前回のエピソードでは、創業スクールの最終プレゼンを前に「やることを増やすより、しないことを選ぶ判断」を改めて大切にした一週間を振り返りました。
それは、物件や数字の判断とは違う
自分自身のブレない指針を見つける時間 でもありました。
今回は、創業スクール最終回を目前に控え、応援と現実のギャップの中で感じた「決断の瞬間」について綴ります。
経産牛
奈良ワイン会の前日、冷凍便で経産牛が届いた。
これは奈良ワイン会の参加者のひとりが
「一度、味を見てほしい」
とわざわざサンプルを送ってくれたものだった。
役目(出産)を終えた母牛をアップサイクルしてもう一度価値を持たせたい。
そんな思いから始まったプロジェクトだと聞かせてもらった。
もしこの命を、自分の料理として出せたら。
もしCircleの一皿として昇華できたなら。
それは私が思い描く”循環”というお店のコンセプトと確実に繋がる。
可能性が、具体的な“物”として目の前に現れた夜だった。
応援
そして水曜日。
奈良ワイン会プロヴァンス編だった。
場の空気は軽やかでありながらしっかりと学びがあった。
ワインの話をして、笑いが起きて、グラスが進む。
入門者と有資格者の間の壁は全くない。
本当に素晴らしい会だと思う。
料理のサーヴをするたびに、
「ブログ読んでるよ」
「どこに出すんですか?」
「決まったら行きます」
「楽しみにしてます」
と声をかけて頂いた。
応援されて胸の奥がじんわりと温かくなった。
前日に届いた、あの冷たい塊を思い出す。
構想だけだったものが徐々に熱を帯び、形になりかけてきている。
少しずつ追い風が吹いている。
確かにそう感じた夜だった。
でも帰り道、 もう一人の自分が静かに言う。
応援は、売上ではない。
イベントの熱量は特別な時間のものだ。
Circleは、日常に根を張らなければならない。
この温度を、そのまま当てにしてはいけない。
判断
翌木曜日、不動産屋から電話が入る。
元カレー屋の物件についてだ。
契約する前提に話を進めるのか、キープを放棄するか。
そろそろ判断をしてもらいたい。
そんな内容だった。
決断のタイミングが近づいている。
頭の中に数字が並ぶ。
自己資金。 手付金。 家賃。 公庫の融資スケジュール。
自己資金との防衛ライン。
とてもヒリヒリした。
一番現実的なラインとしては、
一ヶ月相当の賃料を支払って、判断する時間を買う事だ。
資金が減るのは困るが、それを渋って両方とも物件がなくなってしまうのは避けたい。
いわばオプション料。
元喫茶店側の望みが薄いと見えた瞬間、 そのまま契約して進める選択肢も残る。
攻めるか。 待つか。 それとも・・・。
日曜日に創業スクールがある。
そのときに元喫茶店の希望がどの程度あるのか確認したいと思ったので
具体的な方針を決めるのはもう少し待ってもらうようにお願いした。
ワイン会の熱とは違い、 静かな緊張がそこにあった。
事業プレゼン
そして日曜日、創業スクール最終回。
他の受講生のプレゼンを聞きながら、 数ヶ月前の自分を思い出していた。
構想を言葉にできなかった頃。
数字の意味が曖昧だった頃。
私のプレゼンは最後から3番目だった。
思いのほか緊張しなかったが、
話し始めると気持ちが前のめりになりすぎて、早口になってしまった。
でも準備したものは出し切れたと思う。
講師の先生からの講評もありがたかった。
助走の終わり
カリキュラムが終わりに近づく中で、私が一番強く感じたのは
「ああ、ひと区切りなんだ」
という実感だった。
学ぶフェーズが終わり、ここからは決めるフェーズに入る。
帰り際、商工会の方から声をかけられる。
元喫茶店に関して、少し動きがあった。と。
まだ不確定であることに変わりはない。
でも、確実に何かが動いている。
火曜日に冷たい肉が届き、
水曜日に応援を受け、
木曜日に数字と向き合い、
日曜日に一区切りを迎え 新しい動きの知らせを受ける。
たった数日なのに、 ずいぶん遠くまで来た気がする。
奈良ワイン会も一区切り。
創業スクールも一区切り。
支えられていた時間が終わり、 現実が前に出てくる。
追い風はある。
可能性も、もう手の届く場所にある。
でも進むのは、自分の判断だ。
この数日間、 確かに覚悟は静かに形になっていった。
次回は内見の様子を書くつもりだ。
先に交渉している人がいるのであまり期待しすぎずに
冷静に見れればいいなと思う。
助走の終わりが確実に近づいている。
エピソード7に続く。


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