どうもコム兄です。
みなさんお待ちかねの奈良ワイン会のレポート記事でございます。
今回のテーマはロワール。
全長1000キロ以上に及ぶフランス最長の河であるロワール河沿岸一帯に広がる産地が今回の舞台でございます。
ロワールってあれでしょ。
…ミュスカデ!
っつってそれ以上の知識がこんがらがっちゃっててあやふやな残念なコム兄ですが
今回も楽しく飲んで学んでいきたいと思います。
ロワール地方で生産されるワインの約半分が白ワインなわけですが
今回はその中でもシュナン・ブランと
夏でも美味しく飲めるような赤ワインという事で
カベルネ・フランの飲み比べをしてみて理解を深めていこうという会でございます。
ふむふむ。
どっちも個人的には自分では中々選ばない品種なのでとても楽しみですね。
ロワールはワインラヴァーに限らず
風光明媚な渓谷と趣のある歴史的な古城が点在し、世界遺産に登録されていることから多くの方に知られているエリアですね。
いやぁ行ってみたい。
だれか連れてってください。(黙れ)
さて今回はどんなワインが飲めるのでしょうか。
そしてどんなお話が聞けるのでしょうか。
早速行ってみましょう!!
ちぇけら。
乾杯
何はともあれ乾杯だよねってことで
えいじさんが乾杯用ワインのチェック。
問題なしという事で皆さんに配られました。
まずはこちら。
Vouvray Methode Traditional 2017/Nicolas Brunet
乾杯の泡はヴーヴレでございました。
という事で声高らかに乾杯!
今回も無事に最高の泡で開幕いたしました。
すぐにお料理も提供されて一緒にパシャリ。
銀鮭のマリネ、白ネギのゼリー寄せ。
マリネされた銀鮭がねっとりしていてマスタードの効いた自家製のマヨネーズが美味い!!
すかさずヴーヴレを流し込むとリンゴ風味がスッキリとさせてくれるんですよね。
甘やかさがある中にもベタッとしていないから
口の中で風味が広がるんだけど、気が付けば引き締まってる
って感じでほんとにいい感じ。
後味にくるほんの少しの苦みも心地よくって。
柑橘の白皮のところにあるようなエグみがあるような強い苦みじゃなくて
リンゴの皮だけを食べた時の苦みとほんの少しの渋みのニュアンスがあるような。
(そもそもリンゴの皮だけ食う奴いねぇよ)
シュナンブランなめてました。
ロワールといえばミュスカデしか知らないみたいなこと言ってしまってごめんなさい。
うめぇでやんす。
えいじ’sコメント
僕のコメントだけでは何が何だか伝わらない可能性がありますので
参考までにえいじさんのコメントも(メモや覚えている範囲で)紹介していこうと思います。
ヴーヴレはロワールのトゥール市の直ぐ近くにあるシュナン・ブランの有名な生産地で
その中でも今日はえいじさんが個人的に好きだという生産者のワインで、
ドサージュゼロなのでスッキリした後味で夏にぴったりなんじゃないかと思い選びました。
との事でした。
分かる分かるー!!!
なとぅー(夏)って感じーーー!!
香りは控えめで酵母的な旨味の複雑さだったり、果実味は強く出ていないのですが、
口に含むとシュナンブランらしいリンゴや花梨などの甘いジューシーなフルーツ感が口いっぱいに広がってくると思います。
後味もベタッとしていないのでスッキリ美味しいワインですね。
との事でした。
うんうん。美味しい。
ロワール地方って?
ここでえいじさんからミニ講義がありましたので紹介させていただこうと思います。
メモや覚えている範囲になりますので当然(?)抜けている部分も多分にあるかと思いますが、
酔っ払いの記憶ですのでご容赦くださいね。
ロワールというと4つの地域に分かれていてそれぞれ特色があるんですけど、
海側の方ではミュスカデセーブルエメーヌのような魚介に合わせたいワインがあったり
内陸部にはサンセールやプイィフュメなどのソーヴィニョンブランが有名な産地があります。
今日はワイン学習者の方が多いのでお分かりいただけると思いますが
正直真ん中はようわからんって感じのところなんですよね。
(そうそう!)
アンジュー、ソミュール、トゥーレーヌっていう、順番もわからなければ特色もよくわからない産地だと思います。
(激しく同意!!!)
今日はあえてそこをフォーカスしたいなと思います。
(ありがとうございます)
コム兄の頭の中を見透かしたかのようなテーマ選定でドキッとしたわけですが
えいじさん曰く、ロワールの中心部の理解が深まるとロワールがとっても面白くなるんだそう。
そんな思いからアンジュー・ソミュールとトゥーレーヌに絞って、どこに違いがあるのか、どんな違いがあるのかを紐解いてくれたのでした。
アンジュー・ソミュールとトゥーレーヌの違いは?
今日のテーマの一つがトゥーレーヌ地方とアンジュー地方の比較なんですが
この二つの地域は地質学的に言うととても似ているんだと言います。
土壌について
ワイン学習者の皆さんは土の話好きだと思うんですけど
土壌の話をするならトゥフォーと呼ばれる石灰の塊でまさに石灰”岩”の地層がドーンとあって
その上に粘土があったり、砂があったり、とそれが地方によって若干違うっていうくらいで
基本的に母岩にトゥフォーがあるというのは共通点としてあります。
土壌的に言うと実はアンジュとトゥーレーヌってほとんど違いが無いっていうのが本当のところなんです。
海からの距離
じゃあ何が違うかというと、一つは海からの距離。
前回の気候とワインの会でもお話ししましたが、
海に近ければ近いほどマイルドに、
海から遠ければ遠いほど海からの影響が少なくなって寒暖の差が激しくなるので
よりメリハリのある味わいになります。
なので同じシュナンブランであっても海により近いサヴニエールの方がマイルドというか温暖な場所で育っているのに対し、
より内陸のモンルイシュールロワールの方が果実味もあって酸味もあるというのがセオリー的な味わいになります。
歴史的な背景
ただ、それよりも何よりも何が違うかって言うと
実はアンジュ・ソミュール地区とトゥーレーヌ地区とでは歴史的に全然違う歩みをしているんです。
中世のフランスの国の境界の動きを見ていくとトゥーレーヌ辺りで消えているんです。
アンジュー側っていうのはアンジュー公国っていう国があって
時代によってはアンジュー帝国っていってイギリスを支配していたりとか
アキテーヌっていう今のボルドーなんかも支配していたような大きな国で元々伯爵なんかもいて。
そういった文化的境界線というのがロワール地方の間にあるんです。
なのでロワール地方は海側、山側、真ん中部分の3つに分かれるのではなく
真ん中部分のところがさらにズバッと切れているのは政治的な理由で切れているんですね。
だから文化的にもかなり違うんです。
(めっちゃおもろいですやん。)
トゥーレーヌ側に関して言うと
北東のところに位置してパリに近いオルレアンという街とトゥールという街はフランスのルネッサンス文化が花開いた場所なんです。
ロワールは古城が有名だと思いますが、
シェール川という川にまたがって立っているシュノンソー城というお城だったり、
アンブロワーズ城だったりとかキレイな美術館があったり、
キレイな邸宅があったりとか文化的に花開いた場所がトゥーレーヌ側。
アンジュー側は
一方で地方のお偉いさんがずっと持っていたというような所で、
後々イギリスに支配されていた時代があったり
という風に文化的な違いがあるのでその影響が大きいと言われます。
とはいってもそれも500年くらい前の話なので今となってはどちらもいいワインが造られているので、ワインにその背景の影響が出るかと言われるとそんなこともないいですけどね。
比較パート1 シュナンブラン
両地域の違いというかバックボーンがなんとなく分かってきたところで早速比較試飲に参ります。
という事でまずはこちら。
Savennieres Clos de Saint Yves Monopole 2019/Domaine de Baumard
試験勉強時に一生懸命覚えたサヴニエールさんに初めてお目にかかれました。
試験で覚えたワインって実はあんまり飲む機会が無かったりして、
あやふやな知識かなくて定着していないので(コム兄だけかな)
こういった解説付きの飲み比べは本当に嬉しいです。
こちらはアンジュー・ソミュール側のワインですね。
色調はこんな感じ。
あっさりしている感じがしますね。
香りをとってみますと
何かは分からないけどふんわりした優しい香り(何のだよ)。
同じテーブルの方々からは
優しいハーブとか柑橘の白い皮の苦み
なんていう声が聞こえていたように思います。
果実感は抑えめでどちらかというと清涼感といった第一印象でした。
つづいてのワインがこちら。
Premier Rendez-vous 2020/Jousset
こちらはトゥーレーヌ側のワインでございます。
こちらをグラスに注ぎながら
「色も香りも違いますので飲み比べてみて下さい!」
とおっしゃっていました。
楽しみですねぇ。
確かに先ほどのものよりも色は濃い目な感じがします。
シェリーっぽい酸化のニュアンスが感じられます。
ミキサーでジュースにした時のリンゴの香り(少し褐変したイメージ)がして
とろりとした口当たりで液体としての丸さがすごい。
ちなみに両者を比べてみるとこんな感じ。
見比べてみると結構違いますよね。
同じロワールで同じシュナンブランなのにね。
ホント面白い。
ちなみにサヴニエールの方の香りをどう言語化したらいいのか分からず
3杯目のワインをサーヴしてくださったタイミングえいじさんに聞いてみました。
コム兄:サヴニエールの何ともいえない優しい香りってどう表現するんですか?
えいじさん:すみません、まだ飲んでないので・・・
コム兄:・・・お忙しいですもんね...。
先走っちゃってごめんなさい。
興奮しすぎてえいじさんが料理を食べる暇もなく話したりサーヴしたり質問に答えたりしているということを忘れてしまっていました。
反省。
比較パート1 えいじ’sコメント
皆さんに両者のワインがいきわたってひと段落したタイミングで解説してくださいました。
サヴニエールとモンルイシュールロワールという地域のワインを飲んでいただきました。
産地理解に関しては造り手の個性が現れてきているので難しいかもしれません。
サヴニエール
まずサヴニエールの方ですがこのワインはとても固いワインとして有名です。
シュナンブランというとリンゴとか花梨とか洋ナシとかジューシーで丸みのある果実感にビシっと酸があります。
ビシっと酸があると言っても最初は柔らかくて口に入れて暫くすると段々上がってくるような、
いわゆるクレッシェンドアシディティーと呼ばれるような後ろに向かって上がってくるような酸。
柔らかく入って来るんだけどキレのあるフィニッシュというのがシュナンブランなんですけれども、
それを地で行くプラス固さがあるっていうのがサヴニエールの特徴になります。
なので、今の時点では果実味はあんまりないと思います。
どちらかというとヨード系というか潮風というか海風というか磯っぽい香りに近い感じとか、
グレープフルーツの白皮の所を砂糖漬けにしたような感じとか或いはリンゴの皮だったりとか旨苦系の柑橘というのが中心になってきます。
なのであんまりふくよかさを感じないかもしれませんが飲んだ後にビシっと酸がグッとくる。
これがまさにサヴニエールのポテンシャルを感じるわけです。
3年後5年後に開けると円熟していって果実味もマルメロや花梨などの柔らかい果実味のワインになっていきます。
モンルイ・シュール・ロワール
対してモンルイ・シュール・ロワールですが、今日のワインに関しては造り手が良すぎますね。
既にかなり美味しい状態になっています。
いわゆる自然派というジャンルになるんですけれども、
人的介入を極力減らしてシュナンブランの美味しさを表現する。
そういうワイナリーさんです。
新しいことに挑戦してなおかつ畑だったり周辺環境にも配慮していて次世代のワイン生産者として有名です。
香りには若干酢酸エチルのような除光液のような香りがしますけれども、
その奥につやッとした丸みのある果実味があるのが分かると思います。
リンゴとか洋ナシアプリコット花梨というようなシュナンブランの典型的な果実感というのがしっかり詰まっています。
味わいも凄くなめらかで伸びるようなテクスチャーになっています。
両者の違い
正直地域の違いというのをどこで見るか分からないくらいどちらもレベルの高いワインなんですけれども
サヴニエールの方は日照の強い南向きの斜面なんですね。
なのでブドウが完熟していく方向に行く産地ですね。
ただ今回のワインで言えば3番(モンルイ・シュール・ロワール)の方もしっかり日照をあびていて完熟している印象があるので
産地の比較という意味ではなかなか難しかったなという気もします。
一般的にはアンジューソミュールの方が一般大衆向けのワインが多くて
トゥーレーヌは上流階級向けのものの方が多いです。
これもさっき言ったフランス側なのかアンジュー側なのかという文化的な影響もあると思うんですが
アンジューの方がより平地で温暖なのでブドウを育てやすいというのも影響しているのだと思います。
なのでどちらかというとアンジューの方があまりシリアスではないワインが造られるのも影響しているのだと思います。
2皿目のお料理と
この2種類のワインに合わせてお料理が運ばれてきました。
ピクルスさんを起点に時計回りに紹介させていただこうと思います。
・大和ポークのリエット
こちらはスライスされたバゲットの上に塗られております。
・パテアンクルート
アンクルートというのはパイ包みの事でパテのパイ包み焼きでございます。
・レバーペーストを挟んだグジェール
グジェールはシュー生地にチーズを練り込んで焼いた生地の事ですね。
肉のうまみがたっぷり詰まったお料理に3番のやや甘やかでまったりしたワインがいい感じにボリュームがあっていたように思います。
グジェールの甘香ばしい香りともいい感じでした(語彙)
サヴニエールはよりすっきりしていた分ピクルスさんと良い感じでした。
こちらも夏に良いですねぇ。
硬さの取れた本領を発揮したサヴニエールさんを飲んでみたくなりました。
ワイン会小話① MLCとは?
えいじさんが4杯目、5杯目のカベルネフランを注ぎ回って下さっている間にとあることが気になった。
えいじさんのワイン会ではいつも資料を配布してくださるのだが、製法のところにMLCの文字。
コム兄がこの類で知っている言葉はMBA(マスカット・ベーリー・A)とか
NBA(バスケのやつ)とか
TDL(東京ディズニーランド)くらいのもんで
残念ながらワイン醸造関連の三文字でコム兄が知っているのはMLFのみ。
もしかして、もしかしてマジで(M)レべチな(L)コム兄(C)のことか?
なんて考えたり。
(ツッコミ略)
そんなわけないのでえいじさんにMLCについて聞いてみた。
えいじさん:「これはマロラクティック発酵の事です。」
コム兄:「・・・(混乱)。それってMLFじゃないんですか?」
えいじさん:「MLCはマロラクティックコンバージョンって言って、リンゴ酸が乳酸に変わるだけで発酵していないのでF(fermentation)じゃなくてC(conversion)なんです。」
これまではマロラクティック”発酵”と呼ばれていましたけど、それでは語弊があるという事で世界的にMLCと呼ばれるようになってきているという事だ。
もうMLFは古いという事だ。
最新情報最高でござる。
ついでに資料の記述にあった卵型のタンクについても伺ったところ、今となってはトレンドというよりは普通になってきているとの事。
ふむふむ。
お陰様でアップデート完了!!!
比較パート2 カベルネフランとお料理
続いてカベルネフランの比較に参ります。
初めに注いでいただきました4番目のワインがこちら。
Saumur Champigny Montee des Roches 2019/Arnaud Lambert
色調はこんな感じでございます。
続いて5番のカベルネフラン。
Bourgueil Les Quartiers 2018/Yannick Amirault
色調はこんな感じです。
パッと見た感じではあんまり違いが分からないので並べてみることにします。
ヴィンテージこそ1年の違いがあるものの、同じ品種で隣り合った産地ってこともあってか
並べてみたところで見た目では違いは分かりません(ぼくだけですかねw)
見た目はあまり違いが無いように思いましたが、香りは全く違いました。
という事で早速テイスティング。
4番はカベルネフランらしいピーマンっぽさや野菜のような青み、やや獣感。
それからスミレっぽさがあるように感じましたがこの香りって何て表現するんでしょう?
胡椒っぽさとは違うんだけどなんかスパイシーで肉が欲しくなるような印象。
うんうん、ロワールのフランっぽい。
ソムリエ試験の時に勉強した時に抱いたカベルネフランのイメージに近い感じがしてなんとなく安心感。
涼しいところで作ったんだろうなーって感じの印象。
一方で5番は品種も産地も分かってから味わっているのに、もしかしたら違う品種だと思ってしまう気がしました。
それくらいなんていうかいい意味でフランぽくないってうか
陽キャっぽい派手な感じではないんだけど、なんて言いうか素朴でかわいい感じ。
完熟したような果実味が滑らかで、
皆が好きそうな愛されワイン!
って感じのとっても美味しいワインでした。
なんかこう、よしよししてあげたくなっちゃうような。
実際にやっちゃうと液体だからビシャビシャになっちゃうんですけどね(やる奴いねぇよ)
てな感じで、誤解を恐れずに言うと意外なほどに美味しすぎたわけです。
そのせいで語彙がぶっ飛んで大したことがメモしておりません。(ワインのせいにするな)
3皿目のお料理
こちらのワインがサーヴされたタイミングでお料理も登場。
真鯛のカダイフ包み上げ
トマトソースが添えてあって、中の緑の野菜はなんだったんだろう。
この謎の野菜とハーブやスパイスの感じがワインの後味というか風味と一緒に抜けていって美味しかった。
ワインは肉の為にも残しておく必要があったので温かいうちにパクパクと頂きました。
サクっ、フワっ、いい香りーな美味しいお料理でした(語彙)
比較パート2 えいじ’sコメント
まずはソミュールシャンピニーはアンジュー側の産地ですね。
アンジューの中でも東側に寄ってる産地なんですが
アンジューの中ではカベルネフランから造られるワインとしては一番有名で一番クオリティが高いワインが造られる土地です。
その次のブルグイユという所はトゥーレーヌ側の産地。
このソミュールシャンピニーとブルグイユは場所的に近いところに位置していますので気候的にはそんなに変わらないです。
両者の違い
何が違うかというと、ブルグイユの方が丘陵地で南向きで日照もよくてという風に好条件。
それに対してソミュールシャンピニーは砂質土壌になるのでやや軽めの味わいになっているというのがセオリーとしてはあります。
実際に地域で区切らずにシンプルに地図で見てみるとシノン、ブルグイユ、ソミュールシャンピニーが近いということが分かります。
つまり地質学的な違いとか気候的な違いというのは余り大きくないというのがお分かりいただけるかと思います。
何が違うかというと先ほども触れたとおりに文化的な違いというのが1つ大きな違いとしてあるのかなぁと思います。
ソミュールシャンピニーっていうのはアンジューソミュールっていう大きな産地の中で
どちらかというと安くておいしいワインっていうのを沢山作ってきたアンジューという土地の中でも、
より美味しいワインが造れるという事で知られています。
今日比較していただいた2つのワインはどちらも生産者がやばい造り手なんです。
なので、正直この2つのワインは産地の違いというよりは造り手の違いというところが大きいです。
ソミュールシャンピニーのアルノー・ランベールというワイナリーは
ピュアな味わいのカベルネフランを作っています。
自然な農法でやってらっしゃって、果実味がしっかりあって。
一般的にソミュールシャンピニーってもっと青っぽい感じですよね。
カベルネフランといえば青さがあるっていうイメージがあるんですけど全然それがない。
熟していてフルーティーでめちゃくちゃ美味しいソミュールシャンピニーでアンジューの中でもトップクラス。
それを凌駕する美味しさなのがもう片方のワイン。
ヤニック・アミローっていう僕が大好きなロワール最高のカベルネフランの造り手の一人ですね。
これを上回るのはクロルジャールくらいかなというくらい素晴らしい造り手さんです。
第二次世界大戦後のブドウを沢山作って化学薬品を使ってワインを大量生産しようっていう産業型農業が発展していくような時代のなかにあって、
50年以上前から今でいう所の有機栽培、ヴィオディナミというような考え方を持ってやってらっしゃった生産者です。
畑の質が全然違うのでブドウの質が全然違います。
シノンとブルグイユ
ブルグイユという産地ですが、トゥーレーヌのなかにはシノンとブルグイユという2代巨頭があります。
日本だけでなく海外でもシノンの方が有名なんです。
まず発音がしやすいというのが大きな理由で、
ブルグイユをちゃんとフランス語の発音でいうのって難しいんですよね。
そもそも発音が出来ないっていうのもあって世界基準でシノンの方が有名なんです。
でもパリジャンたちはみんなブルグイユが好きっていうくらい実はブルグイユの方がシノンよりも評価が高いんです。
というのも、シノンというのはブルグイユに比べて南の支流側にある産地なんです。
ブルグイユの方は南向きの斜面でロワール川に面していて日照もしっかり浴びれるので凄い完熟できる産地なんです。
なのでシノンとブルグイユを比べていただくと、
ふくよかなボディーとふくらみや柔らかさがしっかりあってブルグイユの方が美味しいし長熟できる。
シノンの方がスミレっぽさ、ブルグイユの方がフランボワーズの香りっていう例えがあるんですけど、まぁ正直フランボワーズの香りはしないですけどね。
ブルグイユの方がふくよかさがあって厚みがあるので個人的には好きですね。
ワイン会小話② ヤニックアミロー探し
そんなブルグイユの中でもトップ中のトップの生産者がヤニック・アミロー。
えいじさんはこのロワールの会のためにどうしても買いたいという意志のもと
フランス出張の時に現地だったらあるだろうと7軒のショップに回ってこのワインを探しましたんだと言います。
ボルドーにあるワインショップで、ボルドーワイン以外も扱ってらっしゃるようなところだけピンポイントで狙って仕事の合間を縫っての事だったと言います。(奈良ワイン会にかける情熱が伝わりますね)
「ヤニックアミローが欲しい」
と言って尋ねるわけですけど、行く店行く店で
「そんなの俺が欲しいわ」
と店主に言われるぐらいフランスの人たちが皆欲しがるワインなんだそう。
というのも、自分たちのキャパ以上のものは造らないと決めているワイナリーさんらしく
生産量が限られているんだとか。
その上で昔から名声があるので有名なワインショップが買っちゃうからボルドーの新興のワインショップは買えないんだよ
と言われたそうです。
そんなこともあって、7軒回っても結局買えなかった。(残念過ぎる・・・)
残念だけど仕方ないから違うものを買おうと思ってボルドーでカベルネフランのワインを5本くらい買って日本に帰国。
念のためネットショップで確認してみたら普通にありました。
あんのかい!!(日本しゅごい)
という事で、今日は日本で買ったヤニックアミローを提供しております。
しかも大阪のエスポワさんというインポーターさんのやつですね。
今回のワイン会の選定のためにために何本か買って飲んでみたんですけど、
あまりにも美味しかったので5本くらいずつ買ってしまいました。
それくらい美味しいワインです。
本当はもう少し寝かせてからお出ししたいなという感じなんですが
カベルネフランって、青くて痩せてるよねっていうイメージをガラッと覆してくれるような18年というのをあえて出させていただきました。
ちなみにこのレ・カルティエはトップキュヴェでも何でもないスタンダードクラスでこの味というのはめちゃくちゃレベル高いのがお分かりいただけると思います。
という事で今回の裏テーマは「ヤニックアミローを知って帰ろうの会」でした。
とニコニコお話しされていました。
本当に美味しくて貴重なワインありがとうございました。
メイン料理とカベルネフラン
続いてメイン料理が到着。
シューファルシ
少し乱暴な説明になるかもしれませんが平たく言うとロールキャベツです。
芋ピュレ、豆のトマト煮、ホワイトアスパラのグリルが添えられて
お店の味わいです。
美味しい。
コム兄メモによると
ソミュールシャンピニーの野菜っぽい青さとトマトの酸味、ファルス(詰め物)のスパイス感がピッタリ。
美味すぎべらんめぇ。
とあります。
それにしてもメモに”べらんめぇ”って書くかね(爆)
ワイン単体で味わった時と料理と一緒に味わった時の振れ幅が大きくてとても面白いワインだと思いました。
青野さんだったらどんな料理を合わせるんだろうなーって妄想してしまいました。(自分で考えろ)
一方のブルグイユはもちろん料理と合わせると料理全体のグレードを上げてくれるような。
エコノミークラスからビジネスクラスにランクアップしたようなイメージだろうか。(ビジネスクラスに乗ったことないけどw)
もちろん料理と一緒でも良いんだが単体で美味い。
時間が経ってから香りをとるとミルキーなニュアンスさえも感じ取れた。
ソミュールシャンピニーは食事と、今回のブルグイユは単体でゆっくり味わいたい。
そんなワインでした。
ていうか全部うまい。
そもそもコム兄は経験値が低すぎてお話にならないのだが
ロワールって何となく寒い所で全体的に青みのあるイメージしか持っていなかったコム兄にとっては、こんなに完熟みのあるふくよかなワインが造られていることに感動いたしました。
テーブルをご一緒させて頂いた淑女は
「この子(ブルグイユ)めっちゃ可愛いです。めちゃくちゃ上品なジャム」
というように表現されていました。
「アオ〇タジャムじゃないです。じゃなくてデパートの」
っていうことも仰っていたように思います。
確かにジャミーなんだけどベタつかない、コンフィチュールって感じがいたしました(コンフィチュール言いたいだけw)
???ワイン
凄い良いワインかどうかは分かりませんが、、、といいながらサーブ頂きました。
ブラインドという事でまずはワインの外観から。
縁の色合いから熟成の進んだワインであろうことを推察。
色合いはやや透明感があって赤系果実のニュアンスがあります。
香りは4番5番を足して2で割ったような感じがいたしました。
皆さんどんなワインか想像つきますでしょうか?
同席した方はガメイとかピノをイメージされているような感じでした。
確かにやや淡い色合いと酸味を感じさせる香りの感じは近いものを感じます。
この香りはコム兄が好きなやつです。
直ぐに飛びつくのではなく、少し時間を置いてから味わうことにしました。
写真を撮ったり、メモをしたりなんかしてすこーしだけ時間稼ぎをしてみましたが我慢できずにお味見。
満を持して口に含んでみると驚愕。
うんまっこれ!
コム兄が好きなワインですこれ。
ついにコムの雫を発見しました。(何言ってんの)
ブラインドという事でしたが全く見当もつかなく
この酸味好きだなぁー。
ってずっと言ってた気がします。語彙ぶっ飛び。
???ワイン 正解発表&えいじ’sコメント
みなさん飲まれましたかね?
ちなみにこのワイン好みじゃないなって方いませんでしたか?
好きって方いましたか?(コム兄は直ぐに挙手)
このワイン実は今日出しているワインと同じワインなんです。
ヤニックアミローのブルグイユ レ・カルティエの2011です。
(会場のどよめき)
同じキュヴェのヴィンテージ違いです。
え?ちょっと待ってよ7年でこうなるの?ヤバっ!!!!
(にわかに信じられないコム兄と、いまだにおさまらない会場のどよめき)
普通カベルネフランで10年以上の熟成なんて考えないと思います。
カベルネフランって感じないくらいタンニンも細かいし、
赤果実系のスパイスな感じとフルーティーがあるんですけど全然古臭くない。
なんならまだまだ活き活きしてる。
12年寝かしたとは思えないいいワインです。
18年はもっと黒系ベリーで樽由来の力強さがあったし
果実感やタンニンの存在感があったけど
熟成して全然違うタイプに変わりましたよね。
そう言われても、この人(ワイン)が落ち着いてこうなるっていうのはちょっと想像がつかないというのがコム兄の正直な感想。
丸くて、うまくて、人たらしな感じだった2018が
エレガントでスマートな印象に変わってて7年という歳月の偉大さとキャラ変のしように驚くばかり。
可愛らしかった子役時代からイメージ変わってキレイになったねぇって感じ(例えが雑)
スタンダードキュヴェでこれはエグイし、ポテンシャルってこういうことを言うんだなって気がしました。
この姿を想像して熟成させていた造り手さん凄い。
完全に名伯楽。
もう一回写真載せておきましょうかね。
いやぁ、ワインは本当に面白い。
〆の甘口ワインとチーズと
赤ワインをご堪能中かと思いますが、お注ぎだけしておきますね。
とこちらをサーブしていただきました。
Coteaux du Layon 2020/Chateau du Breuil
多幸感を与えてくれるふんわり優しい甘やかな香り。
甘くて丸くて幸せな味わい。
シュピーンとした酸で甘みを〆るような味わいではなく
ふわりと優しく着地してくれるような味わいでした。
蝶々のような綿あめのような、浮遊感のあるようなそんな空気感。
夏にはこんな感じの甘口ワインがちょうどいいですね。
ほんでチーズとうまい。
塩気と美味い。
アプリコットとも美味い。
うまい。
うまい。
夏に飲みたいワインっていうコンセプトにピッタリでした。
さすがえいじさん。
締めくくり
ロワールという産地は本当はもっと多様性に満ちた産地なんですけど、
今日はシュナンブランとカベルネフランに絞って、しかも中央部分にスポットを当てて比較していただきました。
今日お出ししたワインのワイナリーは全て家族経営の零細なワイナリーばっかりです。
ロワールっていうのは農家さん自らが自分たちのワインを作ったりというような
小さい生産者が集まっている産地です。
フランスにはブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュというような華やかな産地が多い中で
ロワールというのは地に足着いた農家さんが支えてきた産地なんです。
だから派手さはないんです。
ワイン会で出して、「うわこれスゲー」って盛り上がって皆が写真を撮りまくるような
テンションが上がるようなそんな産地ではないんですけど、
農家さんやワイナリーの方たちの愛を感じるようなワインが多いのかななんて思います。
それもルネッサンスの影響や農民たちの土地に対する愛や郷土愛のようなものが、品格であったり華やかさに繋がっているように思います。
そんなところが今日は皆さんに伝わっていればなーと思います。
めっちゃ伝わりましたし、えいじさんのワインへの愛や情熱もびっしびし伝わる素晴らしい会でした。
最後に
いかがでしたでしょうか。
えいじさんのお話を一生懸命メモしていたお陰で充実した記事になりました。
これからワインの勉強するよーって方にも参考になる内容だと思いますね。
うんうん。
美味しいワインと美味しいお料理が食べられて知識欲まで満たしてくれるワイン会って中々ないと思いますよ。
ライバルが増えてコム兄が受講できなくなるのも困りますが、全力で皆さんにお勧めしたいと思います。
次回のテーマは泡という事で今から楽しみで仕方ありません。
しっかりレポートしてまいりますので楽しみにしていてくださいね!!
ではまたっっ!!
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