前回の記事では、
店舗に残された大量の不用品を前に、
70万円という撤去見積もりを見て、
自分たちで片付ける決断をした話を書きました。
今回はその続きです。
正直なところ、今回の話はあまり華やかなものではありません。
料理でもワインでも内装でもない。
飲食店を営業するうえで避けて通れない、「衛生管理」の話です。
青森にいる時に届いた一本の連絡
私が青森へ帰省していたある日、妻から一本の連絡が入りました。
店舗の裏の庭の所で大きなネズミの死骸が見つかったというのです。
私は実物を見ていませんが、
話を聞く限り、それはそれは大きかったようで、
おそらくドブネズミだったのではないかと思います。
(デカいのがドブネズミというのも今回初めて知った。)
もちろん気持ちの良い話ではありません。
しかも、私が不在だったため
たまたま片付けを手伝ってくれていた義父が処理をしてくれたとの事でした。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ですが、この出来事をきっかけに店舗全体を改めて見直すことになりました。
倉庫に隠れていた問題
店舗の奥にある倉庫には、
前のオーナーさんが作ったと思われる木製の棚が設置されていました。
収納力もあり、一見すると便利そうな棚です。

ところが、よく確認してみると棚には大量のホコリが積もっていました。
さらにその最上段にはネズミの糞と思われるものも混ざっています。
コウモリの糞らしきものまで見つかりました。
おそらく原因は倉庫のシャッターです。
長期間開いた状態になっていたことで、
様々な生き物が出入りしやすい環境になっていたのでしょう。
前のお店が営業していた頃からなのか、
私が建物を譲り受けてからなのかは分かりません。
私が譲り受けた段階でシャッターを閉めていれば…と後悔しましたが、今更遅い。
いずれにしても、設置されている棚の上部は視認性が悪く、掃除もしづらい。
飲食店として考えれば、とてもそのまま使い続けられる状態ではありませんでした。
そこで思い切って棚を解体することにしました。
壊して、洗って、処分して
まずは不用品を処分し、棚を壊し、床をデッキブラシでひたすら磨く。
地味で骨の折れる作業です。


イヤホンをしてspotifyで音楽を流しながらひとり黙々と作業。
右のイヤホンが汗で滑ったのか
タイミングよく(悪く)ポロっと洗剤入りのバケツに落ちてお亡くなりになりました。
正直なところ、料理人を目指した時に
「将来自分の店の倉庫を丸洗いすることになる」
とは想像していませんでした。
それでも不思議と嫌な気持ちはありませんでした。
少しずつ空間がきれいになっていく。
長年積み重なっていたものが取り除かれていく。
その変化が目に見えて分かるからです。
そして何より、汗を流した後のハイボールの美味い事。
作業が終わる頃には、倉庫は見違えるほどスッキリしていました。

床も想像以上にきれいになり、シャッターを閉めて管理すれば問題なく使える状態になりました。
骨の折れる作業ではありましたが、今振り返ると本当にやって良かったと思っています。

今だから良かった
今回の件で強く感じたのは、
「今で良かった」ということです。
もしこれがお店をオープンした後だったらどうでしょう。
ネズミの痕跡が見つかっただけでも大問題です。
場合によっては営業に影響が出る可能性もあります。
今回はオープン前だったからこそ、
業者さんに相談し、侵入経路の確認や忌避剤の散布など必要な対策を取ることができました。
倉庫を丸ごとデッキブラシで洗うということもオープンしてからでは難しかったと思います。
もちろんネズミに感謝することはできません。
ですが見方を変えれば、営業が始まる前に問題を教えてくれたとも言えます。
不幸中の幸いとは、まさにこういうことなのかもしれません。
害獣対策は一度やって終わりじゃない
業者さんの話によると、この辺りは比較的ネズミが多いエリアなのだそうです。
周辺には飲食店や居酒屋も比較的多く、それが影響している可能性もあるとのことでした。
さらに市内の近隣エリアではアライグマの出没情報もあります。
害獣対策というと特別なことのように聞こえますが、
飲食店にとっては日常的に向き合わなければならない課題なのだと改めて感じました。
今回の対策で終わりではありません。
どれだけきれいに掃除をしても、
どれだけ設備を整えても、
継続して管理しなければ意味がありません。
料理やワインのことばかりに目が向きがちですが、
お客様に安心して食事を楽しんでいただくためには、
こうした見えない部分の管理こそ重要なのだと思います。
想定外は必ず起きる
開業準備を進めていると、本当に次から次へと予想していなかった問題が発生します。
不用品撤去。
設備の修繕。
害獣対策。
衛生管理。
どれも当初の計画にはありませんでした。
それでも現実に起きた以上、受け入れて対処するしかありません。
むしろ大切なのは、「問題が起きないこと」ではなく、「問題が起きた時にどう向き合うか」なのだと思います。
楽しくない作業こそ大切
店づくりというと、
料理を考えたり、ワインを選んだり、
内装を考えたりする華やかな部分に目が行きがちです。
でも実際には、
その裏側にある地味な作業の積み重ねでお店は成り立っています。
掃除。片付け。修繕。整理整頓。
どれも決して目立つ仕事ではありません。
正直、楽しい作業ばかりではありません。
それでも、そうした作業を前向きに取り組めるかどうか。
少しでも楽しみながら進められるかどうか。
それが結果的に良い店づくりにつながるのだと思ったりします。
ワインや料理はお客様の目に見えます。
でも衛生管理は目に見えません。
だからこそ手を抜かない。
Circleはそんな店でありたいと思っています。
開業準備はまだまだ続きます。
これからも想定外の出来事はたくさん起きるでしょう。
それでも焦らず、無理をせず、一つずつ。
ぼちぼち前に進んでいこうと思います。
衛生面も含めて、お客様に安心して過ごしていただける店を作りたい。
そんな想いで準備を進めているCircleですが
クラウドファンディングも6月16日現在で40名の方々から111万円のご支援を頂いております。
本当にありがたい限りでございます。
オープンまでいよいよ一ヶ月をきりました。
ワールドカップ観戦で寝不足気味ではありますが
怪我や病気には気をつけてボチボチ頑張っていこうと思います。
と言うことで今回はここまで。
エピソード3に続く。


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