【ボルドーの”今”を凝縮!】NARAワイン会 vol.21 「ボルドーと世界」コム兄的参加レポート

コム兄とワイン

突然ですが皆さんはボルドーワインと聞けばどんな印象をお持ちでしょうか。

「伝統的なボルドーワインについてどのようなイメージを持っていますか?

教えてくんなまし。」

友達がいないコム兄はAIさんにこう尋ねてみました。

するとこんな回答が返ってきた。

いくつか抜粋して紹介したいと思います。

赤ワインが主体であること

赤ワインの生産が主体で特にカベルネ・ソーヴィニョン主体の力強くしっかりした味わいの赤ワインが有名です

ブレンドの文化であること

ボルドーワインは複数のブドウ品種をアッサンブラージュ(ブレンド)することで、複雑で奥行きがあり、味わい深いワインに仕上がります

格付けシステムが有名

ボルドーには歴史的な格付けシステムが存在し、シャトー(ワイン生産者)によっては非常に高い評価を受けているものもあります

このように答えてくれました。

その他にも右岸と左岸の違いや貴腐ワインで有名なソーテルヌについても言及しておりました。

AIさん優秀ですね。

この他にも熟成しないと美味しく飲めないんでしょ?

とか、

いかり肩のボトルでしょ?

のようなイメージを持っている方も多いのではないかと思います。

今回はそんな堅牢で伝統的で格調高い産地であるボルドーの新潮流

ボルドーが影響を与えてきた産地のワインを堪能させていただいてきました。

なんと今回登場するワインは11種類。

自称記録係には大変な会でしたがそれぞれのワインのテーマからボルドーのトレンドを紹介していただきました。

(それぞれのワインについてまとめたレジュメを頂いたのでとても助かりました)

ボルドーネゴシアンによるボルドー新潮流の解説。

「今までのイメージをぶっ壊す」

という言葉の勢いをそのままに新時代の胎動を全身で感じてまいりました。

まさにシン・ボルドー

ゾクゾクするでしょ?

前置きが長くなってしまいましたが早速振り返ってみたいと思います。

イメージを塗り替える覚悟はいいですか?

行ってみましょう。

ちぇけら。

スタートアップ

ドメーヌ・ド・リル・ルージュ ペットナット・ロゼ 2020

まずはコム兄の無駄な情報の前にえいじさんメモを紹介したいと思います。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

アントル・ドゥー・メールの真ん中、フォンタルノー村に2.3haの畑を持つマイクロワイナリー。当主のアントナン・ジャモワ氏は1979年パリ生まれ。国外で第一次産業を中心に数多の経験を積んできた彼は、2014年にワインの世界に転身。「ワイン造りの拘りは、自然な発酵を行い、何も加えないこと。亜硫酸は必要に応じて極少量のみ使用しますが、ブドウ本来のエネルギーがそのままに生きた味わいのワイン造りを目指している」(モトックスさん資料より)

ヴァン・メトド・ナチュール認証。

メルロー100%

メトド・アンセストラル方式/野生酵母/12か月間以上瓶内熟成

こちらはメルローから造られたペットナット。

シャトーなんちゃらみたいな大規模な生産者が多いイメージのボルドーですけど

個人や家族、友人などとブドウを購入してきて少量だけ造るというマイクロワイナリーが増えてきているんだそうですね。

ふむふむ。

ブドウ本来のエネルギーがそのまま生きた味わいのワイン造りを目指しているとの事でしたが

とてもクリーンで”危なげがない”美味しいワインでした。

繊細で細かな泡立ちと香りがチャーミングな印象で苺のような優しい酸味と心地よいほのかなタンニン。

染みました。

味わいといいボトルの形といい、一発目からボルドーっぽくないワインでございました。


自由な精神

クロ・ドラ・モレニー ブラン 2021

こちらのワインは元々協同組合にブドウを卸していた農家さんがアントル・ドゥ・メールで造ったワイン。

自分たちのブドウの品質に絶対の自信を持っていて、農協に販売する以外にも自分達でも仕込んでみようと始めたんだそう。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

10年間サンテミリオンでワイン造りを手掛けた夫が醸造、ビオディナミのコンサルティングを生業としていた妻が栽培を担当するという新世代ボルドー生産者。

ブドウ販売で生計を立てられるという事もあってカベルネ・ソーヴィニョンのブラン・ド・ブランを造ってみたり、アンフォラで仕込んでみたり、ボルドーでは使う事のないプティマンサンやカステットと呼ばれる品種を使うなど既成概念にとらわれない自由なワイン造りを行っている。

造りは至って普通だがステンレスタンク、アカシア新樽、エナメル加工した卵型サンドストーンタンクの3つを併用して熟成しています。

ソーヴィニョン・ブラン100% 粘土石灰岩土壌

ステンレスタンク(50%)、アカシア新樽(25%)、エナメル卵型砂岩タンクにて醸造。

アカシア樽とか、エナメル加工しているとかコム兄は初めて聞きました。

こちらのワインのようにボルドー瓶ではなくブルゴーニュ瓶を使う生産者さんが増えてきているそうで、

さらに言うと”ボルドー”とか”アントル・ドゥー・メール”とエチケットに書かない”個”を出したワイナリーも増えてきているんだそう。

ボトルやエチケットをチラッと見ただけでは絶対にボルドーのワインだとは気が付かないいで立ちです。

産地で品種や特徴をひとくくりにするような時代は終わってしまったのかもしれませんね。

シトラスやハーブ感のある香りそのままにピュアな味わいでとっても爽やかなワインで

湿度高めの今の時期にピッタリ。

こんなシトラス香る爽やか男子に、オレはなる!(無理)


古都華の未熟果を使ったペリゴール風サラダ

「温かくなってきたのでサッパリと」

と提供いただきましたのがこちらのサラダ。

古都華という奈良県で開発されたイチゴの未熟果を使ったペリゴール風のサラダ

キウイのような青さがあるから面白いんじゃないかという事で使ったんだそう。

ピンクの可愛いドレッシングはこれまた古都華とヴィネガーを使ったというフルーティなもの。

うん。美味しい。

ペティアンと古都華のドレッシングが甘やかなニュアンスも相まってとても美味しかったです。

一方のモレニーさんのソーヴィニョン・ブランは未熟果の古都華の青さと共鳴しておりました。

青さとキューッとした酸味がとてもさっぱりしていて本当に美味しい。

よくよく考えられた素晴らしいペアリングでした。

うんうん、最高のスタート。

サラダfeat.とのさまさん

コム兄が一生懸命メモを取っている間にとのさまさんがサラダを取り分けてくださいました。

ありがとうございます!!!

前菜 魚介のマリネ

続いて「白ワインに合わせまして」

と提供いただきましたのがこちらのお料理。

その名も魚介と夏野菜のマリネ

下手こいたら魚介がカチカチになっちゃったり、生臭かったり。

シンプルであるからこそ仕事の差が出ちゃうような料理です。

タコやエビ、ムールやアサリなど沢山の魚介とこれまた丁寧に処理された野菜たち。

旨味の溶け出した爽やかな酸味のマリネ液が全体の味わいの方向性を示し、

その中でもそれぞれの食材の個性が生きている今の時期にぴったりの爽やかな料理でした。

ペアリングについては次のワインのところで紹介したいと思います。

消費者目線

デスパーニュ ラ・ミュート 2020

続きましてはジロラットやモン・ペラでも名高いデスパーニュ家のワイン。

えいじさんメモを紹介しましょう。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

アントル・ドゥー・メールのノジャン・エ・ポスティヤック村にある家族経営のワイナリー。ここはサン・テミリオンの対岸に位置し、土壌構成的には同じヒトデ石灰岩がベースにある。ちなみにデスパーニュの有名な「モン・ペラ」の畑はもっと南で、より粘土が強い。「ボルドーはクラシック」が当たり前だった90年代に新技術を次々導入し、一躍アントル・ドゥー・メールに世界の目を向けさせたパイオニアであるが、その原点は徹底的な消費者目線。食事との相性、それも素材を生かした繊細な料理との相性が求められる昨今において、スタンダード・レンジのトゥール・ド・ミランボーとも、最上位のジロラットとも異なる、より「ガストロノミック」な味わいを追求したのがこのラ・ミュートだ。

セミヨン100%

オーク樽発酵(16℃、30日間、天然酵母)、オーク樽熟成

ウチのワインはこうだ!

じゃなくて、

こういうワインが欲しいなら俺が造るよ!

って言って色んなワインを造るほど徹底した消費者目線っぷり。

フットワークが軽くていいですね。

まろやかクリーミーな果実味と程よい酸味が心地よい味わい。

酸味と旨味のお料理と滑らかクリーミーな味わいのワインが口の中で一緒になる事で新しい料理になっているような。

お料理の格が上がったような気がいたしました。

なるほどガストロノミックなワインを目指して造られたというのが納得のワイン。

これからもきっと消費者目線で進化し続けるであろうこちらの生産者さん。

この先どんなワインを造ってくれるのか楽しみですね。



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ボルドーの懐の深さ

シャトー・クーアン・リュルトンルトン 2016

「4本目は一転してクラシックなボルドーです」

といって提供いただきましたワインがこちら。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

1700年代まで遡る長い歴史を持つ、知る人ぞ知るぺサック・レオニャンの銘醸シャトー。1959年のグラーヴ格付けでは白が認定。戦後の苦難の時代、当主の死によってシャトーは存続の危機に瀕したが、この土地の名士であるアンドレ・リュルトンが助けに入り、1972年に傘下となる。その知名度と評価の高さとは裏腹に、白の栽培面積は決して広くなく(5.5ha)、常に人の目が行き届いている。「価格と品質を考えると、ボルドー・ブランのベストバイの一つと言って間違いない。」

ソーヴィニョン・ブラン100%

石灰岩土壌の上に砂利と砂の混じった表土

空圧式プレス、オーク樽発酵(新樽30%、MLC無し、培養酵母使用)、オーク樽熟成10か月(シュール・リー)

クラシックなスタイルのザ・ボルドーのワインですけど、伝統的なスタイルのワイナリーもちゃんと進化してますよと。

ソーヴィニョン・ブランと樽ってこんなに仲いいんだねーって思わせてくれるワイン。

熟度と酸味のバランスがポイントなんでしょうね。

詳しい事は分かりませんが。(残念過ぎる)

シトラス香る爽やか男子がビシっと着飾って舞踏会って感じのイメージでしょうか。(誰が分かるんだよそのイメージ)

シュっとしていてとてもコム兄が好きな味わいでした。

魚介のマリネとの相性も秀逸で、一緒にモグモグ、ごっくんした後に残る甘さと口の中に響くような余韻がぱねぇ。

樽と魚介はあんまり良くないイメージがありましたがそんなことなかったな。

丁寧に造られたワインって本当に美味しい。

好きです、クラシック。


奇抜な優等生

メゾン・マリウス・ビエル バズーカ 2022

こちらは本日唯一のオレンジワイン。

「ボルドーがテーマなのにオレンジを挟んでくるっていうのもぞくぞくするよねー」

「ボルドーがテーマなのに5本目なのにまだ赤が出てこない感じもやばいよねー」

なんて興奮するえいじさんファンの方もいらっしゃいました。(某まどかさん)

ボルドーでもいっぱい面白いワインがありますよー

という事でチョイスされたワイン。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

1943年にワイナリーの名前にもなったマリウス・ビエル氏によってラランド・ド・ポムロールで設立された家族経営のワイナリー。現在は3代目のダミアンが当主。当初より有機栽培を実践し、醸造面でも人的介入の少ない手法がとられてきた。斬新な見た目と名前からはちょっと想像がつかないほどクリーンな味わいで、丁寧でうまくコントロールされた醸造を行っていることがわかる。

ソーヴィニョン・ブラン/セミヨン/ミュスカデル

ステンレスタンクにて果皮浸漬&発酵を4週間(天然酵母) その後4か月間熟成

こちらのワインは

奇抜な見た目のエチケットから”キワモノ系”かなと思いきやめちゃくちゃ美味しくて反省した

とえいじさんに言わしめるほどのエピソードを持つワイン。

自分がバイヤー時代に見つけられなかったのが悔しいと思わせる味わいです。

とも仰っていました。

ナチュラルなのにクリーンで本当に美味しい。

キンカンとかドライオレンジとか生姜とかハーブとか。

オレンジワインって独特なクセがありますけど気が付けば進んでいるような飲みやすいワインでした。

すんすん入っていくんですよね。

見た目とは裏腹に中身はとても正統派で奇抜な優等生というキャッチコピーがピッタリの1本でございました。

ほんとえいじさんが紹介してくれるオレンジワインは本当に美味しい。

いつもありがとうございます。


ちなみにメルローから造られた赤ワインもあるようですので気になる方はチェックしてみて下さいね。


ビオディナミ

シャトー・ファルファ 2019

ボルドーと有機栽培ってなかなか結び付きにくいのかな?

なんて勝手に思い込んでいましたが

こちらのワイナリーは36年前に畑を取得した時からヴィオディナミを実践しているんだそう。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

ビオディナミの先駆者として知られるフランソワ・ブーシェ氏(「Biodynamic Agriculture」の著者でありかつてルロワ等のビオディナミのコンサルティングを務めていた)の娘ヴェロニク・コックランが現在当主を務めるコート・ド・ブールのシャトー。この地でのワイン造りは14世紀まで遡る。ヴェロニクが1988年にシャトーを取得し、その年からビオディナミを実践。

メルロー55%カベルネ・ソーヴィニョン30%、カベルネ・フラン10%、マルベック5%

20haの畑は石灰岩を基盤にした粘土石灰質土壌で、ジロンドからほど近いため「海の影響」が強い。

手摘み、野生酵母、亜硫酸添加は極少量(か無し)。新樽12か月熟成

川に近い産地という事もあって寒くなりすぎないし熱くなりにくいんだけど、その分湿度が高いので病気のリスクも高いエリアで栽培していて、

農薬撒け!

化学薬品使わないとだめだ!

質より量だ!

と言われていた当時にあって大変な苦労だったんだろうなと思ったり。

カシスなどの完熟した黒い果実や少し湿気た森のニュアンス(どんなだよ)

でも森林浴ってキーワードがコム兄メモに書いてありましたので、きっとどなたかの発言を書き留めたんだと思います。(人のせいにすな)


最先端技術

シャトー・スミス・オー・ラフィット ルージュ 2013(マグナム)

こちらはえいじさんが現地で調達してきたという2013年のマグナムボトル。

先ほどのシャトー・ファルファがビオディナミでなるべく非介入で美味しいワインを造ろうというアプローチの生産者でした。

こちらのスミス・オー・ラフィットはそうじゃなくて、できるだけ手を尽くして美味しいワインを、素晴らしいワインを造ろうと徹底している格付けのワイン

との事でした。

面白い比較になりそうです。

えいじさんメモを見てみましょう。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

グラーヴ地区ペサック・レオニャンを代表する銘醸シャトーの一つ。ブドウ栽培の歴史は14世紀まで遡る。時代と共に複数のオーナーの手に渡るが、常にその高い品質は守り続けられてきた。1990年に現オーナーであるカティアール夫妻が取得し、スミス・オー・ラフィットは新たなステージに上がることになる。オーガニック栽培、自社の樽工房の設立、セカンドワインのための別セラーの建設など改革を行ってきたが、環境保全型のワインづくりBIO PRECISIONこそ彼らの真骨頂。化学肥料や薬品の不使用、セラーの屋根を緑地化することで空調管理に使われる電力を削減する、生物多様性を重んじた畑の管理、極め目付はアルコール発酵で生じたCo2を固形化して石鹸や医薬品に加工する技術をもっていたりと、まさに最先端のワイナリーなのだ。

カベルネ・ソーヴィニョン60%、メルロー35%、カベルネ・フラン&プティ・ヴェルド5%

18か月間オーク樽熟成(新樽比率60%)

セラーの屋根の上に土を撒いて緑地化を図っているというお話がありましたが

その結果太陽も遮られるので涼しく保つことが出来るから空調がいらなくなって、

結果としてCo2も削減できるという素晴らしい取り組みをされているそう。

設備だけではなくて考え方も最先端と仰っていたように思います。

そして凄いというか偉いのが、挑戦して得られたノウハウを他のワイナリーや産地にも情報を提供しているんだそう。

スミスの兄貴って感じでしょうか。

格付けという地位があるからといって胡坐をかくわけでもなく、怠けるわけでもなく、挑戦し続ける姿勢。

スマートですね。

老朽化していく一方のコム兄も見習いたいと思います。

まずは髪の毛を緑色に染めて緑地化を進めてCo2削減していこうかなと思います(全然違う)

マグナムボトルを片手でデカンタージュするえいじさん

こちらの写真からもお分かりいただけるようにこの日のえいじさんはパーマが当たった感じでとてもオシャレ。

えいじさんの多様な魅力も感じられる素敵な会でした。


メインディッシュ ビーフシチュー

「なんかネットでボルドーの力強い赤ワインに合うのはコレだと書いてあったので」

と茶目っ気たっぷりに提供いただきましたのがこちらのビーフシチュー。

合わないわけがないんですよね。

ウマーい。

こちらもワインの味わいとお料理との相性の比較しながら味わいました。

シャトー・ファルファはバゲットにソースをつけて食べたのと最高に合う気がしました。

溶けあうというか。

同じ食べ方でスミス・オー・ラフィットを飲むと物足りなく感じるというか、ワインが勝っちゃう。

同じ料理をあわせるにしてもソースとパンじゃなくて肉だよな。って思わせる力強さと高貴さ。

比較試飲も美味しいけど食べ比べテイスティングも面白い。

※あくまでも個人の感想です。

ジャガイモを題材に比較試飲してみるとより新じゃがの甘みや皮のニュアンスを感じたのがシャトー・ファルファかな。

とか、

にんじんはどっちも美味しいけどスミス・オー・ラフィットかな。

とか。

スミス・オー・ラフィットは万能というか

なんでも合わせてやるYo!

という懐の広さを感じました。

素材の良さを引き出して活かすのがシャトー・ファルファで

スミス・オー・ラフィットは掛け算をしてくれるようなペアリング。

どちらもとても美味しかったです。

このような楽しみ方も出来てしまうえいじさんと縁さんのタッグは最強なんじゃないでしょうか。

全房発酵

ル・セー・デ・カルム・オー・ブリオン 2019

これぞ未来のボルドーですよ

と注いでいただきましたのがこちら。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

ぺサック・レオニャンのライジングスター、カルム・オー・ブリオンが造る「もう一つのワイン」名前は厳ついが、実は格付けには含まれていない。10年前まで突出したワイナリーではなかったが2012年にギヨーム・ポーティエが入って大転換。全房発酵パッシブ・エクストラクション(積極的な果房管理をせずにティーバックを漬け込むように果房をジュースに押さえつける技法)、アンフォラやセメントタンクの使用高いカベルネ・フラン比率といったそれまでのボルドーでは考えられないような改革を次々と行い、ついにはアドヴォケイト100点をたたき出した。「セー(C)」はファーストとは畑が異なるためセカンドではない。

カベルネ・ソーヴィニョン65%、メルロー34%、プティ・ヴェルド1%

パッシブ・エクストラクション、30%全房発酵。砂利土壌。

メッシュ状のものを沈めて果皮が浮かび上がってこないように漬けるようなアプローチなんだとか。

パッシブ・エクストラクション

覚えておこうと思います。

全く関係ないですけど、えいじさんって抑制のきいたエロさがまたいいよねって話をしていました。

奥さん大事にするしオタクっぽいコミュ障な部分も感じさせないしエレガントだし。

「抑制のきいたエロだよね。エロさのパッシブ・エクストラクションだよね。えいじさんが積極的に抽出し始めたらやばいことになりますよね。パンチング・ダウンとかしちゃったらもうやばいよ」

なんていう酔っ払い丸出しの意味不明な会話をしておりました(爆)。

赤い果実やメントールのような爽やかな香りにソフトなタンニン、若さを感じさせるほどギシギシした感じはないけど君の未来を見てみたいと思わせてくれるような輝く未来が見えるようなワインでした。


蘇る19世紀のボルドー

カテナ・サパタ ニコラス・カテナ・サパタ 2019

19世紀のボルドーブレンド

というなんともキャッチーなフレーズと共にサーヴ頂きましたこちらのワイン。

どういう事なんでしょうか。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

アルゼンチン、メンドーサ。1902年設立、3代目のニコラスが高級ワイン志向に転換。2001年にNCZリリース。世界の品評会でトップになり注目されるように。現在は4代目のラウラが研究開発に尽力。さらなる品質の向上を目指している。高い標高、冷涼かつ日照量が多い特異な地でゆっくりと成熟することで高い凝縮度、多いポリフェノール、高い酸のあるワインに。アルゼンチンはフランスがフィロキセラの被害に見舞われる前にマルベックを輸入したため自根の「プレフィロキセラ」クローンが存在する。そして19世紀のボルドーワインはこのマルベックが主要品種だった。ニコラス・カテナ・サパタは、まさに19世紀のボルドーブレンドといえる。

カベルネ・ソーヴィニョン42%、マルベック30%、カベルネ・フラン28%

アグレロ、アルタミラ、グアルタジャリなど標高950mから1450mまで広がる複数の畑をブレンド。

10%全房発酵。オーク樽発酵、24か月間フレンチオーク樽熟成。

コム兄の鼻がぶっ壊れたのか牛乳っぽい香りがした気がしました。

やや鉄っぽさを感じる味わいで、コム兄が作る鹿ジャーキーと抜群に合いそうな雰囲気でした。

残念ながら舞い上がりすぎて外観の写真を撮り忘れてしまいました。

そのくらい美味しかったです。

19世紀のボルドーにタイムスリップできるなんてなんてロマンティックなんでしょうか。

しかもそれがアルゼンチンで造られているというのが面白いですね。


NO BORDER!

カイアロッサ 2019

なんと7種類もの品種をブレンドして造られているというこちらのワイン。

フランスもイタリアもボルドーも関係ない。

正しくNO BORDER!

えいじさんメモを見てみましょう。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

イタリア・トスカーナ州沿岸部の高台にある美しいワイナリー。1998年にベルギーのワイン醸造家によって設立されたのち、2004年にボルドーのシャトー・ジスクールのオーナーが所有するようになった。「カイヤ(砂利)ロッサ(赤)」の名前の通り、鉄を含んだ砂や砂利の土壌が畑にみられる。ここの大きな特徴はフランスとイタリアそれぞれのブドウ品種を7つもブレンドしている事。品種個性よりも「トスカーナのテロワールを表現したい」という造り手の想いが表れている。

シラー26%、カベルネ・フラン24%、メルロー23%、カベルネ・ソーヴィニョン14%、プティ・ヴェルド7%、サンジョヴェーゼ4%、グルナッシュ2%

海抜150~220mの高台にある斜面畑。粘土石灰質土壌と、酸化鉄を含んだ砂質土壌。

区画によって醸造は異なる。発酵は木製タンク、コンクリートなどを併用。野生酵母使用。18か月熟成(新樽比率30%)

ブレンドの妙と言いますか、とてもすごいバランス感覚だなぁと思いました。

シラーとかの紫っぽいニュアンスもあるんだけど赤系のニュアンスもあって。

美味しいなぁ・・・。

トスカーナの明るいエナジーとローヌの力強さが一体となったようなエレガントな唯一無二のワイン(他にもあったらごめんなさい)

ボルドーでの知見があるからその経験を前面に出したワインづくりができたはずなのに、あくまでもトスカーナらしさを表現することに主眼を置くというのがまたカッコいい。

まだ若いワインでしたけど、これが熟成してこなれてきたら各品種の感じ方も変わってくるんだろうなと思うとワクワクします。


未来への懸け橋

シャトー・リューセック カルム・ド・リューセック 2021

赤ワインはもちろん泡も、樽あり樽無しの白も、甘口まで揃ってしまうのがボルドーの凄いところ。

本日の閉めはソーテルヌ。

豪華すぎてやばい。

それにしても、歴史ある高貴なソーテルヌが未来への懸け橋とはどういう事なんでしょうか。

えいじさんメモ
えいじさんメモ

ソーテルヌ地区、格付け1級シャトー「リューセック」のセカンドワイン。リューセックは2019年ヴィンテージからプレゼンテーションを刷新し、より多くの人にソーテルヌの魅力を感じてもらえるようにアピールしている。セカンドのカルムもこの21年ヴィンテージから新ラベルに変更、同時に味わいもよりフレッシュなスタイルに進化を遂げている。この大々的なイメチェンの背景にはソーテルヌが直面する現状がある。歴史と伝統のあるソーテルヌの存亡は、ワイナリーたち自らが殻を破れるかどうか、そして私たち飲み手がこの現状に関心を持つかどうかにかかっている。

セミヨン61%、ソーヴィニョン・ブラン39%

オークの新樽で発酵、ワインになってからセレクションを行う。カルムは12か月間オーク樽熟成。

ソーテルヌといえば誕生日やクリスマスなんかに開けるようなそんな”特別”なイメージがあるのはコム兄だけではないはず。

熟成にも耐えられるしセラーの隅っこで何年も眠っているという方も少なくないかもしれませんね。

でも造り手としては毎年飲んでほしいわけですよね。

”脱”記念日ワインという事で残糖度をさげて早くから楽しめるようにフレッシュな感じにしたり、

エチケットをポップなものに変えたりと努力をされているという事でした。

貴腐ワインっていう高貴なイメージで記念日ワインとしてのブランディングもいいけどもっと日常にもなじむようなワインをという方針に変えるのは勇気のいる決断だったに違いありません。

もちろん美味しゅうございました。(語彙)


最後に

”シン・ボルドー”いかがでしたでしょうか。

つたないレポートでしたがえいじさんメモのお陰でボルドーの今を感じて頂けたんではないでしょうか。

小規模ながらSNSを活用して”個”を打ち出す生産者

これまでのやり方にとらわれない生産者。

理解されない時代から自分たちを信じて造り続ける生産者。

かつての味を表現する生産者

変わろうとする生産者。

などなど。

”伝統と格式”というイメージは消費者が思い込んでしまっている偶像で、

当の生産者さん本人たちは勝手に持たれた”伝統と格式”というイメージから脱却するべく足掻あがき、藻掻もがき、努力され絶えず進化し、表現しているんだぁと思い知らされました。

その自身の信じる味わいへの飽くなき挑戦こそがボルドーの精神なのかもしれません。

きっとそれはボルドーだけではなく他の産地でも同じように行われているのでしょうけど。

単にボルドーの現状を紹介するだけの会ではなくて、ワイン業界の今後についても考えるきっかけになったように思います。

すぐ怠けちゃうコム兄ですが、志を高く頑張っていきたいと思います。

そうそう、スミス・オー・ラフィットを飲み切らずに最後までグラスで保管していた方がいらっしゃったんです。

少し香りを嗅がせていただいたんですがそれはもう凄くて。

色気むき出しの芳香がグラス一杯に広がっていてね、すごいの(語彙)

本当に貴重な経験をありがとうございました。

そうそう、終了間際にHarukaさんとも久しぶりにお話しできて嬉しかったという事だけ全ての男子に自慢して終わろうかと思います。

ワインが素晴らしいのとえいじさんの解説、縁さんのお料理は紹介した通り素晴らしいわけですが、

この空間に集う人が素晴らしくて。

コム兄はワインを介してそこに集う人と過ごすひと時が好きなのかもしれません。

そんなこんなで皆さん、友達の少ないコム兄と一緒に飲んでください(切実)

楽しく乾杯出来たら嬉しいです!!!

ではまたっっ!!!

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