7月14日にオープンしたワインダイニングCircle。
気がつけば、開業から3カ月が経ちました。
飲食店を始めるということは、料理を作ってお客さんに提供するだけではありません。
仕入れや仕込み、営業、経理、宣伝。
これまで料理人として働いてきたときとは違う仕事も多く、毎日が試行錯誤の連続です。
今回は、開業から3カ月を振り返ってみようと思います。
思い描いていた数字と、実際のところ
正直に言えば、売上は創業計画書に書いていた想定をかなり下回っています。(お恥ずかしい)
もちろん、計画どおりにいくとは限らないことは分かっていました。
開業してすぐにお客さんが押し寄せるような店になるとも思っていませんでしたし、
最初の半年くらいは我慢の時期になるだろうと考えていました。
今のところ、なんとか収支はトントン(よりも少しマシ)くらい。
楽観できる状況ではありませんがすぐに結果を求めすぎても仕方がない。
まずは店を知ってもらい、実際に来てもらい、
また足を運んでもらえるようになることが大切だと思っています。
ありがたいことに、少しずつリピーターも増えてきました。
一度来てくださったお客さんが、また来てくれる。
さらに、知人にCircleを紹介してくださることも増えてきました。
広告を出して大勢のお客さんに知ってもらうことも大切ですが、
実際に食事をして気に入ってくれた人が誰かに紹介してくれる。
そんなつながりが少しずつ生まれてきたことは、素直にうれしく思います。
ハッピーアワーを始めてみた

何もせずに半年間じっと耐えているつもりはありません。
どうすればCircleを知ってもらえるのか。
どうすればワインダイニングという少し敷居が高く感じられるかもしれない場所に、
気軽に足を運んでもらえるのか。
そんなことを考えながら、ハッピーアワーも始めてみました。
17時から18時30分までの”仕事終わりのちょっと一杯”。
前菜の盛り合わせとグラスワインを組み合わせ、
初めての方にもCircleを体験してもらいやすい入口を作ってみました。
ワインに詳しくなくてもいい。
フランス料理やイタリア料理の違いが分からなくてもいい。
まずは一杯、料理と一緒に楽しんでもらえたら。
そんな思いで始めた取り組みです。
まだまだ試している途中ですが、
こうした小さな工夫を重ねながら、自分の店に合った形を探していこうと思っています。
自分から動いてみる
少し前に近所の東横INNに営業に行ってきました。
ホテルには夕食の提供がないと聞き、
それなら近くに食事ができる場所を探している宿泊客もいるのではないか。
そう考えて、自分でチラシを作り思い切って足を運んでみました。
その結果、ホテルのスタッフ向けに試食会を開いていただけることになりました。
当日は若いスタッフ7人が来店。
ワインを楽しんでもらい、前菜やタルタル、鹿のローストなどを試食してもらいました。
予定していた料理を食べ終えたあとには、
イノシシのローストや和牛イチボのローストも追加で注文してくれました。
ホテルが作成しているマップにもCircleを掲載していただけることになり、
個人的にもまた来ますと言ってくれた方もいました。
料理とワインを無料で提供したので、それなりの出費にはなりました。
でも、これから天理を訪れる方にCircleを知ってもらうきっかけになるのであれば、
意味のある投資だったと思っています。
待っているだけでは、なかなか知ってもらえない。
だったら、自分から動いてみる。
当たり前のことかもしれませんが、改めて大切だと感じた出来事でした。
料理人同士だからこそ、分かり合えること
もう一つ、うれしい出会いがありました。
近所でフレンチの店を営むシェフが、一人で食事に来てくださったのです。
話をしてみると、なんと同じ調理師専門学校の卒業生。
食材の話から、料理人としてどこまで自分のこだわりを貫くかという話まで、
いろいろなことを語り合いました。
お客さんが選んでくれるかどうか分からなくても、作りたい料理がある。
手間をかけてでも、自分が納得できるものを作りたい。
一方で、店は自分の作品を発表する場所ではなく、
お客さんに楽しんでもらう場所でもあります。
そのあたりの折り合いをどこにつけるのか。
料理人を続けていくうえで、簡単には答えの出ない問いです。
そんな話をしながら食事を楽しんでいただき、
帰り際には
「天理でこのクオリティの料理を食べられて本当にうれしい」
と言ってくださいました。
そして、こんなに楽しく充実した食事は十数年ぶりだとも。
料理を作る人間として、これほどうれしい言葉はありません。
自分が大切にしていることが誰かに伝わった。
そう感じられる時間でした。
さらに、その方から
「料理がおいしい店は、徐々に積み上がっていくものだから、今は焦らないほうがいい。無理にスタートダッシュをすれば、サービスのクオリティが落ちて、かえって評価を下げることにもつながる。今のまま正直にやっていたら大丈夫」
と声をかけていただきました。
近所の飲食店のオーナーさんたちからも、似たような言葉をいただいていました。
それでも、同じ料理人として現場に立つ先輩から言っていただけたことは、
また違った意味で心強いものでした。
売上の数字だけを見ていると、不安になることもあります。
でも、こうして自分の料理を認めてくれる人がいて、料理人同士で語り合える時間がある。
店を始めてよかったと思える出来事の一つです。
天理の食材と、これからのこと
人とのつながりは、料理の世界だけにとどまりません。
以前、創業スクールで一緒だった方がCircleに食事に来てくださいました。
とても楽しんでいただけたのですが、話はそこでは終わりません。
その方が手がけている田んぼではイノシシによる被害があるそうで、
今度、罠をかける場所の下見に一緒に行くことになりました。
Circleではイノシシや鹿などのジビエを料理として提供しています。
普段、厨房で肉を扱っているだけでは見えないことも、
実際に現場に足を運べば分かるかもしれません。
地域の農業や獣害の問題についても、
少しずつ知っていけたらと思っています。
また、天理で食肉加工施設を営んでいる方のところにも伺い、
施設を見せていただきました。
イノシシと鹿肉も少し購入させていただいたのですが、
春に相談したときよりもずっと手の届きやすい価格で譲っていただき、本当に助かりました。
実際の施設を見せていただいたことも、とても勉強になりました。
実は、いつになるか分かりませんが、将来的には自分でも食肉処理施設を作りたいという思いがあります。
そのためにも、まずは現場を知ること。
すでに取り組んでいる方から学ぶこと。
今すぐ実現できる話ではありませんが、
今回の訪問は、その先を考えるうえで貴重な経験になりました。
こうして振り返ると、店を始めたことで
食材を仕入れて料理を作るだけでは得られなかったつながりが生まれ始めています。
人との出会いが、新しいことを知るきっかけになり、
また次の行動につながっていく。
これも、自分の店を持ったからこそ得られたものなのかもしれません。
焦らず、でも立ち止まらず
開業から3カ月。
創業計画書で想定していた売上には届いていませんし、
まだまだ経営面で安心できる状況ではありません。
一方で、少しずつリピーターが増え、お客さんがお客さんを紹介してくださるようになりました。
自分から営業に出て、新しい接点を作ることもできました。
そして、料理を通じて出会った人たちと、楽しい時間を共有することができました。
こうした一つひとつの出来事が、これからのCircleを支えてくれるのだと思います。
もちろん、料理がおいしければそれだけで商売が成り立つほど、甘い世界ではありません。
お客さんに来てもらうための工夫も必要ですし、経営について学び続けることも必要です。
ただ、無理に店を大きく見せたり、目先の集客ばかりを追いかけたりするのではなく、
自分が大切にしたい料理とサービスを守りながら、少しずつ店を育てていきたい。
背伸びではなく、背筋を伸ばす場所。
Circleを始めるときに考えたことを、これからも忘れずにいたいと思います。
開業から3カ月。
まだまだこれからです。
焦らず、でも立ち止まらず。
Circleらしい歩みを続けていこうと思います。
という事で来店お待ちしております。
ではまたッッ!!!

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