今回もスペシャルな忘年会の様子を紹介していきたいと思います。
前回は思いのほかうどん中心の記事になってしまって後悔しておりますが
今回はその分を取り返すべく気合を入れて書いていきたいと思いますので
応援お願いします。
ちなみに前回の様子はこちらからご覧ください。
前回の記事ではワインは乾杯と二本目の2種類、お料理は1品出たところまで紹介させていただきました。
この後どんなスペシャルなワイン&料理が登場するのでしょうか。
今回は脱線しないように頑張ります。
早速行ってみましょう。
三杯目と冷前菜
前回の記事で紹介したシャンパーニュとR de Rieussecは
時間をかけて味わっておりましたので若干グラスに残っておりましたが
次のワインを注いで下さるという事で
これでもかとグラスを傾けて、全ての汁気をダイソンのように吸引して次のワインに備えます。
そしてまずサーヴ頂いたのがこちら。
Georg Breuer Estate Rauenthal 2021 Rheingau Riesling
まずはえいじさんのレジュメからこちらのワインの説明をさせていただきたいと思います。
今やドイツのリースリングといえばビシっと切れの良い酸が感じられる辛口リースリングが主流になっていますが、その潮流の発端となった革命家の一人が故ベルンハルト・ブロイヤー氏(現当主のお父さん)。ドイツ最高のリースリングの産地「ラインガウ」の中でも、標高の高いラウエンタール村でつくられたブドウを使っています。ラウエンタール村のワインは花やミネラルのアロマが豊かでしっかりした酸が特徴。
えいじさんのレジュメより
ふむふむ。
リースリング=切れのある酸というイメージになったのは思ったより最近の事のようですね。
そしてお父さん偉大。
ちなみにえいじさんが運営されているYoutubeチャンネルでもこちらのワインの紹介をされています。
どんなエリアで、どんな変遷みたいなのも紹介されておりますのでチェックしてみてくださいね。
そんなキレッキレのワインに合わせる前菜が到着いたしました。
サイズ感伝わりますかね?
メインディッシュじゃないの?というようなボリューム。
シェフ、飛ばしてます。
たっぷりと脂ののったアルプスサーモン。
皮を引いたうえで皮目を炙ってあります。
その上にこぼれるほどに乗せられたキャビアルージュ(マスの卵)
添えられているというような量ではありません。
オーディエンスからは「宝石箱やー」という声も上がっていました。
サーモンはフレッシュのパセリからつくられたパセリオイルが回しかけられていて
主張しすぎない優しい青い香りが複雑さを演出。
手前のペーストはアボカドとクリームチーズ。
ローストされたヘーゼルナッツがいいアクセント。
「ワサビにしか見えないね」
なんて声も聞こえましたが、確かにワサビでも美味しく食べられそうです。
一人分取り分けた図がこちら。
まずは一口パクリ。
とっても柔らかい身質で脂は乗っているんだけどギトギトしていない。
しっとり柔らかくて、程よく炙られているから香ばしさもあります。
アボカドの滑らかさがまたいいアクセント。
完全に美味いに決まったぁるやつです。
キャビアルージュの食感もプチプチしているものや比較的柔らかいものもあって、
口の中で弾けるタイミングが違うのでこれもまた食べ進めるうちに味が変わっていって面白い。
「オレンジの時限爆弾やー」(真似すんな)
なんて心の中でつぶやきつつ、目を閉じてリースリングを頂きます。
弾けに弾けたキャビアルージュとしっとりしたサーモンの旨味たっぷりの脂を
キレッキレのリースリングがきれいに流してくれます。
口の中に残った脂分もタンパク質も根こそぎ持って行ってくれて、
それでもなお後に残るレモンのような爽やかな味わい。
コム兄はワイン単体で飲んだ時よりレモンを感じました。
食べる→溢れる旨味→ワイン飲む→口中スッキリ→余韻にレモン→また食べたくなる
というループに突入しましたので、多くない?と思っていたサーモンが
知らない間に半分くらいの量になっています。
「次のワインもサーモンに合わせて欲しいので半分くらい残しておいてください」
危ない危ない。
念のため少し残っていたリューセックとも合わせてみましたが、
ワインが少し頼りない印象になってしまいました。
食事と合わせる際にいかに酸が大切かを再確認いたしました。
お父さん偉大だし、それを踏襲したテレーザさんも素敵です。
ちなみにえいじさんによるとこのタイプのリースリングはすき焼きにも合わせることが出来るそう。
コム兄なんかはなんとなく赤を合わせてしまいそうですけど、
確かに冷静に考えてみれば薄切りの肉だしそこまでタンニンはいらない。
脂がしっかり目の肉を使う場合が多くてこってりしているから酸が多めの方がいい。
充分に対応してくれそうですよね。
今年の年末はすき焼き×リースリングに決定ですね(コム嫁に要相談)
四杯目
そしてサーモンに合わせる2本目のワインが登場。
Rosengartel Wiener Gemischter Satz Nussberg 2017
同じキュベではありませんがこちらの生産者さんのゲミシュターサッツをコム兄も飲んだばかりなのでした。
ミシュラン星付きレストランでも採用されている確かなワインです。
白子のポワレに白いんげん豆の煮込みが添えられたお料理に合わせていただいたのでした。
ちなみにその様子はこちらから。
またまたえいじさんのレジュメを紹介したいと思います。
ヴィーニンガーの凄いところはかつては地元の居酒屋で飲まれる安ワイン程度の地位だった「ゲミシュター・サッツ」を世界的なレベルに引き上げたこと。2013年にDACに認定されたのも、実は当主フリッツ・ヴィーニンガーさんの尽力のおかげなんです。今日はそんな彼らのトップキュヴェを味わいます。
えいじさんのレジュメより
えいじさんがチョイスされるワインは何がすごいって、
ワインのバックボーンが素敵。
というかそれを教えていただきながら飲めるのがワイン好きとしてはたまりません。
先ほどのゲオルグ・ブロイヤーさんもそうでしたが
価値観をひっくり返すというか引き上げるというか
そんな生産者のワインが多いように思います。
一見して華やかなシンデレラストーリーのようですが
苦労や嘲笑を乗り越えて確立したスタイルは芯がありますし
飲む者にロマンを与えてくれますよね。
えいじさんによるとゲミシュターサッツは
生育スピードの違う様々なブドウを一気に収穫して造るので、
ある品種は完熟
この品種はもう少し
その品種はまだまだ青い
みたいに、品種だけではなく熟度の違うブドウも混ぜて造るんだとか。
「サラダのようなワイン」
なんていうようなお話も聞こえていたように思いますが
それくらい色んな香りが層をなしているというか、
分刻みで表情の変わる面白いワインだなと思いました。
お節料理みたいに一つの箱の中に色んな食材が詰め込まれているような
そんな面白いワインでした。
実際にお節料理に合わせるのもいいと思います。
いわゆる分かりやすいワインではなく変態的ワインなのかもしれませんが、
同席した皆さんこのワインがお好きの様で、変化を追いかけたいワインなんて言う声も聞こえました。
さてこちらのワインとアルプスサーモンのペアリングを検証していきたいと思います。
まずはぱくりと食べて飲んでみます。
先ほどのペアリングとは明らかに向いている方向が違います。
先ほどのドイツリースリングは高い酸が脂に向かって一直線に進んでいってリフレッシュしてくれたのに対して
こちらはジュワーッと馴染んでいくような印象。
とりわけ添えられたアボカドの青さと相性が良いように感じられました。
酸味はもちろんあるものの柑橘の果汁のフレッシュな印象というよりは
皮の苦みというかそんな複雑さも含んでいて野菜と相性が良いんじゃないかなと思ったり。
的外れなコメントだったらごめんなさい。
野菜ペアリングの代表格であるグリューナー・ヴェルトリーナーが50%使われているのも影響しているのかもしれませんね。
おいちい。
ちなみにえいじさんのYoutubeチャンネルでもヴィーニンガーさんの動画が取り上げられています。
ホイリゲとは?
ブッシェンシャンクとは?
ゲミシュター・サッツとは?
などなど情報が満載ですよ。
ヴィーニンガーさんのスタンダードキュベの紹介もされていますので
チェックしてみてくださいね。
五杯目と温前菜
続いては赤ワインでございます。
自分でチョイスしたらピノ・ノワールを選びがちで有名なコム兄のためのチョイスでしょうか。
(絶対違うからな。調子乗んなよ。)
ということで赤ワインの先頭バッターはこちら
Ataraxia Pinot Noir 2017
南アフリカのへメル・アン・アードという注目産地でつくられるピノ・ノワール。
こちらもまずはえいじさんのレジュメを紹介していきます。
南アフリカの鬼才ケヴィン・グラント氏は南アフリカの冷涼産地ウォーカーベイ地区の中でも特に優れたワインが多い、へメル・アン・アアドの代表生産者ハミルトン・ラッセルで醸造長を務めていた偉大な方。このへメル・アン・アアド(地上の楽園という意味)は、ブルゴーニュ以外でピノ・ノワールのポテンシャルを最大限に発揮できる数少ない産地だと私は思っています。大西洋から吹く冷たい風と高い標高によって非常に涼しい環境にあり、さらに土壌は10億年以上前まで遡るという世界でも最も古い土壌の一つだったりします。
えいじさんのレジュメより抜粋
高い標高+冷たい風+10億年以上前の土壌。
ふむふむ。
素人なのでよくわかりませんが製法なんかのテクニカルを見ても
早め早めの仕込みなんじゃないかなって思ったわけです。
造り込まれたというよりは極力人的影響を排除した造りなんじゃないかと思ったわけです。
自然に、ブドウと、畑を表現したらこうなった的な。
色合いはこんな感じ。
とっても透明度が高いルビーレッドで、縁はオレンジがかっていますね。
伝わるかな?
赤系果実やお花の香り、ほのかにスパイスを感じる印象(何のスパイスかは分かりませんがw)
口に含むと、なんというのかな?
水っぽいわけではないんだけどジューシーなんですよね。
なんていうか瑞々しいっていうんですかね。
キレイな酸味が主体的で、果実味と優しいタンニンが後から控えめにやってきます。
ワインを飲み込んだ後に酸味によって引き出された唾液すら美味い。
自分でも引くくらい全然美味しそうなコメントじゃないんだけど
コム兄は好きなワイン。
こういう酸がしっかりしているワインはお料理にも合わせやすいですよね。
ご一緒していたHarukaさんは外観がオレンジがかっているワインに弱い傾向があるらしく
オレンジがかっていると
「いいね!!って思っちゃう」
とおっしゃっていました。
かわいいです(やばい本音出た)
「温かい前菜です」と運ばれてきましたのがこちら。
「フランス・サヴォワ地方の郷土料理でタルティ・フレットといいまして、
ベーコン、ジャガイモ、たまねぎ、チーズを使いました軽いグラタンのようなものでございます。
温かいうちにお召し上がりください」
と説明頂いたと記憶しております。
確かに使われている食材はシンプルで軽いグラタンも納得なわけですが、
ん?これ前菜?ってな量です。
これまたメイン料理かのようなボリューム。
シェフのお腹いっぱい食べてもらいたいという優しさがてんこ盛りです。
とはいっても先ほどの前菜もワインと合わせることで
あれよあれよという間に食べてしまったので
今回もそんな気はしています。
さてペアリングに関してですがこちらのお料理は
郷土料理ということもあって一般的にサヴォワのワインを合わせるのが定石なのでしょう。
そんなことは一旦置いといて一口パクリ。
まず初めに炙りに炙ったチーズの香ばしさとコク、ベーコンの旨味がガツンと来ます。
追って、玉ねぎの優しい甘み、ジャガイモのほっくりとしたテクスチャーと美味しさ。
確かに見た目ほどしつこくありません。
ていうか美味しい。
寒い時期にぴったりの濃旨系なお料理。
ご一緒したまどかさんに感想を聞いてみると
「サヴォワサヴォワしてる!行ったことないけどね。ほんと美味しい」
との事。
この”サヴォワサヴォワ”をコム兄翻訳にかけると
「まるで現地で食べているかのように、目の前にサヴォワの景色が広がっているわ。」
といった具合に変換されます。
合ってますか?まどかさん。
アタラクシアに合わせてみますとクリーンな酸が脂分を良い具合に流してくれて
もともと控えめだったタンニンもベーコンやチーズなどのタンパク質と結合されたのか
ほとんど感じられず、穏やかな余韻が残ります。
エレガントな造りのピノだからこそのバランスなのでしょうね。
ソムリエたるもの視野を広げて無駄な先入観を無しに向き合いたいものです。
そんな可能性を感じさせてくれるペアリングでした。
今回のものとは違いますがアタラクシアについて解説しているえいじさんのyoutube動画があって
ワンオクtakaさんと森進一さんと森昌子さんをブレンドされたようなワインが紹介されていますので
気になる方は是非チェックしてみてくださいね。
六杯目
お次にサーヴいただいたのはこちらのワイン。
Friedrich Becker Spätburgunder”B”2012(Magnum)
コム兄大好きベッカーさんです。
しかもマグナム。
期待が高まります。
かわいらしいキツネのエチケットが印象的なベッカーさんですが
すっぱい葡萄どいうイソップ寓話からきているのだそう。
甘いワインが売れるような時代の中で
流行に乗らない(売れにくい)ワインを造り続けるベッカーさんに対して
周囲は嘲笑したり
「ベッカーのブドウはすっぱくて食べられない」
などと悪口を投げつけたのだそう。
それでもベッカーさんは揺るがずに
「このブドウの本当の美味しさを知らない人は悪口を言うけれど、私はこの価値を知っているのだ」
といって作り続けたのだそう。
その悪口を言っていた周囲の人への皮肉と寓話のストーリーもじってエチケットにキツネを描いたんだとか。
メンタルつよつよです。
さて、今回のワインの”B”というのはBecker Basis Bariqのイニシャルだそうで
ワンランク上のベーシッククラスという位置づけなんだそうですが
今はもう生産されていないのだそう。
このキュベに使用されていたブドウはさらに上のランクのキュベに使われることになったからだそう。
ということは、お値段以上のクオリティなわけです。
しかもマグナム(何回言うねん)
注いでいただきますと10年もの間熟成されていたとは思えないほどにフレッシュな外観。
分かりづらいですがアタラクシア17と比較してもこの通り。
テーブルに映った色を比較していただければ分かりやすいのかなと思います。
アタラクシアの方がオレンジがかっていますよね。
味わってみますと、直前に同じ品種を飲んでいたために自然と比較試飲的になります。
より果実味のボリュームがあって、しっかりと熟した果実がいます。
とはいってもあくまでもスタイルとしてはエレガント。
キレイな酸に角のないタンニン。
めっちゃうまい。
無限に飲めます(肝臓さえ強ければ)
同じ路線ですがやや酸に特徴があるアタラクシアとやや果実味にボリュームがあるベッカーさん。
どちらもイケメンで甲乙つけがたい素晴らしいワインでした。
というか、勝ち負けをつけること自体ナンセンスなんじゃないかと思うほど素晴らしいワインでした。
あぁピノ好きだわぁ・・・
七杯目とメイン料理
七杯目に頂きましたのはえいじさんがアンダー1万円だったらこれを選ぶというほどお気に入りのワインです。
Château Sociando Mallet 2014
つい先ほどピノ好きだわぁ・・・
といったばかりでしたが、こちらの香りときたらたまりません。
要するに美味しいワイン好きってことです(めっちゃ普通のこと言うてる)
まずはえいじさんの資料でこちらのシャトーの紹介をさせていただこうと思います。
「格付けをもう一度したら必ず3級以上に入るシャトー」といわれる実力派。それだけ高い評価を受けているのならさぞ長い歴史のある由緒正しき蔵だろう・・・と思ってしまいますが、実はたった一代でゼロから築き上げた「ワインバカ一代」な造り手です。その作り手の名はジャン・ゴートロー氏。1969年に荒廃していたシャトーを購入し、昔ながらの製法を守り古き良きエレガントなボルドーを造り続けてきました。メドック格付け外で最も誉れあるクリュ・ブルジョワ・エクセプショネルの格付けを得ましたが、納得できずに返上。枠をはみ出た逸材、まさに唯一無二の職人魂ですね。残念ながら2019年に彼はこの世を去りましたが、彼の娘のシルヴィーさんが現在もシャトーを守り続けています。
えいじさんのレジュメより
格付けシャトーでも、ブルジョワシャトーでもなく、ソシアンド・マレである
なんて言ったとか言わなかったとか。
すごいこだわりですよね。
“もらえるものは何でももらっちゃおう精神”のコム兄の対極にいるようなお方です。
そら素晴らしいワインができるはずです。
こちらのワインまずは色合いから見ていきましょうか。
先ほどまでピノを飲んでいたというのもあるかもしれませんが、
それと比較するとやや濃い目の印象。(そらそうだ)
縁のあたりはややオレンジがかってきていて字が透けて見えていますが中央部に行くにしたがって
向こうが見えないほどの濃さであることがお分かりいただけると思います。
香りのボリュームも密度もやはりピノのそれとは違います。
カシスや黒スグリなどの黒系果実と杉っぽさと何某かのスパイス感。
果実の濃縮感はあるんですが野暮ったくありません。
詳しいコメントはえいじさんがテイスティングしている動画がございますので
そちらを参考になさってください。(逃げているわけではありませんよ)
こちらに合わせていただいたお料理はこちら。
お料理の説明の時にコム兄はあろうことかお手洗いに行っていて不在。
聞き逃してしまったのでした。
この美味しいソースは何だったんでしょう。
これまでドーンと盛り付けられたものを4人くらいでシェアしていただいていましたので
こちらもみんなで分け分けして食べるのかなと思いきや
この厚切りの鴨のローストが一人一皿。
贅沢ぅ~~~。
さすがしっとりキレイなロゼ色に焼きあがっているわけですが
この鴨の厚みにもシェフの狙いがあるとコム兄はお見受けいたしました。
小慣れてきていてタンニンも角が取れてきて丸くなってきていますが
この厚切りにすることで咀嚼回数を増やしてよりタンニンを吸着させようという狙いでしょう。
見事作戦成功。
華やかさとか何とも言えない美しい余韻が残るわけです。
幸せかよ。
パクりパクりと止まりません。
鴨の肉汁とワインが嚙むごとに調和して、鼻から抜ける香りはほんと至福。
多分、家で一人で同じメニューでペアリングしても違うんでしょうね。
もちろんシェフが作ってくださったからこそ美味しいんだと思いますが
楽しい仲間、えいじさんから情報など、その時の雰囲気が味わいに影響していると思います。
やっぱり誰と飲むかは大切ですね。
忘年会万歳!!
八杯目
メインに合わせてこれまたド級のワイン。
Cheval des Andes 2013(Magnum)
シュヴァルってもしかしてと思ったあなたさすがです。
まずは落ち着いてえいじさんの説明を引用させていただくとしましょう。
このワインの造り手はボルドー、サン・テミリオンのトップ生産者シャトー・シュヴァル・ブランです。彼らがアルゼンチンのテラザス・デ・ロス・アルゼデスと共同でつくる、言わば「フランスとアルゼンチンの合作」ワインです。標高1,000メートルを超える特殊な環境にあるメンドーサの畑をよく知る者と、偉大なワインを造るノウハウを持った者。彼らが手を組むとどうなるのか。答えはグラスの中にあり!
えいじさんのレジュメより
ふむふむ。
アルゼンチンらしくマルベックが67%と主体になっていますが
バランスはどうなんでしょうね(何様だよ)
えいじさん曰く
「開けたては甘みも無くて、酸味がきつくて、タンニンギシギシ」
だったそうで、デキャンタージュをしましたとの事。
ちなみにデキャンタージュの様子も貼っておきますね。
マグナムボトルだけど全部入るのかな?とソワソワしちゃいながら見守るコム兄をよそに
スマートにデキャンタージュをするえいじさんとのコントラストたるや。
え:「マグナムも入るデカンターなんですよ」
コ:「マグナム用もあるんですね」
なんて言いながら謎に安心するコム兄(プロをなめるんじゃないよほんとに)
ちなみに外観はこんな感じ
”光を通さない”とまではいかないにしても濃いです
だいすけさんが「色が詰まってる、香りも詰まっている」
といっていたのが聞こえてまいりました。
確かにそういった具合。
濃縮感というか凝縮感というか。
アルコール度数も15%ということでムッキムキのギンギンなワインかと思いきや
妖艶さというかセクシーさというか、色っぽさすら感じさせる印象。
レーズンのような凝縮した香りがしたと思えば、フレッシュな果実の香りもある。
フレッシュなハーブかと思いきや枯草のようでもある。
とにかく香りの層の厚さがすごくてブレンドワインの醍醐味って感じでした。
アルコールからくる甘みも感じたり緻密なタンニンの甘さ(タンニンは甘いのか?)
もはやバグってきました。
鴨を食べてみても、先ほどのソシアンド・マレは互いに支えあっているかのようなとってもいいバランスに感じました。
が、こちらのワインは仁王立ちしています。(?)
もちろん邪魔するわけでもないし、なんか超越しているというか、
鴨と一緒にモグモグごっくんしてもまだそこにいます。
でも、パワーーーー!って感じじゃなくて長い余韻の後の優雅な着地。
「今日で今年終わりでもいい」
とHarukaさんの口から思わず飛び出たようですが、それも納得。
本当に素晴らしいワインだなぁと感じました。
アルゼンチンがワールドカップ優勝したからこのワインを最後に持ってきたかったという
えいじさん肝入りのワインだったわけですが本当に最高でした。
こんな末端庶民のコム兄にも影響を及ぼしてしまうメッシすごすぎ。
メッシ本当にありがとう。
いや、えいじさんありがとうございます。
九杯目
2022年、奈良ワイン会最後を飾りますのがこちらのデザートワイン。
Carmes de Rieussec 2009
Château Rieussecのセカンドラベルでセミヨン100%から造られるソーテルヌ。
ファーストラベルは最近デザインが変更になったようで、
とっても可愛らしい(価格はそんなに可愛らしくはない)ボトルに生まれ変わりました。
色調はこんな感じ。
淡いゴールドといった感じでしょうか。
香りはレーズンやアプリコット、蜂蜜のような甘~い香りに柑橘の爽やかな風が吹くような
爽やかな印象。
味わいは香りのイメージ通り甘やかでシューッとした爽やかな酸がとってもきれいで
オレンジピールのような苦みを伴った最高の余韻。
とにかく丸くて豊満で。
ファーストラベルを飲んでしまったら鼻血が出てしまうのではないでしょうか。
一年の締めくくりに相応しいデザートワインで、しっかりと贅沢納めさせていただきました。
「いやぁ、ごちそうさまでした。本年もありがとうございました」
と思ったのも束の間、バターやオレンジのかぐわしい香りがフワッと漂ってきました。
なんとシェフが一人前ずつクレープシュゼットを仕上げてくださって、
出来立てを頂くことが出来たのでした。
ソーテルヌ自体がデザートだと思っていたテーブルをご一緒した一行の中には
すでに半分以上なくなっている人も。
確かに気が付いたらグラスの中身が消えているという、そのくらい幸せな時間に包まれておりました。
このままでは本物のデザートとペアリングできないという非常事態でしたので
こっそりとお代わりをしてグラスに注いじゃったりして。
ソーテルヌお代わり記念日が創設された瞬間です。
バターとフレッシュオレンジのジュースを煮詰めたソース。
それをたっぷりと吸ってモチモチのクレープ。
煮詰まったソースとフレッシュなオレンジのコントラスト。
グランマルニエのような少しビターな余韻が引き締めてくれます。
全体を通してジューシーでとろりとしたで食感がソーテルヌのテクスチャーともビッタビタの相性。
こやつソーテルヌ泥棒ですわ。
毎度毎度言うてますけど、やっぱりコスパえぐいんですよね。
ホンマに今奈良、きてます。
サプライズ
実はこの日の前日がシェフのお誕生日ということで
えいじさんがサプライズでバースデーケーキを準備していたのでした。
シェフの段取りが落ち着いた段階で急にバチンと照明がオフ。
「ハッピバースデートゥーユー♪」
の歌い出しと共に、灯されたロウソクの炎の揺らぎと共にケーキが登場。
驚きを隠せないシェフとそれを笑顔で見つめるえいじさん。
なんという素敵な友情でしょうか。
会に参加されていた皆さんも手拍子と共に一緒にバースデーソングを唱和したのでした。
改めてお誕生日おめでとうございます。
いつも美味しいお料理ありがとうございます!!
延長戦
その後、この日田口さんが持ち込まれたこちらのワインのご相伴に預かりました。
田口さんが好きな生産者さんがニュージーランドのセントラルオタゴで造るワイン。
ブルゴーニュ、シャンボール・ミュジニーのヴォギュエの醸造責任者フランソワ・ミエ氏とプロフェッツロックのコラボキュヴェ。
フランソワ・ミエさんがブルゴーニュ以外で造った初めてのワインなんだそうで、
初リリースは2015年ヴィンテージなんだそう。
リリース後、毎ヴィンテージ購入されているということで
今回は2016年をお持ちいただいたのでした。
「めっちゃやんちゃやなー」
と未熟なワインながら、そんな未熟な様子を嬉しそうに味わう田口さんはとてもやさしい顔をされていました。
15年20年は寝かすように言っていましたが、そのころにはこのやんちゃなイメージも妖艶な姿に変わっているのでしょうね。
まさに我が子の成長を見守るかのような素敵な眼差しでございました。
ちなみに奈良県以外からお越しの方が多数お越しでしたので
電車の時間ということで会としては終了。
残っているワインを飲める方がいればという雰囲気になり、
えいじさんの賄いタイム。
ワインをサーヴしたり、ワインの説明をしたり、聞かれた質問に答えたり
ずっと動きっぱなしで対応してくださっていたので
さぞお腹が空いたことでしょう。
ありがとうございました。
この時に実はペアリングの打ち合わせはほとんどしていなかったという裏話なんかも聞かせてもらったり、
いくらにソーテルヌが合うらしいということで検証してみたりと面白い時間でした。
そうこうしているうちにコム兄にも時間がやってきました。
東京からお越しいただいていた方々よりも先に帰らなければいけないというこの複雑な気持ち。
いやぁ、本当に楽しい時間をありがとうございました。
最後に
2022年の奈良ワイン会の締めくくり、いかがでしたでしょうか。
前回の記事でうどんに熱くなってしまった事を後悔しつつもなんとか紹介出来たなと思います。
(書き忘れないかな・・・)
コロナまっただ中で始まって、当時唯一禁酒法対象外だった奈良で県内在住者をターゲットにしていた会でしたが
今となっては奈良在住者の方が少ないというような会に成長いたしました。
そら遠方からでも参加する価値ありありですからね。
年が明けてどんなテーマで始まるのか今から楽しみでなりません。
本年本当にありがとうございました。
読者の皆様におかれましても、このようにグダグダとしたゆるいブログですが
いつも読んでくださってありがとうございます。
皆さんのお陰でモチベーションを保つことが出来ています。
本年も残り少なくなってきましたが体調崩さないようにお過ごしくださいね。
ではよいお年をっ!!!
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