えいじさんが企画するNARAワイン会も今回で7回目を迎えました。
純粋にワインと料理を楽しむようなテーマだったり
少しアカデミックだったり
テイスティングの強化をテーマにした会など、
毎回違ったテーマで参加者たちを楽しませてくれるような会を企画してくださっています。
そして今回は表題でも紹介した通り
地中海のワインたちとそれにシェフが合わせたスペシャルディナーを楽しめる会
を企画してくださいました。
やっぱり夏は地中海だぜって感じですかね。
以前コム兄が参加させてもらったNARAワイン会の様子はこちらから
復習も済んだところで早速いってみましょう!!
欧風バル 縁 en さん
今回の会場は近鉄富雄駅からほど近い欧風バル縁さんでした。
こちらのお店はNARAワイン会がまだTOMIOワイン会だったころから会場になっているお店で
主催者のえいじさんと店主であるシェフは同級生でしかも一緒に働いていたという間柄。
ワインとのペアリングも期待できそうです。
というか間違いありません。
公式サイトから抜粋して簡単ではありますがお店の紹介をさせていただこうと思います。
お店のスタイルはフレンチ兼バル。居酒屋のようなカジュアルな雰囲気の中、本格フレンチが味わえます。フレンチの有名店で修行を積んだシェフがメインシェフを務めており、当店ならではの創意工夫を加え、一品一品、独創的な料理を提供しております。
料理の味もさることながら、お客様にとってリラックスできるお店の雰囲気づくりを大事にしております。コロナ対策として消毒、マスク、換気、テーブルにアクリル板を設置し、感染対策を徹底しております。是非安心してご来店ください。
欧風バル縁en 公式サイト様より引用
語彙が無くてほんとに申し訳ありませんが、とってもオシャレでいい空間です。
会費の値上げ
お店に到着して挨拶もそこそこに会費を納めようすると
めちゃくちゃ申し訳なさそうにえいじさんから一言。
「申し訳ないのですが、会費を値上げさせてもらいたいのですが。。。」
毎回嘘のようなおまけワインを振舞ってくれておりましたし
昨今の物価高の影響も出てきているのでしょう。
とても勉強になる素敵な会を奈良で体験できる訳ですから
持続可能な会にするためにはある程度の値上げは覚悟する必要があります。
「8,800円から9,000円にお願いできますか。。。?」
・・・・
完全に誤差の範囲内。
200円の値上げにこんなに申し訳なさそうにする人を他に知りません。
えいじさんの人柄がバシバシ伝わってきますよね。
言っときますが、ワインだけでなくディナーもついてのこの価格ですからね。
ワイン会開始
今回も遠くは神奈川や滋賀県からもメンバーが集結しました。
えいじさんの影響力の凄さに脱帽なわけですが
時間になりメンバーがそろうと乾杯用のスパークリングワインが配られました。
オープニングを飾りますのはこちらのスパークリングワイン。
アカキーズ SPK ロゼ 2020/キリ・ヤーニ
こちらはギリシャはマケドニア地方でクシノマブロ種からつくられる濃い目ピンクでキレイな色合いのロゼスパークリング。
クシノマブロはギリシャを代表する黒ブドウで、長期熟成タイプの赤ワインやロゼのスパークリングが造られる。
クシノ(Xino)は「酸」、マブロ(Mavro)は「黒」の意味で、酸が強くタンニンが多い。
熟成したワインはしばしばバローロと間違えられる。と、教本に書いてありました。
赤線まで引いて試験の時には覚えていたはずなのに完全に記憶が抜け落ちておりました。
しっかり目のワインができるクシノマブロなわけですが、こちらのスパークリングは標高の高い(ナウサから見て山の向こう?)畑から収穫されたブドウから造られているというようなことだったと思います。
肝心の味わいですが、赤系のベリーのようなチャーミングな香りにふんわりと優しいクリーミーな泡。
少し甘さを感じながらもXinoが(言いたいだけ)全体を引き締めてくれる味わいは暑いこの時期にぴったり。
最高でやんす。
オッフィーダ ペコリーノ 2018/ザグロス
乾杯して美味しいワインにニヤニヤしているとお料理が運ばれてきた。
こちら。
タコ、桃、ロメインレタスのサラダ。
バルサミコのドレッシングに上からカラスミが振られている。
バルサミコの酸味が桃の甘みを引き出し、タコは少し炙ってあって香ばしい。
うんめぇ。
そしてこちらのサラダに合わせますワインがイタリア・マルケ州で造られた
オッフィーダ ペコリーノ 2018
今回は”サラダに合わせて”ということで少し低めの温度帯で提供いただきました。
黄色い桃やハーブのようなグリーンっぽい香りと、塩味や苦みを感じるような酸味がいい感じコントラストをつけてくれる。
(と思いましたがあってますか?)
食事を頂きながら、少し時間が経過してワインの温度が上がるほどに香りも開いて
蜂蜜は言い過ぎかもしれませんが甘やかな香り(語彙なさすぎ)
桃とリンクしていたり、カラスミの上品な塩気がワインの要素と重なって
口の中が完全に地中海(謎)
大変美味しゅうございました
キュヴェ・マリー・クリスティーヌ ロゼ 2020
この時期に地中海と言えば南仏ロゼは外すことはできませんね
こちらはフランス・プロヴァンス地方でつくられるロゼワイン。
キレイなサーモンピンクの色調もさることながら、
ボトルやエチケットのデザインがオシャレでとても印象的。
サンソー、グルナッシュ、シラーという安定のアッサンブラージュ。
スッキリした口当たりになんとなくバジルとかそんな感じの香り。
南仏の料理だけでなく、いろんな料理に合いそうな守備範囲の広いようなワインですね。
サクラアワードの金賞も受賞しているようで、間違いありません。
こちらに合わせるお料理がこちら
夏野菜のオーブン焼き
茄子、万願寺(多分)、玉ねぎ、トマト、という夏の美味しい野菜たちにイワシの旨味。
エルブ・ド・プロヴァンス(南仏でよく使われるハーブミックス)の香りと
香ばしく焼き上げられたパン粉がまたたまりません。
丁寧でありながらも余計な仕事はしない。
引き出された素材の味わいで完結している印象。
やっぱりプロヴァンスロゼにはこういうのがバチっと合いますね。
うまうまです。
こちらの料理にはひとつ前のオッフィーダを合わせていただいてもとても美味しかったです(個人の感想です)
アシルティコ バレル 2020/シガラス
お次に提供いただいたのはエーゲ海に浮かぶサントリーニ島(ギリシャ)でつくられたワイン。
この島は火山の活動によって形成された半月状の島なのだという。
教本によると、ワインの独自性という点で、サントリーニ島は群を抜いているのだそう。
火山性土壌をベースにした砂地の畑には有機物が少なく、フィロキセラの害がなく、自根のブドウ樹が生き延びており、平均寿命は50年を超える。強風に耐えるため、地を這うようなバスケット状(Koulouraと呼ばれる)に仕立てる。
日本ソムリエ協会教本より抜粋
砂地で風が強くとても乾燥していることから、
カゴ状に仕立てることで地面からわずかに蒸発する水分を葉っぱが捉えて(こもりやすいように)程よい湿度を保つのだという。
湿度が低いからこその工夫で、日本とは正反対の湿度対策だなということも改めて感じた次第。
気になる味わいだが、キレの良い酸味やハーブのアロマとかすかに塩っぽいニュアンスにアシルティコらしさを感じるわけです。
さらに樽熟成からくるバニラのような上品な香りが奥行きをもたらしてくれている。
ぅんっめ!!
こちらのワインには普段はこういう合わせ方はしませんがという事でしたが
トウモロコシをあえてあら漉ししたスープ。
添えられたバゲットをディップして頂きました。
トウモロコシの甘みをアシルティコの酸味が引き立ててくれて
さらにワインのほのかなバニラ香がトウモロコシのスープに高級感を添えてくれる。
お互いが補完しあうというかなんとも面白い体験だった。
おいちぃ、おいちぃと思いながらあっという間に完食。
そうそう、このクルーラという仕立て方だが、25年に一度バッサリと剪定するらしいが、
どういう風に剪定するんだろうかとか
そもそもひとつのクルーラからいくつくらいの房が取れるのだろうとか
疑問が止まらない。
火山でできた島で過酷な条件なのにもかかわらず、もともと作り始めた人たちの変態性もさることながら、それを引き継ぎブドウを作り続けている生産者たちにはリスペクトを禁じ得ないコム兄なのでした。
酸味が残りやすいタイプのアシルティコという品種だから成立するんだろうなとも思ったり。
とても学びの多いワインでした。
クワトロキロス 2016
続くワインはスペイン・バレアレス諸島の中の一つ、マジョルカ島でつくられるワイン。
マジョルカ島はスペイン・バレンシア沖に浮かぶ島で、ワイン造りはローマ時代まで遡るのだそう。
一時フィロキセラの被害によって壊滅的な打撃を受けたものの、20世紀後半にワイン造りが復活。
マジョルカといえばサッカーの久保建英選手が所属していたチームとしても有名ですが
コム兄にはその印象しかありません。
マジョルカ島の皆さんごめんなさい。
このワインは島の固有種であるカイエットなる品種から造られているそうですが、こちらの品種についても知りませんでした。
重ねてお詫び申し上げます。
気になる味わいですが、なんて言ったらいいのでしょうか。
ワインって果実味、酸味、タンニンなど様々な要素があって
それぞれ品種ごとに何かが突出していたりして特徴があったりするもんなんだと思いますが、
こちらのワインは何かが突出しているという感じがしません。
いい意味で癖がないというか、飲みやすくて美味しいんです。
それでいながらスケールが小さいというわけではない感じがします。
2016というヴィンテージで熟成が利いてきていることも一つの要素かもしれませんね。
合わせて提供いただいたお料理がこちら。
仔羊のローストにパセリ、ニンニク、バターのソース。
付け合せにはシュークルートのような酸味のあるものと万願寺トウガラシのソテー、黒ニンニクとオリーブのピュレが添えられています。
これがまたうっめぇの。
もぐもぐしながらワインを飲んでみてビックリ。
ワイン単体では突出していなかった印象でしたが、料理と食べることで化けました。
バランスが取れているからなのか、各要素が料理の味を全く邪魔しません。
羊の脂の独特な香りにやさしい果実味が。
柔らかい中にも程よい噛み応えの肉質に程よいタンニンが。
付け合わせのシュークルートっぽいものにやさしい酸味が。
万願寺トウガラシの味わいにすこーしだけ青みのある味わいが。
コクがありながらもパセリの爽やかなソースにも負けることなくジュワーッと染みこむように馴染んでソースの余韻に寄り添ってくれます。
「食事で化けるワイン」
まさにそんな印象。
突出した要素がない味わいは懐の深さだったのですね。
能ある鷹は爪を隠す状態(なんか違う)
特徴がないみたいなこと言ってごめんなさい。
ワイン単体で飲んで楽しめるワインもいいけど、こうやって食べ物で変わるワインもまた楽しいですね。
これまた学びの大きいワインとなりました。
ヴィンサント 2015/シガラス
先ほどの赤ワインで今回のワイン会のラインナップ的には最後だったわけですが、
今回もえいじさんからのサプライズワイン。
本当にありがとうございます。
こちらのワインは先ほども登場したサントリーニ島でつくられるワインで、
ただでさえ収穫量の少ない、っていうか収穫も大変なクルーラ仕立てのアシルティコ、アイダニを収穫後2週間天日で干して水分を凝縮させ、さらに造られたワインを6年間オーク樽で熟成させるという何ともキャッシュフローの悪いワイン。
マジでちゃんとやっていけてるのか不安になるレベルです。
「おめーに心配される筋合いねえぇよ!」って感じでしょうか。
なんと一本のワインを作るために必要なブドウは4キロにも及ぶそうで、製品に対する妥協を許さないというか、こだわりというか、本当に頭が下がります。
こちらの凝縮されたワインに合わせたのは表面を香ばしく焼き固められたブリュレを注文させてもらいました。
レーズンやアプリコットなどのドライフルーツや砂糖を焦がしたようなまさにキャラメルのような香り。
デザートの甘みに負けない凝縮した甘みと爽やかな酸味や豊かな余韻。
たまんねーのほんとに。
ヴィンサントと言えばイタリア中部(トスカーナ・ウンブリア)で有名なデザートワインですが、
実は発祥はギリシャなんだそう。
ヴィンサントの”サント”はサントリーニ島に”サント”なんだそうですわよ奥さん。
イタリアのヴィンサントが陰干しでつくられるのに対してサントリーニのヴィンサントは天日干し。
えいじさん曰く
「イタリアのヴィンサントもできる事なら天日で干したいんじゃないかと思います」
さっすが本家って感じですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回はコム兄ブログにしては珍しく学びの多い記事になったのではないかと自負しています。
学び要素が見当たらない方には後で個別に土下座させていただく所存です。
地中海をまるで旅するように、ワインの伝播に近い形で提供いただいた流れもさすがえいじさんって感じです。
名前は知っているけど飲んだことないとか、自分ではなかなか選ばないワインをちゃんと説明付きで飲めるっていうのは本当にこの会のいいところだと思います。
ワインビギナーにも、資格取得を視野に入れている方も、さらには有資格者でも楽しく学びことができます。
都会ならまだしも奈良でこういった機会を提供してくださることに感謝しかありませんね。
奈良を盛り上げるぞー!!!!
という熱意も伝わってきますよね。
できることはかなり少ないですが一緒に盛り上げていきたいなと思うコム兄でした。
次回も楽しみですね!!
ではまた!!
コメント