なんだか久方ぶりのワイン関連の記事のような気がいたします。
どうもこんにちは、コム兄です。
先日南アフリカワインといえばの株式会社マスダさんの三宅さんにお誘いいただいて
アタラクシア(Ataraxia Wines)さんの生産者来日セミナーに参加させていただきました。
土壌に関する事や冷涼たらしめている要因など産地の特徴や醸造方法の解説に始まり
テロワールを表現したより良いワイン造るんだというケヴィンさんの想いに触れてまいりました。
中にはブラック・シャルドネやソイル・テイスティングなどなど初めて聞く単語もありましたが、三宅さんの通訳を通して丁寧に解説頂いたおかげでコム兄でも楽しく学ぶことが出来ました。
この記事を読んでいただく事で産地や生産者への理解だけではなく、そういった聞きなれない単語についても理解していただけると思いますので最後までお付き合いのほどお願いします。
コム兄はセミナーを受講して記事にするためにメモや資料を見返して反芻したわけですけども
結果、ケヴィンさんのことが好きになったし、アタラクシアのワインをもっともっと飲みたいなと思いました。
そんな素敵なセミナーに参加させていただきましたので、備忘録的ではありますがいつも通り紹介してみようと思います。
間違って理解しているようなところがあったら優しく指摘してくださると嬉しく思います。
では早速行ってみましょう。
ちぇけら。
I am ソイル・ファーマー
例によって自己紹介からセミナーが始まったわけですが、アタラクシアのオーナー兼醸造家のケヴィンさんは
”ワイン造りのヒーローは自分ではない”と言います。
一体どういう事なんでしょうか。
わたしはワインメーカーというよりはソイルファーマー(土壌の表現者)だと思っていて、土壌はテロワールを表現するための相棒だと思っています。
それが私にとってのワインメイキングの全てとすら思っています。
今日はワインテイスティングというよりはソイルテイスティングというような感じでワインを通して土壌を感じてもらえたらと思います。
土壌がテロワールを表現するための相棒ってなんか素敵な表現だなって思いました。
とても謙虚で自分が造っている土地や風土への愛情や自然への敬意のようなものを感じましたよ。
「こんな事を言っていたら皆さんにテロ”ワ”リストと呼ばれるかもしれませんね(笑)」
なんてお茶目に笑いながら話すケヴィンさんが何とも素敵でした。
へめるあんあーどって?
次に三宅さんから産地の概要という事でヘメル・アン・アード(Hemel-en-Aarde)について解説頂きました。
へメル・アン・アードという普段なかなかなじみのないワードであはるんですけど、
この地区の名前で英語で言うとヘブン・オン・アース。
まさに地上の楽園といった感じで空も地上も海もワインも全て楽園のように美しいところです。
「誰が付けた名前なのか分かりません」とおっしゃっていましたが
センスあるネーミングですよね。
コム兄にも少しセンスを分けてもらいたいところです(だまれ)
そんな”地上の楽園”でアタラクシアのワインは造られていますとの事でした。
期待感半端ないよね。
どんなところ?
次にヘメル・アン・アードの地理的な説明をして頂きました。
ケープタウンから南東120キロくらい離れたウォーカー・ベイという産地の中に今回の舞台であるヘメル・アン・アードはあります。
ヘメル・アン・アードはさらに小さな 3 つの小地区に分けることが出来き、
- ヘメル・アン・アード・ヴァレー
- アッパー・ヘメル・アン・アード・ヴァレー
- ヘメル・アン・アード・リッジ
というよう分かれます。
との事でした。
なんだかお話が難しくなっていきそうですが食らいついていこうと思います。
アタラクシアが位置しているのはその3つの小地区のうち最も標高の高いエリアである
へメル・アン・アード・リッジなんだそうです。
ちなみにちなみにヘメル・アン・アードは世界的にも評価されていて
ヘメル・アン・アードはシャルドネ・パラダイス
という表現されるくらい非常にレベルの高いシャルドネが産出される産地なんですってよ奥さん。
いやぁ面白い。
ヘメル・アン・アードの歴史
先ほども紹介したとおりブルゴーニュでいう所のコート・ドールのように素晴らしいワインがひしめき合っているエリアとして注目を集めているらしいへメル・アン・アードですが
360年以上前の開拓された当時には「寒すぎる」として注目されていなかったんだそう。
さらっと言いましたが実は南アフリカって365年のワイン造りの歴史がある産地なんですね。
その頃日本では江戸城の建設が始まったっていう時代感のようです。てやんでぃ。
それから月日が経ってこのエリアで最初にブドウが植えられたのが1975年のことで、ハミルトンラッセルがこのエリアでブドウ栽培をスタートしました。
360年近くのワイン造りの歴史がある南アフリカのなかにあって歴史の浅い産地という事になるようですね。
これからもこの産地から目が離せませんね。
もしブドウ栽培を見送ったヨーロッパの人が今の成功を見たら悔しくて憤死してしまうかもしれませんが
見る目が無いで有名のコム兄は気持ちが良くわかりますので同情しておこうと思います(何の話やねん)
そしてこのエリアのパイオニアとも呼べるハミルトンラッセルで醸造を担当していたのが何を隠そう今回来日してくださったケヴィンさんなんだと言うからおったまげ。(情報知らなさすぎ)
その後独立されてアタラクシアを立ち上げたということの様でした。
へメル・アン・アードの特徴
先ほど3つの小地区に分かれると紹介しました。
わざわざ分けているという事はそれぞれ特徴が異なるからで、それぞれの特徴についても解説頂きました。
が、
その前にへメル・アン・アード全体的に言える特徴について確認しておこうと思います。
一番はCoastalでFar in the southであるという事。
この説明のままではマスダさんに用意いただいた資料をコピペしただけなのがバレてしまいますのでもう少し(自分のために)かみ砕きますと、
南アフリカは南半球にある国ですから南に行くほど寒いし、海に沿いにあるからその影響で冷えるんですね。(そのままやないかいw)
位置関係を整理しますと、
黄色い丸で囲われた海に一番近い南側のエリアがヘメル・アン・アード・ヴァレー。
反対に一番海から離れているオレンジ色の円のエリアがヘメル・アン・アード・リッジ。
その中間に位置する青で囲われたエリアがアッパー・ヘメル・アン・アード・ヴァレー
となります。
へメル・アン・アードは端から端までで約8キロという非常に小さなエリアで、その中に20ほどの生産者がいます。
位置関係の説明だけで頭が痛くなってしまいそうですね。
その他にも家族経営の小規模生産者が多いことや、バルクではなくてハイエンドなトップクオリティのワインが産出されているというのも特徴に挙げられると仰っていました。
ワインラヴァーにとっても”楽園”ですね。
南アフリカが冷涼である秘訣
今更ですが、なにゆえ南アフリカが冷涼な産地なのかを確認しておきたいと思います。
知ってるぜって方もお付き合いお願いします。(時間ない方は飛ばすのも可)
緯度が高いというのは先ほども紹介した通りですが、
もう一つはケープタウン周辺にはベンゲラ海流という寒流が流れています。
さらにへメル・アン・アードについていえばサウスイースター(南東風)と言われる海風が海から山を越えて入ってくることでヘメル・アン・アードの谷の中にも冷たい風が入って来るんだそう。
お察しの通り海からの冷たい影響が盛りだくさんなわけです。
まるで冷涼要素の見本市。
より取り見取りでごぜぇます。
ヨーロッパ人が栽培を見送りたくなるのも納得の条件です。
さらにもう一つこのエリアの重要な要素として標高があげられます。
まとめますと
- 緯度の高さ
- 海からの影響
- 標高の高さ
によってここが冷涼に保たれている。
という事でございました。
その上で3つの小地区の特徴を解説頂きました。
ヘメル・アン・アード・ヴァレーは一番海に近いですが、3つの小地区の中では標高が一番低い。ハミルトンラッセルがあるところは標高 80 から 100m ぐらいになります。
反対にヘメル・アン・アード・リッジになると海から少し離れはしますが、今度は標高が一番高くて、アタラクシアの畑で 380 とか 400m というエリアになります
ハミルトンラッセルとアタラクシアでは300mぐらいの標高差があることになりますが、だいたい 100m 標高が上がると平均 1度ぐらい下がっていきますので、だいたい平均気温が3度ぐらい違うということになります。
で、真ん中の地区はは海からの距離も標高も中間くらいという感じです。
海から離れるほど標高が高くなってるんですね。
乱暴な言い方をするとどこにいても寒いんだってことなんですが
寒さの要因が違うと言いますか、何となく特徴がつかめてきましたね。
土壌について
ソイル・ファーマーを自称するほど土壌に対してこだわりを持つケヴィンさんですが
こちらも三宅さんが分かりやすく説明してくださいました。
標高の低いヘメル・アン・アード・ヴァレーと一番高いヘメル・アン・アード・リッジは両方ともこの頁岩(シェール)が多いエリアになります。
頁岩というのは鉄分とか粘土質が非常にたくさん含まれていて比較的しっかりしたボディのワインができます。
この 2 つのエリア土壌的に比較的似てますが、ヘメルアンアードリッジの方が標高が高くなる影響でより冷涼になります。
真ん中のアッパー・ヘメル・アン・アードは花崗岩(グラナイト)や砂岩系(サンドストーン)の土壌が多いというエリアになります。
この真ん中のエリアは両隣の小地区に比べると少し優しい味わいの傾向があるんですが、これは土壌の違いでもあります。
ふむふむ!!
冒頭「土壌を感じるテイスティングを」と仰っていましたがコム兄にできるのか不安になってきました。
こちらの白い石の事を現地ではテーブルマウンテンサンドストーンと言いますが、地球上で一番古い5億5000万年前の土壌になります。
この砂岩は水はけがいい土壌で、ソーヴィニョンブラン、リースリング、セミヨンなど、アロマティックな品種が向いているのではないかと思っています。
茶色い土の方がシェールで頁岩になります。
こちらはもう少し若く 3億8000万年前の土壌で、鉄分と粘土が非常にたくさん入っているという土壌になります。
この頁岩ボディがしっかりした、それでいて酸とのバランスも綺麗なワインになるということで、シャルドネとピノノワールに向いているんじゃないかと考えています。
アタラクシアについて
ネーミングの理由や追い求めるワイン像についても教えていただきましたので
紹介させていただきたいと思います。
アタラクシアってどういう意味?
アトラクシアというワード自体は英語ですが、ギリシャ語に由来しているそう。
古代ギリシャの哲学者によってつくられた言葉で、意味はリラックスとか静けさなど心配事や世の中の喧騒から解き放たれた穏やかな精神の状態を指すような意味になります(だよね?)
ブランドのロゴに使われているイラストも宙に浮いている状態であらゆるものから解放されてリラックスしたような様子をあらわしているんだそう。
天使が脇の匂い嗅いでるみたいですよね
ワインは私たちの生活に付加価値を付けるという点で人類にとって普遍的な存在で私たちの暮らしをより良いものにしてくれます。
例えば良くないことが起こった時、仕事で締め切りに追われている時も、上司にけちょんけちょんに怒られて帰宅した時、例え悪くない一日であったとしても、優しい上司に恵まれていたとしても、日常をよりよいものにしてほしいんです。
疲れきった現代人に安らぎを。
なんと素晴らしい企業理念なんでしょうか。
アタラクシアの追い求めるワイン像
私はこのワインはこの土から、こっちのワインはあの土から。というように土地を表すようなワインを造りたいと思っています。
ベストなシャルドネとかベストなピノとかベストなソーヴィニョンブランを作ろうというよりも場所が表現できているようなワインを造る方が重要だfor me。
そういった考えのもと、どの場所にどの品種が向いているのか分析をして、その場所に一番向いたものを植えることが結果として誠に素晴らしいワインができるという信念を持っているそう。
GPSコーディネートって言ってたかな。
現代的やでしかし。
レンジについて
アタラクシアのラインナップについてですが、ラベルにシルバーの色がついたものがコアアレンジで毎年必ずつくる基本のワイン。
この日テイスティングする1番 2 番のラベルが白いものはリミテッドということで限定の上級レンジでシングルビンヤード(単一畑)の 100% オーガニックのブドウで作られたものになります。
アタラクシアではオーガニックに転換中で5年くらいかけて100%オーガニックになる予定ですが、現在ワイナリー全体の58%がオーガニックになっているんだそう。
その他にいい出来の年にだけ造る(オケージョナルって言ってたかな?)ものもあります。
あれ?あってます?
テイスティング
この日のセミナーでの試飲アイテムは白が1種、赤が2種の3種類が用意されていました。
(これ以外にご厚意でフリーテイスティングと称したスペシャル試飲もさせていただきました)
まずは1番のシャルドネから行ってみようと思うのですが、
何やら聞きなれない単語がコム兄の耳を襲ってきたのでした。
Ataraxia Earthborn Chardonnay 2022
こちらのワインは既に100%オーガニックになった畑からつくられたシャルドネですとの事でした。
さすがトップレンジって感じでしょうか。
その他にも”アルコールはいくら”で”酸度はいくら”で、”新樽比率は何パーセント”で・・・
と解説頂いたのですが、ケヴィンさんが
this is critical!
と強調されていたのがブラック•メソットと呼ばれる製法を用いた作り方。
中学、高校時代だったら
「ここテストでるでー!」
ってな具合でしょう。(知らんけど)
(多分)日本語で話した方が早いからという理由で三宅さんに解説頂いたのでした。
もともとは150 年ぐらい前にブルゴーニュの一部の生産者でこういう作り方をやっていたという文献が残っていて、その記事を読んで独学でやってみたらしいです。
最近はソフトプレスが主流でプレスした時に酸化しないようにso2を入れたり、窒素ガスを注入するやり方がメジャーなんですけど、こちらは逆にしっかりプレスして、しかもプレスして出てきたジュースにしっかり酸素を注入するという方法をとっています。
ジュースが茶色っぽい色をしていることからブラック·シャルドネと呼んでいるそうです。
これがその酸素注入ジュースなわけですが、味噌汁みたいなこの茶色っぽい液体が発酵が終わった頃には透明な綺麗なシャルドネの色になってるということなんです。
信じられますか?
いや、信じてください。
作り方は超スパルタ的ですが、ただ時代の逆張りをしているという事ではなさそうです。
この方法を用いるのは、発酵前の段階で酸素に触れることで長期熟成に耐えられるワインにしたいというのが目的としてあります。
彼の考え方として、ブルゴーニュのシャルドネと比べて、ニューワールドのシャルドネは熟成させるとフルーツと樽の感じが綺麗になっていくというよりも、4年くらい経つとだんだん落ちていくというようなイメージを持っているそうです。
それを払拭するというか、このやり方によってシャルドネの持つポテンシャルを引き出して、より長く熟成し、よりキレイなスタイルのシャルドネを目指したいということで、こういうやり方をやっております。
これが酸素に触れさせている様子の動画を解説頂いている写真。
タンクから出てき時点でゴリゴリに酸化してますが、さらこのパイプの中にも酸素を注入にして循環までさせて酸素に触れさせるそうです。
ハイパーオキシデーションと呼ばれるテクニックがあるそうですが、それよりもより長い時間(2時間以上も)この作業を続けて将来的な酸化への免疫を鍛えているんだそう。
聞き取りが間違っていなければ
MEGA! MEGA!
とおっしゃっていたように思います。
アタラクシアのシャルドネさん、ムッキムキに鍛えられております。
南アフリカではアタラクシアでしかやっていないそうで、ケヴィンさんが知る限りアメリカでは 5 社ぐらいやってるそうです。
ちなみにこの作り方に切り替えたのが2020年の事。
実験的に1タンクだけやってみて様子を見るというやり方ではなくて、この年からシャルドネの全てをこのやり方に切り替えたんだそう。
ドSなんだかドMなんだかよくわからない状態ですが、とても勇気のいる決断だったことはコム兄でも想像に容易いです。
何となくセオリー通りに造るんじゃなくて自分の信念に基づいて突き進むケヴィンさんカッコいいです。(しかもエエ声)
参考にならないコム兄的コメント
とにかく香りのボリュームが凄かった。
今日イチの衝撃でした。
とても豊かで、香りを吸っているはずなんだけど吸い込まれていくような感覚。
(伝わらないのを承知で書いてますw)
白いお花や柑橘、桃なんかの果実味や溶け込んだ樽のニュアンス。
ボリュームたっぷりで濃縮した味わいと完璧なバランスの綺麗な酸味。
余韻の酸味が好きすぎる。
酸っぱいだけの貧弱なワインじゃなくて濃縮感あってのこの味わいなんだよな。
今飲んでもしっかり美味いんだけどブラック・メソッドの本領が発揮された15年後にも飲んでみたいですね。
ブラック・シャルドネまいうーーー!
Ataraxia Earthborn Pinot Noir 2022
こちらはオーガニックの畑として一番古いブロックのシングルヴィンヤードから造られたピノ・ノワールとのこと。
こちらは収穫したブドウを軽くクラッシュして、発酵前に約10日間冷たい温度で浸漬してその後発酵。
コールド・ソークってやつでしょうか。(言いたいだけw)
先ほど紹介したシャルドネはハードプレスでしたが、こちらの場合はソフトなプレスで非常に優しく扱って醸造しているとの事。
なんでやろか。
もちろん理由はあります。
みなさんの中にはカベルネ・ソーヴィニョンが一番好きだという方もいらっしゃるかもしれませんが、私にとってピノ・ノワールこそがキング・オブ・グレープです。
ピノが王様だから丁重に優しく醸造しているんでしょうか。
んなわけねぇだろ!一昨日きやがれ!
言うとりますけども。
すみません、取り乱しました。
ケヴィンさんはピノ・ノワールが数ある品種の中で土壌や場所などのテロワールを一番表現できるブドウだと思っていて、それこそがアタラクシアにとって最も重要な要素だと語っていました。
土壌がバディで、ピノ・ノワールがキング・オブ・グレープ。
うんうん、いいじゃない。(何様だよ!)
この2022年のヴィンテージは、ここのエリアで一番最後に収穫されたワイナリーよりも更に 9 日間後に収穫したということで、このエリアで一番最後に収穫したピノノワールなんだって。
ハングタイムを長くとれるというのもアドバンテージですよね。
相変わらず参考にならないコム兄的コメント
こちらのピノはとにかく口当たりがスムースで。
香りや味わいの主体は果実で、まだまだ若いって感じでしたが
本当に君22年なの?と疑いたくなるようなきめの細かい溶け込んだようなタンニン。
テイスティンググラスが窮屈そうだなと感じさせるほどのエネルギーを感じさせるんだけど
とにかくスムースで今飲んでも美味しかった。若いのにね。
飲んでいるというよりは染み込んでくるという表現の方が適当なんじゃないかと思う程です。
優しくソフトに造っているのが結果として表れてますよね。
熟成した時にもう一度飲んでみたいですが、きっと手元に置いてたらすぐ飲んじゃうだろうなっていう困った野郎です。
いやぁケヴィンさん、とんでもないの造っちゃいましたな。
Ataraxia Marroquin Cinsault 2022
サンソーはもともと「セレニティ」というブレンド用に造っていた品種だそうですが
2019 年のサンソーが素晴らしい出来でブレンドするには勿体ないなという事で単体でボトリングしちゃったんだそう。
きっと単一でボトリングせざるを得ないクオリティだったんでしょう。
ヤバい、今年美味いぞ!的な。
この日テイスティングさせて頂いたサンソーは”ヤバいヴィンテージ”の第2弾だそう。
ちなみに先ほど紹介したピノ・ノワールと同じように、優しく抽出するようなやり方で造っているそうです。
そういえば南アのサンソーといえばエルミタージュっていうシノニムだって試験勉強の時に覚えたのを思い出しました。
<南アフリカにおけるサンソーの歴史 サンソールネッサンス>
1880年代から90年代といった19世紀後半の頃、赤ワインの中で一番栽培されてた品種がこのサンソーでした。
20世紀になって、カベルネ・ソーヴィニョンやシラーズなどの国際品種に徐々に人気を取られていって、現在でも大きく流れは変わっていなくてサンソーの立場が弱くなってきているというのが最近の流れになります。
15 年から20 年ぐらい前から若い醸造家達が 60 年から 80 年ぐらいの古木のサンソーからエレガトなスタイルの作り出してから注目を浴びるようになり、サンソー・ルネッサンスという感じで南アフリカの一つのトレンドになっています。
南アのサンソー美味いらしいぞ!
なんていう噂を最近よく耳にしますが、気が付かないうちにサンソー・ルネッサンスが起きていたんですね。
温故知新って感じでしょうか。(ルネッサンス言うてるやろ)
それにしても参考にならないコム兄的コメント
こちらももれなく染み込む系でございました。
個人的には赤系果実でも苺のようなややチャーミングな印象を受けました。
とはいえあくまでも冷涼さは感じる引き締まった味わい。
タンニンがきめ細かくて酸味も心地よくて。
確かにブレンドにしてしまうのは勿体ないかもしれません。
普通に美味しいピノだねって言っちゃうと思いますよ。
個人的に単一品種としてのサンソーの修行が足りませんのでもっともっとのんで勉強したいと思います(ただ飲みたいだけ)
質疑応答
セミナー受講者さんからとても質問力の高いセンスのある質問が飛んでいて、
きっと読者の方の参考になるんじゃないかと思いますのでいくつか紹介させていただこうと思います。
Q1、19年と20年では熟成ポテンシャルが異なるという事だと思うが、若い時点での味わいの違いはどのように感じますか。
確かにこれは気になりますよね。
熟成しないと美味しくないんじゃお店でも扱いづらいですもんね。
ケヴィンさんの見解がこちら。
A、若い段階ではそこまで差がない。ただ、この科学的な理論が正しければ、10 年後15年後に差が出てくると思います。19年も20年も若い段階ではそんなにすごい差があるというわけではありません。
安心しましたね。
10年後に19ヴィンテージと20ヴィンテージの飲み比べとかしたらめちゃくちゃ面白そうですね。
続いて次の質問。
Q、除梗していると思うが全房発酵は考えていないのですか?
確かハングタイムを長く取れる事から全房に向いてそうですが、ケヴィンさんはどのように考えているのでしょうか。
全房にすることで滑らかなテクスチャーを得ることが出来たりとても素晴らしい効果が期待できる一方で、これまでお話しした通り冷涼な産地ですのでグリーンの要素が強くなりすぎてしまうとバランスが崩れてしまうので気を付けています。
テンションというワードを強調されていたように思います。
何を隠そうこちらの2つの質問はCOCOS(旧葡萄畑ココス)の片山さんからの質問で、さすが専門家って感じでした。
また時間作ってお店にお邪魔しに行きます!!!
シャイで人見知りなコム兄ですがファンになったケヴィンさんと記念写真を撮ってもらいたくて、口実を作るべく三宅さんに通訳をして頂いて質問をさせていただきました。
Q.土壌をはじめとしたテロワールへのこだわりだけではなく、ブラック・メソットのような挑戦的なことも取り入れる事でよりポテンシャルを引き出した、より良い品質のワインを目指してらっしゃると思うのですが、栽培面、醸造面どちらでも構いませんがこれから新たに挑戦してみたいと思っていることはありますか?
こんなへんちくりんな、ともすれば大変失礼な質問なわけですが、丁寧にそして優しく答えてくれました。
A.世界的に温暖化の影響でどの産地も難しくなってきているが、そんな中でブルゴーニュでアリゴテブームが起きているのは知っているよね?酸が落ちにくい品種なのでとても興味を持っている。2年後くらいを目途に挑戦してみたいなと思っています。
とはいっても、ピノやシャルドネは作ること自体が難しいから常に挑戦だし僕にとってのキング·オブ·グレープはピノ・ノワールだからねとも仰っていました。
もしアリゴテがリリースされることがあったら是が非でも飲んでみたいと思いましたし、動向をチェックできるようにアタラクシアワインズのインスタをフォローしたいと思います。
フリーテイスティング
フリーテイスティングがまた豪華な事。
いつもテイスティングの時には基本的に吐き出すコム兄ですが、この日はその後の用事が無かった(子供の迎えも妻に頼んだ)ので、吐き出さずにすべて飲ませていただきました。
最高。
Ataraxia Sauvignon Blanc2022
とてもソーヴィニョン・ブランらしいというか、新旧世界のソーヴィニョン・ブランのいいとこ取りって感じ。
ハーバルな青い香りやグリーンシトラス、パッションフルーツのような香りもあって。
こちらも酸がとてもキレイで美味しかったです。
Ataraxia Chardonnay 2022
先ほど紹介したアースボーンの後にテイスティングしているのでスケール感は若干大人しめですが
十分すぎるほど美味しい。
これがレギュラーレンジってどうなってんすか?って感じ。
コム兄の財力では決して安い!とは言えませんが、それでも他の産地のものに比べれば割安感は感じられるんじゃないでしょうか。
ピュアでスムース。
こちらのシャルドネにもブラックメソットが採用されているという事ですのでこちらも熟成したものを味わう日が楽しみであります。
Ataraxia Pinot Noir 2018
色調はご覧の通り(写真では分かりづらいけど)すっかり落ち着いている感じ。
香りはやや閉じ気味だったのかな?といった印象。
少し冷たかったんですかね。
色調から想像するほどかれた印象はなくて、こちらもスムースでした。
大きめのグラスでゆっくり味わいたいですね。
Ataraxia Serenity 2020
こちらはピノノワール、サンソー、ピノタージュから造られる親子ブレンドといったところでしょうか。
色んなキャラクターを感じるんですけど、それでいて良くまとまっていると言いますか。
良く晴れた公園でブランコやシーソー、砂場で遊ぶ子供たちの可愛らしくてフレッシュな笑顔が浮かぶようなそんなワインでした。
このワインも熟成した姿が楽しみなワインでした。
Saurwein Om Pinot Noir 2021
こちらはコム兄が個人的にずっと気になりながらも飲めていなかったサワーヴァインさんのピノ。
ただ一言、うめぇ。
ブルゴーニュほど気難しくなくて買いさえすれば美味しさが約束されているようなそんなワイン。
とてもエレガントなんだけどその中にやさしさというか親しみやすさというか。
チャーミングだけどしっかりきれいなのは造り手さんの人柄でしょうか。
こりゃご褒美ワインですな。
Boekenhoutskloof Cap Maritime Pinot Noir 2019
こちらのワインに関しては証拠写真があるので飲んだはずなんですがメモが一切されておりませんでした。
お話に夢中だったのか、ケヴィンさんと写真を撮ってもらいたくて気が気じゃなかったのか。
いやぁあなんだか悔しい。
残念。
今回のラインナップの中では一番しっかり系で、黒系果実のニュアンスがあるかな?と思います。
違ったかな。
最後に
いかがでしたでしょうか。
アタラクシアのワインがいますぐ飲みたくなってきたのはコム兄だけではないはずです。
気がついてる方もいらっしゃるかもしれませんが、コム兄すっかりアタラクシアとケヴィンさんのファンになっちゃってます。(ちょろいぜコム兄)
カードにサインも貰っちゃったりして
もともと影響されやすいタイプではあるんですが、自分の好みの味わいとドンピシャ過ぎたのと何より人柄よね。
この記事を読むまではブラック・シャルドネや、サンソー・ルネッサンスなど聞いたことなくて怯えていた皆さんも明日からはドヤ顔で説明出来ちゃいますね。
今回このような機会を提供してくださいました株式会社マスダの皆さん、三宅さん、そして南アフリカから23時間かけて駆けつけてくださったケヴィンさんに感謝の言葉を述べて終わりたいと思います。
本当にありがとうございました。
という事で今回はここまで。
ではまたっっ!!!
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