜜が加わったような
マンゴーパパイヤなどのトロピカルフルーツのニュアンス
SO2不使用で酸化熟成のニュアンスが出ているにもかかわらずネガティブなものがほとんど見られない
完熟種なしのデラウェアを使っているため酸味は穏やか
12%という度数だが、酸が穏やかであるためリッチな印象を与えてくてる
合わせる料理は
鶏肉のむね肉のピカタ、ソースはブールブランにオレンジの果汁を加えたようなもの
枇杷のコンポートをベースに作ったソースと合鴨のロースト
あとこの複雑な味わいは”蘇”にあうかもという事でした
5木谷ワイン ピノノワール 生産量50L
除梗破砕時にSO2をわずかに使用
樽は不使用(樽に入れる量が出来なかった)
酸化熟成の影響で縁が少しオレンジかかりはじめているが
色調が濃くて素晴らしい
ジャム状の野イチゴ、レッドチェリーやハイビスカスティー、
若干のブレタノ
(クラシックなブルゴーニュの造り手は複雑性を持たせてくれるためポジティブに捉えることが多い)
若木の影響から若干のメトキシピラジンの青さ、スパイシーさも若干感じる
味わいは素晴らしい。酸が柔らかで溶け込んでいる分果実味が広がり、
タンニンはシルキーで余韻にも赤系果実の果実味が広がる
香りよりも味わいのほうがピノノワールの特徴が出ている
樽を使ったいないので後味も果実味が広がる。
とにかく色が素晴らしいと絶賛されていました
小仕込みで酸化や微生物コントロールが難しい中素晴らしいとのことでした
コートドボーヌやシャロネーズにあるようなクラシックな造りのものを彷彿とさせる
とも言っておりました
ピノは栽培面で難しい点が多いが、とても期待値が高いことがわかりましたね
木谷さんは新しく植えることは無いと言っていましたが、、、
今回の学び
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・奈良はブドウ発祥の土地だった!!
(遣唐使が持ち帰った)
・奈良のテロワールはまだわからない
・ビジュノワールは色づきがよく完熟しやすい品種のため、10年後20年後は日本中で栽培面積が増えるんじゃないかという事(特に西日本は黒系ブドウの色づきが年によってまばらであるため)
・ピノノワールはやめておいた方がいい(奈良では)
・モンドブリエ(日本生まれ)・・・シャルドネ×カユガホワイト
べと病対策で耐寒性があり、マスカット香に近い香り
・コリーヌヴェルド(日本生まれ)・・・シャルドネ×ケルナー
耐寒性を目指して造られたが逆に耐寒性が無い品種。酸が残りやすい
・ビジュノワール(日本生まれ)・・・(甲州三尺×メルロー)×マルベック
天候が悪い時にもしっかりと色が付きやすい
・ロゴマークの由来は鹿の角ではなく”根っこ”
・デラウェアが完熟してくるとトロピカルフルーツやフラネオールの香りが出てくる
・デラウェアという品種は多くの品種を交配されて50年たってからセレクトされた品種で
少しだけヴィニフェラの遺伝子が残っている
・アメリカ系品種だがコンコードのようにフォクシーフレーバーは感じられない
・デラウェアはフリーランを使って、荒い澱との接触を避けるように造ればヴィニフェラに寄って行くような気がする
木谷さんの今後の展望としては
ゆくゆくは経営面を手放して栽培醸造に専念したいとのことでした
ということで今回は例会に参加したレポートに近い感じになりました
今後の予定としては
- 5月末~・・・ブドウ傘かけボランティア募集
- 7月 ・・・ワイナリーオープン、機材搬入
- 8~10月・・・仕込みシーズン、収穫ボランティア募集
- 11月 ・・・新酒リリース
とのことでした
コム兄も時間を見つけてお手伝いにいかせていただきたいと思っています
以上備忘録として記しておきます
最後までお読みいただいた方ありがとうございました
ではまた!!
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