新米猟師コム兄の狩猟奮闘記 ハンター1年目を終えてみて。骨や皮や角の利用編

コム兄と猟師

街中に春を告げる桜が散って目に優しい新緑となりツツジや藤の花が見ごろを迎えている今日この頃。

(更新が遅くなったせいでフジの花も散り始め、GWも終わってしまいました…)

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

今回の記事では狩猟して捌いた際に出る骨や皮

角などの利用について紹介していこうと思います。

ちなみに前回の記事では狩猟に関することコム兄的ジビエ料理の紹介をするなどしました。

もしよかったらこちらも見てみて下さい。

文字通り”奮闘”しておりますし、普段食べているお肉のバックグラウンドも感じていただけるんじゃないかと思います。

前回の続編として今回は

肉やホルモンなどの可食部以外のところに焦点を当てて紹介していこうと思います。

骨は出汁をとって料理に使えるわけですがそれ以外は基本的には廃棄物扱いとなるわけです。

言ってしまえば”ゴミ”なわけですが相応の施しをすることで活かすことが出来ます。

手間も時間もお金もかかりますが、やはり自分で捕えた獲物で作ったものには愛着が湧くんでやんす。

一体どんな世界が待っているんでしょうか。

早速行ってみましょう。

ちぇけら。

革物語

皮と革

ちなみに皆さんは皮と革の違いは分かりますか?

「馬鹿にすんじゃねぇ!小学生でも知ってるわ!」

なんて声が聞こえてきそうですが

弱者の見方であるコム兄ですから簡単に分かりやすく説明させていただこうと思います。

コム兄
コム兄

どちらも「かわ」と読み方は同じですが意味合いは全く違います。

「皮」は加工されていないそのままの状態を意味し、英語で言う所のskin(スキン)。

一方の「革」は皮を製品の素材に仕上げるために加工されたものを意味します。

こちらは英語で言うとleather(レザー)になるでしょうか。

実はコム兄の兄がレザークラフトをしておりまして、

コム兄自身もトートバックや名刺入れや包丁ケース、ソムリエバッジの台布や小銭入れなど

コム兄兄(コムニーニー)に多くの製品を作ってもらって愛用しています。

王道的なラインナップ以外にもランドセルリメイクや直接手書きでイラストをあしらった製品を作っています。

詳しくはこちらから。

興味のある方は是非覗いてみて下さいね。

そんなコム兄兄と話をしている中で

「ジビエとしての活用だけではなく革製品にして長く使ってもらったら人間も動物も喜ぶんじゃないか。そんな循環になったらいいよね。」

というようなことを猟期が始まる前に夢を語っていたことがありました。

そしてコム兄が鹿を捕獲することであの日の夢が現実味を帯びてきたってな感じです。

なんでも自分でやってみたいコム兄はまたまたYoutubeを見漁って皮の鞣し方を研究しました。

表面の余分な膜や脂肪をこそぎ落として、強アルカリ性の液体に漬けて除毛して・・・

などなど下処理だけでも工程がいくつもあります。

コム兄も実践してみましたが、余分な膜を落とす作業で心が折れてしまいました。

爪はボロボロになるし握力無くなるし・・・。

思ってた15倍くらい大変でした。

いやぁ、革製品が高いのも納得ですね。

鞣して皮から革へ

自分で皮を鞣すことに心が折れてしまったコム兄は

地元奈良県で皮を加工してくれるところはないかと探した訳であります。

さすが奈良県。

あるんですねぇ。

今回お世話になったのが奈良県宇陀市菟田野(うたの)町にあるこちらの企業さん。

勇気を振り絞って問い合わせしてみたものの、

どんな風に注文したらいいのかもわからないし、

大きさを表す単位とか色の番号とか言われても全然わかなくて。

そもそも相場もわかんないし。

未知の世界過ぎて不安な感じは否めませんでしたが

コム兄兄と相談してなんとか注文を確定させることが出来ました。

冷凍した鹿皮を郵送して出来上がりを待つのが一般的らしいのですが

(そもそも一般的とは?)

コム兄はどんな工程を経てレザーに生まれ変わるのかを見学したかったのと、

もし見学NGだったとしても、

どんな場所で、どんな人が携わっているのかを見たかったため直接工場まで持参してお願いすることにしたのでした。

そんなこんなでビニール袋にDIYを断念した鹿皮とワクワクと少しの不安をちょいと詰めて向かったのでした。

工場見学

奈良県内とは言え通ったことのない道を進むこと1時間くらい。

山の中of山の中に奈良産業さんはありました。

奈良産業様HPより

「お前の皮も剥がしてレザーにしてやろうか」

なんて言われたらどうしよう(そんなはずはない)

とか、そこまで過激じゃないにしても

気難しい人だったらどうしよう。

などなど。

不安が尽きない中恐る恐る近づいてみると

コム兄よりも少し若そうで優しそうな青年が立っていました。

事の由を伝えて皮を託して、工場見学をさせていただけないかとダメもとで伺ってみました。

聞くところによるとその日は工場がお休みとの事で

(ちゃんと予約して伺いましたからね!)

「他の者がいませんので・・・」

とダメな雰囲気丸出しでしたが、

「私一人しかいませんので案内しやすいですし大丈夫ですよ」

と、案外すんなり快諾してくださいました。

イケるんかい。

頭のどこかで断られるのを想定していたので質問も用意していなくて

何を聞いたら情報を引き出せるかも分からず

アホみたいな質問ばかりしてしまったように思います。

その節は本当に失礼いたしました。

こちらは水場と呼ばれるエリアで”タイコ”とよばれる木製の回転式の装置で

余分な脂肪分や毛を落としたりするようなエリアなんだそう。

コム兄が一瞬で挫折した作業がこちらでは自動で。

すごいぜ。

こちらは冷凍保存された鹿の皮がタイコの中で解凍されている様子。

お休みで工場が稼働していなかったのもあるかもしれませんが

匂いなんかもあまり気にならなくて楽しく見学させていただきました。

こちらが処理されて毛が無くなった状態。

こちらは毛が付いた状態で製品にするもので脱水工程を待っている状態の皮。

こちらは処理が終わった皮を乾燥させている工程。

これまでの処理の仕方でカッチカチになっているものとしなやかな状態のものがありました。

用途によって処理の仕方が変わるそうです。

武具に使われるものや革製品になるもの、

飛行機のパイロットが着用する手袋になるものなど様々だという事でした。

武具にはキョンの皮が使われていると聞いた気がします。

この機械はなんだったかな。(おい)

こちらの機械は出来上がった革の厚みを整える機械だったように思います。

こちらが仕上がった着色されていない革。

こちらが着色された革。

レザーやん!

と、ついつい当たり前のことを言ってしまいました。

(恥ずかしい)

こちらはセーム革といって、二度鞣しという工程によってとても柔らかくなった鹿革の生地で、

眼鏡フキや各種貴金属の仕上げ磨き様に使われるものなんだそう。

鱈の脂を使っていると言っていたような気がします。

違ったらごめんなさい。

なんでも業界トップシェアだと仰っていたように思います。

すげぇ。

こちらはパイロットさんの手袋になる予定の革さん。

とってもふかふかでもふもふで柔らかかったです。

そんな感じで見学させていただいて、こんな風に丁寧に処理されているんだと思うと嬉しくなったし、

こちらにお願いしたら間違いなく喜んでもらえる革に生まれ変わることが出来ると確信しました。

家を出るときには不安でドキドキでしたが

帰りの胸中は期待とワクワクでいっぱいなのでした。

ついにレザーに

奈良産業さんに皮を持ち込んでからちょうど3か月がたった日に革を受け取りに行ってまいりました。

こちらがその革。

ツヤツヤしている方が毛が生えていた方で

色の濃いほうがお肉に接していた方なんですけど

とっても柔らかくてなんとも愛おしい仕上がり。

みんなに触ってほしいくらい。

ほんとに。

コム兄が悪戦苦闘していた皮とは見違える状態なんですが、

確かに形状はあの時のままで。

無駄に切り落としたりせずに丁寧に仕上げてくださったんだなぁと嬉しくなりました。

いやぁ実に感慨深い。

これが今後どんな製品になるのか楽しみですね。

角物語

これまでは皮の有効利用について紹介してまいりましたが

ここからは角に関することについて紹介していこうと思います。

角と年齢について

みなさん鹿の角って毎年抜け落ちるって知ってましたか?

実は少しずつニョキニョキと伸びるんじゃなくて毎年つくりかえられているんだそうです。

毎年春頃ポロっと落ちて、その後「袋角(ふくろづの)」と呼ばれるぷにぷにした角が生えてくるんだそう。

この袋角の時には血管が通っているらしくて

血流によってカルシウムが沈殿して角化していくんですって。

面白いですねぇ。

それからそれから、体の成長とともに大きくなっていくことから角でおおよその年齢が分かるんだそうです。

1歳では枝分かれのない1本角(通称ごぼう)

2歳になると枝分かれが1本

3歳だと枝分かれが2本

枝分かれは最大3か所までなので、そのような角の鹿と遭遇した際には4歳以上であることが分かります。

コム兄が捕まえた鹿で最大のものは枝分かれがギリギリ3か所なので4歳って感じだと思います。

ちなみに支部長さんと一緒に獣道修行に行った際に格闘した鹿はもっと大きかったので5歳以上だったんだろうなと思います。

迫力凄かったもんなぁ。

よくよく見てみると左右で枝分かれの数が違いますね!

興味深い!

剥製とスカルトロフィー

先ほども少しお話ししたように、支部長さんと一緒に捕まえた鹿は

(と言ってもコム兄は遠くから眺めているだけでした)

それはそれは厳つくて、ベテラン猟師をもってしても捕獲までに難儀したわけなんです。

その後に支部長が

「この頭持って帰ってトロフィーにするわ」

といってのこぎりで首を切断し始めた時にはドンドン引き引きのドン引きでした(は?)

その少し前に支部長のお宅の倉庫にお邪魔した際にも壁一面に角が立派な鹿の頭蓋骨が飾ってあって、

「めちゃくちゃ自己満の世界やなぁ」

と正直思っていました。

心のなかでね!

口には出してないからね!

だって普通に気色悪いしね。

「はく製にするには薬品が必要だったり業者に頼まないといけないから費用がかさむけど

骨にするんやったらその辺に埋めといたら半年くらいしたら綺麗になってるで。匂いは我慢しやんとあかんけどな」

と聞いてもいないのに詳しく教えてくれました。

って誰が興味あんねん。

ほんまに。

・・・

・・・

・・・

いうてて、コム兄も気がついたら作っていましたwww

(気色悪いやつの仲間入りw)

コム兄は業者にも頼みたくないし、匂いも我慢したくないからひたすらコトコト煮込んで作りました。

正気の沙汰とは思えない画像ですが

作っている最中はえらいもんで良い匂いがするんですよ。

筋やら骨から良い出汁が出てるって感じで。

でも見た目はえげつないですからおすすめはしません。(誰もやらねぇよ)

ほんで出来上がりがこんな感じ。

下顎も装着するとこんな感じ。

華奢な前歯が可愛いのと

急に猪木感が強くなるのよね。

元気ですかー!!!

じゃないのよ。

捕獲した本人にとっては何処でどんな感じで捕まえた鹿なのかはっきり覚えているからほんといい記念になります。

愛着が半端ない。

きっと他の人からしたら気持ち悪いだけですがね。

こちらのスカルトロフィーもコム兄兄に譲ってレザー商品を陳列する什器として使用してもらう予定になっています。

迫力満点過ぎてお客さんが減らないことを祈るばかりです。

コム兄が挑戦してみたいなーと思っているのが包丁の柄の部分を鹿の角でつくるっていうやつ。

完全自己満ですが、そもそも大きな個体が捕まらないことには実現できませんので

来シーズンはもっともっと頑張りたいと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

猟期1年目のシーズンにしては色々頑張った方なんじゃないかと思っています。

せっかく捕まえた命ですから美味しく食べてもらう事は当然として

毛皮や角の利用も積極的に挑戦していこうと考えています。

コム兄が信仰している天理教では身の回りのありとあらゆるものは神様からの借り物であると教えられています。

与えられた恵みを無駄にしないように出来得る限り活かしていきたいと思います。

鹿の皮は水にも強いみたいなのでランチョンマットとして使ってみてもいいかなーなんて思ったりしています。

欲しいぜ!!

って方は是非コム兄まで連絡してくださいね。

(めちゃくちゃ時間かかると思いますので気長にお待ちくださいね)

次の記事も楽しみにしてくれよなっ!!

ではまたっっ!!!!

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