みなさんこんにちは。
コム兄です。
今回も皆さんを狩猟の世界へお連れ出来ればと思います。
空気感が幾らかでも伝わると嬉しいです。
ちなみにコム兄が狩猟を志したきっかけはこちらから。
そして実際に猟師として活動して2期目が終了しました。
【コム兄の狩猟奮闘記】Season.2の一発目である前回の記事ではイノシシ捕獲について紹介しました。
思いがけない大物の捕獲になすすべもなく、結局支部長に止め刺し(殺すこと)をお願いしました。
小石を投げるなど多少の抵抗はしてみたものの全く意味はありませんでした。(あたりまえ)
今回の記事でもイノシシ捕獲にまつわるお話を紹介していこうと思います。
若干ネタバレしちゃうと、
支部長に電話してみたものの”村の用事で出てこられない”と断られてしまったコム兄。
無事に捕まえることが出来たのでしょうか。
早速行ってみましょう。
ちぇけら。
正月気分もそこそこに
コム兄が在籍している天理教教会本部では例年1月5日から7日までお節会という行事が行われ、
信者以外にも広く多くの方に無料で雑煮が振舞われます。
せっかくなので少し紹介しますと、
年末に全国各地から届けられたお鏡餅が正月三が日に供えられ、雑煮用に小さく切り分けられます。

ちなみにこの鏡餅は約20トンを超えるそうで(これでも少なくなった)、
中には直径80センチ、厚さ20センチほどの特大サイズのものもあります。
そんな鏡餅を切り分ける「鏡開き」には
多くの信者さんによって食べやすい大きさに切り分けられます。
切り餅は炭火で一つずつ丁寧に焼き上げられ、
水菜を添えたすまし雑煮にして振舞われます。


食べたからと言って信者にならなければいけないとか、
勧誘の類がうるさいなんて事もありませんので安心してくださいね。
コム兄に会ったことがある人ならお分かりいただけるかもしれませんが
布教する気なんて一切ありませんので(それはそれで問題なのかもしれませんがw)
もし興味があるという方は連絡いただければ参加して頂けますのでご連絡くださいね。
脱線しましたので、狩猟の話に戻します。
年末年始には帰省予定でしたし
年が明けても仕事が忙しくて見回りが出来ないので
帰省前に罠は全て解除し、撤収していました。
狩猟1年目の時には罠を解除しなかったがために
尊い命を無駄にしてしまった経験があります。
それを繰り返すまいと誓ったからでした。
ちなみに詳細はこちら↓
そして再設置したのは「お節会」が終わり、その他の仕事も一段落した。
そんな頃でした。
罠を仕掛けた翌日。
見回りに行ってみると
谷間の底の所に仕掛けたポイントに
良型のイノシシが掛かっていました。
加齢臭を放つオッサンが
山にしばらく現れていなかった事で
獣も油断したのかもしれませんね。

この写真では分かりづらいかもしれませんが
10メートル無いくらいの小高い尾根の上から
谷底にいる猪を見おろしているようなアングル。
滑り落ちたらまぁまぁなケガするやつです。
せっかくなので動画も撮ってみました。
遠いので迫力はイマイチですが、雰囲気は伝わるかなと思います。
以前にも紹介したことがあるかもしれませんが
基本的に罠に掛かっているかを見るときには
上手(かみて)から状況を伺います。
もし罠の掛かりが甘かったり、
脚がちぎれていた場合に
下手(しもて)から行ってしまうと下り坂を突進してくることになるので
余計に勢いがついてしまってとても危険です。
慣れてくるとつい疎かにしてしまいがちですが
自分の命を守るためにも気を付けなければなりません。
それで、罠のかかり具合や脚に異常がない事が分かって初めて近づきます。
こちらは尾根を降りて谷間のポイントに近い所から撮影したものです。

遠目から見るとお目めがクリクリで可愛らしさすらあります。
黒くて丸まっているので小さく見えますけど、
前回支部長に仕留めてもらったやつよりも大きくて
50キロに少し満たないくらいのサイズ。
イメージで言うとコム兄がギリお姫様抱っこできるかな?くらいのサイズ。(分かりそうで分からない)
でもやっぱり近づくと歯をカチカチ鳴らしたり、凄い威嚇してくるわけ。
そこで支部長に相談してみたわけです。(今回もかいw)
「村の寄り合いがあって行かれへんねんけど、一日くらいほっといても死によらへんよって
そのまま放っておいて明日にでも行ったら多少元気もなくなって捕獲しやすいかもわからんな」
なるほど。
鹿はすぐに死んじゃうけどイノシシはタフなんだなという事を学びました。
「来れない」って聞いて絶望しましたが、
一日くらい放置しても良いって聞いてなんだか安心しました。
安心したのは逃げる口実の後ろ盾をもらった気がしたからかもしれません。
そんな事もあってか罪悪感なく撤収をすることが出来ました。
精神統一とリトルコム兄との会話

撤退したのはいいものの、他のことが手につかなかったので
鹿の角を使ったカトラリーレスト作りを進めることに。
紙やすりで地道に削って、ペーパータオルで艶が出るまで磨きまくる。
地味に肩とか腕がパンパンになるんですけど精神統一になる気がします(勘違いかもしれません。)
一生鹿の角を磨いているとリトルコム兄が語りかけてきました。
リトル:今回も支部長にお願いするわけ?
コム兄:道具も少ないし仕方ないやん。怖いし。
リトル:そんなん言うてたら一生1人前になれへんやん。
コム兄:…
リトル:今持ってる道具使って挑戦してみたら?
どうしても無理ならその時は助けてもらったらいいやん。
コム兄:せやな。
リトル:安全第一でやれるだけやってみよう。
そしたらホンマに必要な装備とかも見えてくるかもしれへん。
コム兄:やってみるわ。
いわゆる自問自答なわけなんですが、
やれるだけのことはやってみようという決心がつきました。
その晩は狩猟系YouTubeを見漁ってイメージトレーニングをしまくったのは言うまでもありません。
決戦当日
気持ちも新たに朝イチでポイントへ向かいました。
遠くから覗いてみると固まって動きません。
まじか・・・。
死んじゃったのかな・・・。
寒いしな・・・。
悪いことしちゃったなと罪悪感に押しつぶされそうになったのも束の間
足音を察知してか文字通り”跳ね起き”てこちらを威嚇し始めました。
寝てたのね。
脅かしてごめん。
1日ぐらい放っといても死なないという支部長のアドバイス通りでございました。
早速罠のワイヤーの状態や脚が千切れていないか再チェック。
問題なしと判断し、意を決して近づいてみました。
もう少し弱っててもいいんじゃない?ってくらい元気でいやがんの。
まずは鼻取り
でも今日のコム兄は昨日までのコム兄とは違います(当社比)
何でもかんでも噛み付くイノシシの習性を利用して、
ワイヤーをわざと噛ませて上顎(鼻)に締め付けて固定し、
ワイヤーの反対側を近くの木に括り付けて獲物の動きを制御します。
こんな感じ。

主にバネ式と手動式がありますが脆弱装備のコム兄は手動式。

その辺に落ちてる長めの枝を接続部分にぶっ刺してワイヤーを這わせ、近寄りました。
YouTubeを見てるとほんと簡単そうにやってるんですけど
なかなかどうして上手くいかないんですよね。
これが。
何回トライしたか分かりませんが、なんとか鼻に引っ掛けることに成功。
ひとまず第一関門クリアです。
綱引き
鼻取りがうまく出来たら今度はワイヤーを木に括り付けます。
ピンと張られていなければ動きを制御する事が出来ないので思いっきり引っ張ります。
引き戻されてたまるものか!
と手にワイヤーをぐるぐる巻いて引っ張ります。
もう必死のパッチ。
イノシシの引きも強くて、指が引きちぎられるかと思う事も何度もありました。
1日放っておいてこのパワーって、ほんと野生動物の生命力は半端ない。
体感ですけど30分くらいは綱引きしてたんじゃないかと思います。
括りつける時も油断すると力が緩んでしまって引き戻されるので注意が必要です。
腕の力だけでは太刀打ちできないので
脇をしっかり締めて肩、腹、背中、太もも、つま先と
ありとあらゆるパワーを総動員して
さらに体重まで全部乗っけてやっとの思いで木に括り付けました。
乳酸で体中パンパン。
こちらが鼻を取って木に括り付けて制御する事に成功した後の様子、
音量を大きくして聴いていただくと息切れしたコム兄の声も聞こえるかと思います。
冬だっていうのにすんごい汗が噴き出してて、風呂上がりかってくらい髪の毛も濡れていました。
理想を言うともう少し引っ張ってピンと張りたい所ですがこれが今の限界ですかね。
角度を変えて後方からの様子。
前脚と鼻を固定されててもこの迫力。
パネェです。
いざ止め刺し
ここまで来たらあとは止め刺しをするのみ。
ベテラン猟師だったらこの後四肢をロープでくくって生け捕りにしたりするんでしょうけど
コム兄はまだ出来ません。
勇気がありません。
なので、鹿を仕留める時と同じ要領で止め刺しに向かいます。
流れを確認しておくと、
まずはその辺に転がってる木の枝でしばく→失神して脱力→頸動脈を切って速やかに放血→運搬。
先ほどの綱引きでパワーを使い果たしたからか
ビビってなのか、全身がプルプルピクピクして力が入らない。
何度もシバくのは可愛そうなので一発で仕留めるためにも硬そうな枝を探しました。
心を決めて振りかぶるとイノシシと目が合います。
「案外可愛い目をしているんだなぁ」
と、つい気持ちが揺らぎそうになる。
それでも自らを奮い立たせるように大きな声を出しながら全力で振り下ろしました。
う“り“ゃーーー!!
ほとばしる汗。
砕け散る木片。
全然効いてない。
おかしい。
クリーンヒットしてるはずなのに。
気を取り直してもう一撃。
何してんの?そんなんじゃ効かへんで
とでも言うかのようにこちらを見るイノシシ。
ポカーンですわ。
もはや無ずすべなし。
言うても動きを制御できてる訳だからナイフを刺しに行こうか。
でも上顎と鼻にはワイヤーがかかってるけど、
下顎まで括れていなかったので口の開けしめが出来る。
鈍臭いコム兄は下手に近づいたら噛みつかれちゃうかもしれない。
柄の長い槍みたいなのがあれば安全にできたかもしれない。
しかしながらコム兄は出刃包丁に毛が生えたようなナイフしか持っていない。
丸腰にもほどがある。
けど、鹿ならこの程度の装備でいけちゃうのも事実。
どうしたものか。
仲間に相談
困り果てたコム兄はとある猟師仲間に連絡してみた。
彼は中古車販売の仕事をしていて自分の工場を持っている。
詳しいことは分からないが
バッテリー?かなんかを魔改造して電気止め刺し機も自作していて
去年小さな獲物がかかった時にその威力を見せてもらったことがある。
槍の先端の金属部分に電気が流れるようになっていて
その槍を獲物に刺すと感電して失神するというものだ。
当然使用者も感電しないように注意する必要がある。
そんな電気止め刺し機を貸してもらえないだろうかという相談だ。

電話口で彼は快諾してくれ、
「運び出すのも大変だろうから一緒に手伝う」と言ってくれた。
本当に頼もしい人だ。
到着した彼の手には電気槍と木刀が握られていた。
その辺に落ちてる枝でなんとかしようとしていたコム兄とはえらい違いだ。
現場へ到着して状況を説明。
彼もイノシシと対峙するのは今回が初。
とは言え時間をかけるのも可哀想なので早速取り掛かった。
まずは電気無しで木刀の一打だけでいけるか挑戦。
木刀の素材が何なのかは分からないがカッチコチに硬い(当たり前)
狙うポイントが悪かったのか、それでも失神はしなかった。
コム兄のパワーの問題かもしれないが。
電気槍の登場。
スイッチをいれると独特なウィーーンと言うような音が鳴る
(電車が出発する前になるような感じの小さいバージョン)
太もものあたりに突き刺すとカラダ全身に電気が流れたのか
ブビィッという鳴き声と共に引きつったように硬直した。
鳴き声がおさまったので失神したかと思って槍を離すとまだ意識がある。
電気も効かへんのかい!!!
槍を刺して硬直している間にナイフで止め刺ししようかと考えたが
感電してコム兄が死んでしまったら元も子もない。
今度は電気でよろめいている所を仲間が一撃を食らわせた。
コム兄と違ってとてもパワータイプなのに加えて眉間ではなく延髄のあたりを狙ってみるとの事だった。
コム兄がやった時のコツーンという骨にはじかれるような音と違って
何かとても鈍い音が聞こえたように思う。
その直後イノシシが纏っていた殺気の様なものが解けていくような気がした。
この機を逃すまいとすぐさま頸動脈をカットして血抜きを行った。
苦しそうな呼吸とと共に切り口から血液が流れだす。
鹿の場合は2,3分で絶命して動かなくなるが、
この個体の場合は10分以上は息があったように思う。
本当にタフだった。
その後二人で健闘を讃えつつイノシシを担いでやっとの思いで下山しました。
心なしか自然も祝福してくれているようで(勘違いかもw)
流れる風がいつもより心地よく感じたのでした。
最後に
最初から最後まで一人でというわけにはいきませんでしたが
鉄砲で一発ドンとやってもらうのと違って
イノシシの生命力を感じられるいい経験になりました。
かなり手こずってしまいましたが。
改めてYouTubeでやってる猟師さん、尊敬。
車に乗せた後に彼の整備工場に寄ってイノシシの重量を計測してもらいました。

ケースの重さを差し引いて45キロちょいといったところでしょうか。
幸いなことに今回もメスのイノシシでした。
肉質も去ることながら(一般的にメスの方が柔らかいと言われる)
繁殖力を考えるとメスを捕まえられた功績は大きい。
支部長に仕留めてもらったものよりやや大きいかな?くらいのイノシシでしたが
同じエリアで捕れたことから考えても兄弟だったんじゃないかと想像できます。
コム兄が未熟な為に長い間苦しめてしまってごめんよ・・・。
来年は生け捕りに挑戦してみたいと思います。
乗り越えるべき心理的なハードルはまだまだ高いけど頑張ってみようと思います。
ちなみに今回のイノシシの処理はお湯を掛けて毛を抜く湯剥きの方法でやってみました。
バーナーで燃やすのより遥かに早かったので次回からこの方法でやりたいと思います。
今回も最後まで読んでくださってありがとうございます。
今後も頑張って続けていこうと思いますので応援よろしくお願いします。
さて次回以降の記事では
毛がマダラに抜けて何らかの病気に罹っていると思われるイノシシを捕獲した際のエピソードや
コム兄が猟師を志したきっかけになった場所で捕獲した鹿の話、
それから次男の背中にダニが食いついていた時のエピソードなどなど。
気の向くままにボチボチ紹介していこうと思います。
読んでいただいた感想や質問なんかがあれば、いや、何もなくても
コメントしていただけますとモチベーションに繋がりますので遠慮せずお願いします。
という事で今日はここまで。
ではまたッッ!!
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