奈良ワイン会ファンの皆様お待たせいたしました。
今回のテーマは気候とワイン。
いやぁ、マニアックな香りがプンプンいたします。
しかも今回提供されるワインは全てブラインド。
もしかしたら1年ちょっと前のコム兄ならビビりまくって
怖いんで参加するのやめときます
って言っていたかもしれません。
でも絶対に学びになる!!という自信がありましたので勇気を振り絞って参加してきました。
結論だけ先に言っときますね。
ワインめっちゃ面白いし、めっちゃうまい(語彙)
さて、いったいどんな会になったのでしょうか。
コム兄ブログでは講義部分にあたる前編、
テイスティングとお料理紹介の後編
の二回に分けて紹介してまいります。
今回も脳みそフル回転で覚えている範囲(+復習した付け焼刃)で頑張ってレポートしてまいりたいと思いますのでお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
ってことで張り切って行くぜーーー。
ちぇけら。
今回のワイン会の流れ
今回のテーマになっている「気候」ですが、なにがそんなに重要なのか。
なんとなく大事だという事は分かっているし、影響するのは知っている方は多いと思います。
ワインの勉強をすると
冷涼な産地だからこうとか海流の影響でこう。
みたいな話って耳にする機会は少なくありません。
でも大事なのはわかっているけど、分かったようでいまいちピンとこないなって方もいるんじゃないかと思うんですよね。
高校では文系でも理系でもなくクッキング系だったコム兄も例に漏れずその一人。
そんなクッキング系のコム兄にも分かりやすい様にえいじさんがとても丁寧に教えてくださいました。
まずは気候とは何ぞや。基本メカニズムについて解説頂いたパート1
気候の原則を踏まえて気候がワインに与える影響を解説頂いたパート2
パート3では実際に気候の差でワインの味わいにどのように違いが出るのかをブラインドで分析しながら味わいました。
さらに奈良ワイン会の醍醐味の一つでもある美味しい料理を頂きながら楽しませていただきましたのでそちらも紹介させていただきたいと思います。
ブラインドテイスティングの目的は?
いきなりワイン会の中身に入っていくよりも、ブラインドテイスティングという事について確認しておきたいと思うんです。
ブラインドでしょ?そんなの知ってるよ。
って方も多いと思いますし
有資格者はもとよりワインラヴァーで知らない人はいないだろうこの単語。
ごくごく稀に「ブラインド得意です」という鉄人もいらっしゃるようですが
そういった方はとてもストイックにたくさんのトレーニングを積んだ方々で、一般的には苦手という方が多いのだと思います。
コム兄もとても苦手です。
では苦手な人が多いのにあえてブラインドで味わう意味って何なんでしょう。
もしかしたら品種や銘柄などを大きく外す人を見て笑いたい、マウントを取りたいという人も少なからずいるかもしれません。
でも大きな目的としては先入観を排除して目の前のワインを分析するためなんだろうと思います。
ワインの勉強をしていると品種や産地などたくさんの情報を覚えます。
その知識が役に立つこともあれば、反対に知識がワインを分析するのに邪魔になってしまうケースも少なからずあるわけです。
この産地ならまずいわけがない
とか
その産地は安ワインしか作っていないんでしょ
のように。
実際に味わったとしても無意識にそれっぽい銘柄と決めつけてしまって、その銘柄の中に存在する要素を意識して探してしまいます。
いわゆるバイアスギンギン丸になってしまっているわけです。(少なくともコム兄は)
今回は先入観をなくしてワインを楽しんでほしいという思いと、気候による違いを感じ取ってもらいたいという思いからブラインドで、しかも比較テイスティングというスタイルを取られたのだとコム兄は受け取りました。
奈良ワイン会 vol.13、準備完了😎(包み方汚い… pic.twitter.com/kKAmi1vbvu
— ワイン商 | えいじ🍷 (@eijitakemura) May 10, 2023
違ったらごめんなさい。
そうだと思って長々書いてしまったのに違っていたら恥ずかしすぎますね。
もし、えいじさんの狙いが違うところにあったとしてもコム兄はこんな感じで楽しませていただきましたことをここにご報告いたします。
パート1 気候の大原則を知る
まずは気候という言葉の意味の整理からしていきましょう。
気候とは、ある土地における長期的な天候パターンの事だそうです。
うん、なんとなく知っていた気がする。
では同じ様に晴雨、気温、温度や風の状態を表す言葉に「天気」「天候」「気象」などがありますがどのように違うのでしょうか。
そういわれると困っちゃいますよね。
コム兄は皆さんの味方なので安心してください。
「気象」は大気の状態や変化に関する言葉で、
「天気」は数時間から数日間の気象状態。
「天候」は一週間から1か月くらいの平均的な天気状態。
今回取り上げている「気候」はというと一か月以上の長期にわたる気象の平均的な状態やその土地における天候のサイクル?パターンを言うんだそう。
ふむふむ。
二週間後には忘れてしまいそうですが、忘れたらまた読みに来てくださいね。
ウラジミール・ペーター・ケッペンさんという気象・気候学者で植物学者でもある方が世界中を旅をしてあることに気が付いたんだと言います。
「同じ気候パターンを持つ地域は似た植生パターンを持つ。」
コム兄は存じ上げませんでしたが、この方世界の気候を5つの主要な区分に分けたケッペンの気候区分というものを考案した人なんだそうです。
地中海性気候とか、亜熱帯性気候とかなら聞いたことあるぜっていう方も多いかなと思います。
ケッペンさんはそういった気候区分を考案したド偉い方なんですって。
でもコム兄は凄そうですけど、いまいちそのすごさがピンときていません。
でも気象と植物の専門家だって言うんだから間違いなさそうです。
ブドウだってもちろん植物ですから気候の影響を受けて育ちます。
なんならブドウはとても素直な植物でモロに環境の影響を受けるんだそう。
素直だなんてまるでコム兄のようですね(ツッコミ略)
植物が育つ自然由来の要因として気候の他に地形・土壌も上げられますね。
ブドウが育つ環境×ブドウ品種の個性=ワインの基本的なスタイル
になるわけなので出来上がったワインを分析するとどんな品種がどんな環境で造られたのかが予測できるという事になります。
もちろんトレーニングは必要になると思います。
生産者側の視点で考えれば、理想とするワインのスタイルから逆算して生産するエリアや品種を割り出して作っちゃおうかななんて言う発想にもなるんだと思います。
気候を制する者はワインを制すと少し大袈裟なタイトルを付けましたが、あながち間違っていないかもしれませんね。
大陸の西と東
こちらの画像は世界のワイン産地の分布を示してまんがな。
いわゆるワインベルトと呼ばれる北緯30~50℃、南緯20~40℃の間に産地が広がっていることが分かるわけですが、もう一つ注目したい点は大陸の西側と東側に集中しているという事。
このワインベルトに該当する中緯度と呼ばれる地域は大陸の西側と東側での気候の違いが顕著なんだそう。
ふむふむ。
では大陸の西側と東側では大きく違うと言いますが具体的にどう違うのでしょうか。
大陸の西側は海洋の影響を受けて気温や降水量の年較差が少ない海洋性気候や地中海性気候が見られます。
すぐボルドーやプロバンスが思い浮かびますね。
あ、プロヴァンスね。
一方東側は偏西風の影響を受けて夏は高温多湿、冬は寒冷乾燥という四季が明瞭な気候が見られる。
日本やん。
いや、日本は大陸ではないから違うのか。
とは言え、このように同じ様な緯度でも海からの影響や偏西風の影響で異なる気候になるというのがなんとなく分かってきましたね。
大気の流れのメカニズム
気候要因でもある風や海流についてももう一歩踏み込んでみましょう。
風だって気ままになんとなく吹いているわけではなく、ある自然の法則に従って吹いているんだそう。
機嫌が悪いから強めに吹くとか、やる気が出ないから無風っていう事ではないようです。(ったりめぇだよ!!)
コム兄の理解に間違いがなければ次のようになります。
赤道付近は他の地点よりも日射量が多く、空気が温められて上昇気流が発生する。
これによって赤道の地上付近は空気の密度が小さくなるので低気圧になり(赤道低圧帯っていうんだって)、上昇気流によって空気の密度が濃くなっている上空が高気圧になる。
上空付近は寒いので、温められて上昇した空気は今度冷やされて下降する。
下降した空気は密度の低い低気圧の方に引っ張られるように流れていく。
図にもあるようにこうして大気の循環が行わます。
ふむふむ、なるほどなるほど。
さらに、地球の自転が絡んできます。
地球の自転の方向と、赤道部分と極部分の自転スピードの違いによって風の向きが変わるんだそう。
これによって貿易風や偏西風というのが生まれるんだってことの様でした。(あってますか?)
これだけでは終わりません。
さらにさらに、地球の地軸が傾いていることによって季節によって微妙に低気圧や高気圧が発生するポイントが上下することによって季節が変化していくんだという事でした。(あってます?)
風を作り出している正体は太陽と地球の自転の影響で、季節の変化は地軸の傾きによって起きているという認識でいいんでしょうか。
ありがとう太陽。
地球さん、回ってくれててありがとう。
傾いてくれててありがとう。
自然は偉大だなぁ。
海流の正体
ちゃんと理解が追いついて行けているのかはさておき、知的好奇心が刺激されてとても心地いいコム兄でしたが
疑問の点と点がつながったと言いますか、海流の正体もまた風だと聞いて興奮が止まりません。
もしかしたら高校レベルのお話で多くの人からしたら常識的な知識なのかもしれませんが
クッキング系のコム兄は調理科目を履修する必要がありましたので、中学校の理科に毛が生えた程度のことしか習っていません。
いや、むしろ今のタイミングだから理解できたのかもしれませんし、えいじさんの説明が上手かっただけなのかもしれません
それにしても目から鱗が落ちすぎて掃除が大変なくらい。
偏西風や貿易風の影響で海水を動かし、表層的な流れだったものが大きな流れになり、
動いた流れが大陸にぶつかって方向を変えて循環する。
これに地球の自転も組み合わさって海流が生まれているのだそう。
向きを変えて流れた際に周りの海水よりも温かければ暖流、冷たければ寒流。(という話だったはず)
面白いっすねぇ。
多分温かい海水はより上層を流れるんでしょうし、冷たい海水は下層を流れたりするんでしょう。(憶測ですが)
こうして風も海流も絶え間なく動いているという事なんだそうです。
なんだかNHKみのある内容になってきましたね。
パート2 気温と日照とワインと
風や海流のメカニズムがザックリとわかってきました。
じゃあ、結局のところどんな気候が適しているんですか?という話です。
それはズバリ十分な気温と日照。
ズバリといったもののずいぶんザックリとしてしまいましたね。
ちゃんとえいじさんが解説してくださっているので安心してくださいね。(コム兄が肝心なところを聞き逃していなければですが)
気温について
まずは気温に関する部分から見てみましょう。
ここからはクッキング系でも何となく分かるぞっていう部分に入っていきます。
基本的中の基本ですが緯度が高ければ寒くなります。
北半球で言えば北に行けば寒いし南に行けば温かい。
南半球ではその反対。
仮に世界中が果てしなく平坦な台地であればこの原則が当てはまりそうですが、
実際には山があったり谷があったりと微妙に標高が違ったりするわけです。
比熱の違いによるものだそうですが、海に近いほど気温差が少なくて内陸に行くほど気温差が激しくなる。
さらに緯度が低くて暖かいエリアでも寒流の影響で涼しくなることもあるでしょうし、
標高0mの場所と標高500mの場所とでは気温が(約)3度違う言いますから、
シンプルに緯度だけでは気温を予測するのは難しいという事になります。
絶望的。
ですが、この複雑な気候を区分けした天才がいます。
そう。ケッペンさんです。
複雑に絡み合う要因を整理してきたおかげでケッペンさんの偉大さがなんとなく分かってきましたね。
気温と日照量と熟度
じゃあ気温とブドウには関係があるのか。
そりゃああるに決まってるんです。
一般的に気温が低いほど糖度が低くて酸度が高いブドウが育ち、
気温が高いほど糖度が高くて酸度の低いブドウが育つんだそう。
ふむふむ。
それだけではなく成熟していくスピードも大事なんだと言います。
ブドウが成熟していくと糖度と共に品種固有の特徴であるフェノール類も生成され含有量が増えていきます。
このフェノール類がワインに複雑さを与えてくれますが、気温が高すぎると過熟してしまい雑味の原因になりかねません。
さらに成熟度が増加すると酸の含有量が減少していきます。これは呼吸によってリンゴ酸が消費されるからだそう。
トレードオフってやつでしょうか。
昼夜の寒暖差がなくずっと暑い場合は糖度こそ上がるのかもしれません。
でも休む間もなく、それこそ徹夜して目を血走らせながらダッシュで糖分を作っていることになるので酸は一気に落ちちゃうし、フェノールの熟成が追いつかないという事になりかねません。
酸もフェノールも捨てて満身創痍で糖分だけ作りました!!
っていうブドウからワインを造ってもきっと味気ないワインになるんだろうことはなんとなく想像できますよね。
お前いつからサトウキビになったんだよって話。
だから一日中暑い地域よりも日中の寒暖差があるほうが酸を保持したまま成熟したブドウを獲得することが出来るという事に繋がるんですねぇ。
おもろい。
おもろいぞワイン。
前編のまとめ
いゃあ、濃い内容ですね。
この内容を短時間で解説できちゃうえいじさんさすがでございます。
それでいて柔らかく固くなりすぎないテクニックには脱帽ですよ。
本当にコスパえぐい会です。
遠近を問わずWSET受験生が多く参加されているのも納得。
完全に世界クオリティです。(世界を知らんお前が言うな)
という事で今回の内容をザックリまとめますと
・気候はある土地における長期的な天候パターンである
・赤道付近で低気圧が発生して風を生み、その影響で海流が発生している
・気温とブドウの相関関係
・ケッペンはすごい人
・えいじさんの解説力は世界レベル
こんな感じでしょうか。
次回はいよいよブラインドでの比較テイスティングの内容に入っていきます。
今回最後までお読みいただいたみなさんは、一緒にどんな気候で栽培されたワインなのか想像して楽しむことが出来ると思いますので楽しみにしていてくださいね。
なるべく早く更新できるように頑張りますのでゆるりとお待ちくださいね。
ではまたっっっ!!!
次回の記事はこちらからどうぞ
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