Circle|Episode 13― 鍵を受け取るまでの一週間

Circle|店づくりの記録

遂にCircleエピソードシリーズ第一章完結。

前回の記事を読んでいない方はこちらから。

2026年5月14日。

この日僕は、店舗と建物の所有者になった。


大型連休

今年も早いもので今年もゴールデンウィークが終わった。

今年のGWは、少しだけ特別だったように思う。

ある日には妻の実家へ行き、子どもたち、姪っ子、甥っ子たちと一緒に毎年恒例の味噌作りをした。

ある日は義父の故郷である吉野へ行き、

墓参りをした後は総勢20人を超える親せき一同、河原でバーベキューも楽しんだ。

賑やかな声にクマも驚いたに違いない。

そんな穏やかな時間だった。

家族と過ごし、笑い、食べて、自然の中で過ごす。

一見すると、いつも通りの休日。

でも頭の片隅には、ずっと別のことがあった。

GWが明ければ、大きく物事が動く。

店の譲渡。契約。登記。

そして、これからの人生。

どこか気持ちが落ち着かないまま、それでも家族との時間を楽しんでいた気がする。


5月7日

昼に過ぎに地主さんから準備が整ったと連絡があった。

早速夕方、契約書へサインすることになった。

譲渡だけではなく、この場所で正式に商売をしていくための契約。

名前を書き、印を押す。

それだけのことなのに、少し空気が変わったような気がした。

「もう後戻りはできないな」

そんな感覚が、少しずつ現実味を帯び始める。

とはいえ、この時点ではまだ決済も登記も終わっていない。

不思議と高揚感よりも、静かな緊張感の方が強かった。

むしろ、浮かれてはいけないという感覚の方が近かったかもしれない。

ここまでも長かった。

でも、本当の勝負はここからだ。そんな思いがずっとあった。


5月9日

司法書士事務所へ向かった。

これは5月14日の手続きをスムーズに進めるための事前準備だった。

書類の確認。

委任状へのサイン。

当日の流れの説明。

送金確認後、どのように手続きが進み、どのタイミングで所有権移転となるのか。

司法書士の先生から説明を受けながら、ようやく現実味が増していく。

これまで頭の中にあった計画が、少しずつ「現実」になろうとしていた。

ただ、それでもまだ実感は薄かった。

大きな決断をしているはずなのに、どこか淡々としている自分もいた。

たぶん、まだ終わっていないからだと思う。

無事に終わるまでは安心できない。

そんな感覚だった。


5月14日

そして迎えた5月14日。

決済と登記の日。

いつも通り子供たちを家から送り出し、

朝一番で天理教の本部へ参拝に行き、心を静めた。

その後、譲渡費用の振り込みを行った。

決して小さくない金額だ。

確実を優先し、郵便局の窓口で手続きを済ませた。

振り込み後、相手方へ連絡。

その後、譲渡先である「元喫茶店」へ向かった。

集合時間は午前10時。

少し時間があったので、一度家へ戻り、静かに気持ちを整えた。

感慨深さがなかったわけではない。

でも正直なところ、「夢が叶った」という感覚ではなかった。

ようやく、ここで商売をする権利が整うだけ。

ここから先、自分で店を続けていけるかどうか。

本当の勝負はそこにある。

だからこそ、気持ちは意外と冷静だった。

元喫茶店では、お店を切り盛りされていた方、その方のお母さん、そして司法書士の先生と合流した。

まずは送金の確認。

無事に着金が確認され、その後、契約書類の確認が進んだ。

さらに、先方が所有されていた過去の土地契約書なども念のため譲っていただいた。

今後、建物や設備、工事関係で過去を確認する必要が出てくるかもしれない。

そう考えると、とてもありがたい。

司法書士の先生は、その後登記手続きのため退席された。

いよいよ、本当に動き始める。

そんな空気があった。

その後は、鍵の受け渡しや保険関係などの引き継ぎを行った。

この瞬間が、一番印象に残っている。

もちろん正式には、登記完了を待つ段階ではある。

でも感覚としては、この時に初めて、「誰かの場所」が「自分の場所」になった。

そんな気がした。

鍵を受け取る。

言葉にすれば、それだけのこと。

でも、その重みは思っていた以上だった。

この場所で料理を作る。

ワインを注ぐ。

人を迎える。

商売をする。

うまくいく保証なんてない。

不安もある。

でも、やるしかない。

前を向いて進むしかない。

今日やるべきことは、だいたい終わった。

あとは残置物を少し整理して帰るだけ。

夜は、妻とささやかに乾杯をしようと思う。

高価なシャンパーニュではない。

高価なものを開ける日はもっと先にとっておこうと思う。

コンビニで買ったスパークリングワインくらいが、今の自分たちにはちょうどいい。

「お疲れさま」そして、「ここからやな」そんな言葉を交わせたら十分だと思う。

今日という日は、ゴールではない。

ようやくスタートラインに立つ権利が整った日だ。

数日後には工事が始まり、店づくりが現実として動き出す。

Circle、ここから始まります。

ーーーCircleエピソードシリーズ第一章 これにて完結。


次回予告 

創業スクールにも通い始める前、その時の気持ちを書き留めておいた文章がある。

言わばエピソード0。

右も左も分からないまま、ありのままの気持ちを書いた記事。

今読み返すと恥ずかしさすら感じる部分もある。

そんなサークルの原点ともいえる記事を近々公開いたします。

名前の由来や、なぜ天理なのか。

どんな思いでお店をやっていこうと思っているのか。

そんなことも書いています。

そちらも読んでくださると嬉しいです。

そして、その後にクラウドファンディングのお願いに関する記事も公開予定ですのでお見逃しなく。

これからも頑張っていきますので今後ともよろしくお願いいたします。

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